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第4話 植物の皮をかぶった妖精

「うむ?何をしておるのだご主人様よ」


 あ、ガウちゃん。ようやく起きたんだ。

 寝てばかりいると頭悪くなるよー。


「何だと!?我輩は今猫なのである。寝ていて何が悪い」


 はいはい。元魔王さんはついに完全に猫になると宣言してしまいましたかぁー。


「ぐっ……そういうわけでは……」


 あぁ、そうそう。何をしているか。よね?


「う、うむ。その机の上にある植物を使って何をするのだ?植物の研究はここしばらくしていなかったが、再開したのか?」


 あぁ~。うん。ちょっとやってみたいことがあってねぇ~。


「ほう?」


 精霊ってガウちゃんの世界でも存在した?


「まぁ居たなぁ。我輩の世界でも精霊魔法が存在した位だからな。エルフとかがよく使っておったわ」


 その精霊達の実体化や寄り代とかってどうしているのかなぁって思ってさ。


「うむ。寄り代については知らぬが、実体化については聞いたことがあるぞ。我輩の世界では人に親しみやすいように動物の姿や人型になるように仮想の肉体を魔力で作り出して交流していたようだな。何せ殆どの人間や魔族には妖精の姿は見えぬからな」


 そうそう。それそれ。でさ、考えてみたんだけど、それって結構力が要ることじゃない?


「まぁ……それなりにな。高位の妖精くらいしか実体化の技は使えないな」


 そうなんだよねー。だから考えたの。寄り代をこっちで用意すれば妖精さんも姿を現しやすくなるんじゃないかって。


「む?そういうものなのか?」


 わかんないけどねー。とりあえず着ぐるみは用意してあげるから後は中身として入ってきてねーって感覚かなぁ。

 ってか、我が家にもそういう存在一匹いるじゃない。


「そういえばそうだったな。あの新入りは確か死にかけの猫に憑依だか同化した存在だったな」


 そうそう。そんな感じ。でも今回は同化というより、一時的な憑依かなー。妖精さんだってそれぞれの都合はあるだろうし。


「うむ。そうだろうな」


 この実験が成功したら、これから気軽にいろんな妖精さんとお話ができると思うの。


「ふぅむ。なるほど。ご主人様がやろうとしている事は、低位の妖精とも交流を深め、人々と妖精のよりよい関係が築いていこうというわけだな」


 そうそう。


「ならば質問なのだが、何故見た目が恐ろしい食虫植物を寄り代として採用したのだ?もうちょっと可愛らしい花とかを選べば良かったのに」


 ……。


「……」


 そりゃぁ、口があった方が便利でしょ?一応声も出せるようにしたいから見た目も話しているようにしたいじゃない。


「……。まぁ、一理あるな……」


 と、言うわけで早速精霊を召喚して寄り代にしてみましょう。


 えっと、中級や上級は外すとして……下級精霊を……っと。これで良いかな?


「精霊魔法の魔法陣か……。この世界ではこのような召喚陣を使うのだな」


 ん?ガウちゃんそういえばこの世界の精霊召喚用魔法陣見るのは初めて?


「うむ、そうだな……。元の世界でもそうそう見る機会はなかったがな。む?魔法陣が光りだしたぞ」


 お?成功かな?


 おぉ、出てきた出てきた。


「むぅ~……我輩には妖精は見えぬ。しかし、なんだか禍々しい雰囲気がするのだが」


 元々適正ないと見えないものよ。それにガウちゃんの世界の精霊は見えていたととしても別の世界の精霊が見えないなんて事は珍しくないし~。


 それに禍々しいとは失礼ねぇ。


「いやはや、失礼した。世界が違えば理も変わるという事だな」


 そうそう。あ、精霊さん。そこの植物は貴方の為に用意したものよ。

 普通の植物よりは入りやすくて操りやすいと思うから……。


 そう。いいわよぉ~。あ、入った。


「植物がビクッとしたぞ」


 妖精が植物の中に入ったという証ね。


「おぉ。ウネウネ動いておるわい」


キシャー!キシャー!


「なんだか声が出ているが、おかしくないか?」


 あれぇ?もっとバリエーション豊かな言葉が喋れる予定だったんだけどなぁ。


キシャー!!パクンッ!


「おわっと!?おい、ご主人様よ!今こやつ、我輩を食そうとしたぞ!!」


 いやー。それは流石に気のせいだし失礼すぎるでしょう。

 まともに動かせる部分がそこしかないんだし。


「そ、そうか?」


 あ、蔦を伸ばしてきた。


「わ、我輩に絡みついてきたぞ?」


 きっと握手とかハグをしているんだねー。


「う、うぐ!?く、首に……苦しい!!」


 ありゃー。まだ力加減できないのかなー?


「痛い痛い!かじられてる!?」


 ちゅーしてるのかなー?


「そんな訳無いだろう!コラッ、離せ。この無礼者めが!!おい、ご主人様!こやつ絶対我輩を捕食しようとしていただろう?」


 あー!!蔦がガウちゃんの爪でバラバラにぃー。って?捕食?妖精さんが猫を捕食??そんなわけないでしょう!


「ご主人様よ。いくら元が妖精だからと言って現在は植物としての機能があるだろう。腹だって空くのではないのか!?」


 そうかもしれないけどさー。え?じゃぁもしかしてこの子結構危険?


「そう考えた方が自然だろうよ。というか、これは本当に妖精か?むむ?こりゃいかん。また蔦を伸ばしてきたぞ!」


 ありゃー。これは私も狙われているパターンかぁ…。燃えろ!!


「うお!?食虫植物が火達磨になりおった」


 消し炭ってやつねー。


「家を燃やすではないぞ?」


 ちゃんと出力調整してあるって。


「お、おいおい……妖精も一緒に燃やしたのではなかろうな?」


 んー。いや、無事みたいね……。


 あれ?これ……。


 あちゃー。なんか悪いタイプの妖精を召喚しちゃったみたい。


「悪いタイプ!?」


 しかたないかー。


「いやいや。どうやったら悪いタイプの妖精なんて引き当てるのだ?というか、妖精に悪いタイプなんて存在するのか!?初めて聞いたぞ」


 こうなったら。……消えろ。


「えっ?なにしたの??そんなドスが効いた声で」


 なにって、強制送還だよ?


「……そうか」


 でもこれで身体となる部分があれば要請は私達と交流可能って事が証明されたわね。


「ご主人様は二度と召喚魔法を使わない方がいいと思うぞ」


 えー。


ガウ:「この物語は、猫や平和、植物にも優しくないお話なのだ」


リディア:ちょっとー。あんまりいい加減な事言わないでよ。アットホームな物語でしょ?


ガウ:「いや、今更アットホームとかどの口が言うのだ……」


リディア:ガウちゃんのご飯、今日は魚の骨だけでいい?


ガウ:「にゃーん。ご主人様は最高のご主人様なのだにゃー(裏声)」

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