ルージュの結界
そして、昨日は帰って来て、風呂などを済ましたあとは、みんなリビングで思いっきり寝てしまう。
俺が起きた時は、既にかなりの力で抱きつかれていて、動けない状態だ。
「やっぱり、こうなっているか。でも、今日は休みだからゆっくりするか」
なので、俺は二度寝していると、
「ダンナ、俺様の結界を攻撃している奴がいる」
ルージュがいきなり目を見て覚まして、そう話す。
「もしかして、前来たカワドリー商会の連中か?」
「その可能性はありそうだな。でも、連中じゃ無いかもな。俺様の結界を攻撃しているのは一人だけだぜ」
「なんか、このパターンは前にもあったような気がするが……」
そう思いつつ、俺とルージュはパジャマから、戦闘用の装備に着替えて、迎撃に向かう。
店な扉を開ける前に、横の窓からルージュの結界を攻撃している人を見てみると
「この結界かなり硬いな。まさかこんな物を張れる人物がいるとは……」
まさかの、ソルの叔父さんで冒険者ギルド長のドンガスさんが、結界を殴っている。
「ダンナ、知り合いか?」
「知り合いも何も、ソルの叔父さんで冒険者ギルド長のドンガスさんだ。まさかこんな朝早くから、尋ねて来るとは思ってなかったぞ」
俺は呆れながらそう話すと
「とりあえず、捕まえて来るな」
「分かった。でも、あまり手荒な事はするなよ」
「了解したぜ」
ルージュは家の外に出て、ドンガスさんを気絶させた後、ロープで縛って担いでくる。
なんか、凄いアッサリと無力化しているけど、どうすればいいんだ?
流石に外に放置は出来ないので、ソルを起こして来て話し合う事にする。
「ハルヤに起こされて来てみたら、叔父さんがこんな時間に訪ねて来るとは、思ってもいなかったわ」
「それは、俺もだ。ただ、こんな時間に訪ねて来たのは何か問題が起きた可能性が高いな」
俺は時計を見ながら、そう話す。
「ダンナ、正直眠くないか? それに五時半だから、まだ寝れるぞ」
ルージュが欠伸をしながら喋って来る。
「ハッキリ言って眠いが、ドンガスさんが何の問題を持って来たのか、分からないから気になるな」
「多分、面倒事は確定よ」
ソルが言う通り、確かにその可能性は高いな。
なら、やる事は一つだな。
「ルージュ、縄を解いて結界の外に追い出してくれるか?」
「了解したぜ」
ルージュは、ドンガスさんの縄を解いて、結界の外に放り出す。
「さて、寝るか」
「そうね。さっきまでいい夢が見れていたから、続きが見たいわ」
俺は二人に腕を掴まれて、そのまま布団に寝かされて、いつものように拘束される。
そして、それから約三時間後、みんなが起きたので俺も一緒に起きる。
「みんな、おはよう。俺とルージュは今日は休みだけど、お前らはダンジョンに行くのか?」
「ボク達も今日は、ゆっくりしようかなと思っているよ」
エルがパンにジャムを塗りながら口を開く。
「そうか、なら今日は一日ゆっくりするか! ここ最近は面倒事や戦闘などで正直疲れたからな」
流石に休みが欲しいと思っていると、入り口の呼び鈴が鳴る音がする。
「なんか、嫌な予感がするのは気のせいか?」
「そうね。今日の早朝の事もあったから、否定出来ないわ」
とりあえず、無視するかと考えていると
「ハルヤ、とりあえず朝飯を食べたら確認に行かないか? このままずっと呼び鈴が鳴っているのは、流石にうるさいからな」
ハァ、確かにそうだよな。
それに面倒事ではない可能性も、少しはあると思うから後で出るか
なので、俺達はキッチリ朝飯と身支度をして、完全武装で呼び鈴を鳴らしている相手の元に向かう。
扉の横の窓から外を見てみると、商業ギルド職員のトマナさんが鳴らしていた。
とりあえず、ドンガスさんは帰ったんだなと思いつつ、どうするか相談する。
「相手は、商業ギルド職員だ。でも、常識がない人では無いと思うが、ここまで鳴らすのは絶対に何かあるよな」
「それなら、放置するのが一番良さそうね」
「でも、商業ギルドの職員なんだよね。ハルヤ君はかなり関わりがあるから、話だけでも聞いてあげたら?」
「エル、さっきも言ったけど、これはいつもの面倒事だ。関わったら巻き込まれる」
そう思い、窓から離れようとすると、トマナさんがこちらを見て来て俺と視線が合う。
「…………。よし、戻るぞ」
俺達は離れようとした時、トマナさんは思いっきり頭を下げて来る。
そして、何を言っているか分からないが、半泣きになっているので
「ハルヤ、流石にアレを放置するとさらに面倒事になると思ったのは私だけか?」
「いや、俺も思った。仕方ないから話だけ聞くか」
俺は扉を開けて、ルージュの結界の中にトマナさんを入れると
「ハルヤ様、大変な事になりました。すみませんが、商業ギルドまで来て貰えますか?」
「今日は一日休みなので、嫌です」
俺は正直に拒否をする。
ただ、相手が聞いてくれるかは別だと、そう思ってしまう。