十五:聖女と遭遇
【※読者の皆様へ、大切な知らせ】
本日、新連載をはじめました!
タイトル:怠惰傲慢な悪役貴族は、謙虚堅実に努力する~原作知識で最強になり、破滅エンドを回避します~
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絶対に面白いと思うので、歴代最高の自信作なので、どうかぜひ『第一話』だけでも読んでみてください! お願いします!
臣下も国も、これまで築き上げてきた全てを投げ出して逃げたクリアは、見慣れぬ土地へ転移する。
「はぁはぁ……っ。こ、ここは……っ!?」
保有する全ての魔力を解き放ったクリアは、息も絶え絶えと言った様子だ。
「おそらくはロンドミリア領……。それも中心部かと思われます」
「くっ、敵地のど真ん中ではないか……っ」
彼女は自らの不運を嘆いた。
「ここは危険だ……。とりあえず、身を隠す、ぞ……っ」
そう言って一歩前へと踏み出した彼女の体がぐらりと揺れた。
「く、クリア様!?」
「き、気にするな、少しふらついただけだ……っ」
そう言った彼女の額には玉のような大粒の汗が浮かんでいた。
無茶な魔法を使ったために、重篤な魔力欠乏症を引き起こしており、立っているのもやっとな状態だ。
「そんなことよりも早く行くぞ……。お前とて全快にはほど遠い。こんなところをロンドミリア陣営に見つかってみろ……一巻の終わりだぞ」
「か、かしこまりました……っ」
ボロボロの体を引きずって、すぐに移動を開始するクリアとイシュナ。
そんな満身創痍の二人に、恐る恐る話しかける一人の少女がいた。
「あ、あの……大丈夫、ですか……?」
髭への制裁を下し、たまたま外の空気を吸いに行っていたティアだ。
「っ!?」
聖女である自分が接近を気付けなかったことに驚愕の表情を浮かべたイシュナ。
しかし、声を掛けて来た相手が、制服を纏ったいかにも無害そうな――間の抜けた表情をした少女だったので、ホッと胸を撫で下ろした。
「お気遣いありがとうございます。ちょっとした貧血ですので、問題ありませんよ」
そうしてイシュナが、ティアとの会話を早々に打ち切ろうとしたその瞬間。
「逃げろ、イシュナ……! そいつは『聖女』だ……!」
召喚士としてティアの正体を即座に看破したクリアは、すぐに撤退を指示した。
「くっ、ロンドミリアめ……! まさかもう捕捉されていたとは……っ!」
イシュナは即座にメイスを取り出し、戦闘態勢をとった。
「クリア様、お逃げくださいっ! ここは命に代えても私がっ!」
「や、やめろ……っ。これは戦って勝てる相手ではない……!」
完全に自分を置いてけぼりにして、どんどんと盛り上がっていく二人にティアは、どうしていいのかわからなかった。
「えっ、えっと、私はその……っ」
この二人はいったい誰?
どうしてこんなにボロボロなの?
何故、私が聖女だとわかったの?
事態を全く把握できず、ただただ混乱するティアに対し、
「はぁああああああっ!」
イシュナは先手必勝とばかりに突撃した。
「えっ、わ、きゃぁ……っ!?」
咄嗟に前へ突き出したティアの両手に、イシュナの振り下ろしたメイスが触れたその瞬間。
バキンという軽い破砕音と共に、メイスは粉々に粉砕された。
「ば、馬鹿な……っ」
そのあまりの実力差にイシュナは身を震わせた。
「あっ……ご、ごめんなさいっ」
うっかり他人の持ち物を壊してしまったティアは、罪悪感に苛まれていた。
(こ、この反応……。きっと大事なものだったんだろうな……。で、でも! 突然、あんなので襲い掛かってきた向こうにも責任はあるよね……?)
責任の所在について思案する彼女は、大きなショックを受けるイシュナを見て胸がチクチクとし始めた。
(……でも壊してしまったのは、少しやり過ぎたかも)
そう判断した彼女は、素直に頭を下げた。
「え、えっと……大事なもの、だったんですよね。何と言うかその……ごめんなさい」
すると、
「てぃ、ティア……? これはいったいどういう状況なんですか?」
「うわぁ……これってイジメってやつ? ティアってそういうブラックな趣味があったんだぁ……意外」
彼女の後を追って来たユフィとリリは、目の前に広がる突飛な状況に目を白黒させた。
「ち、違うよ! この人たちは、急に黒い穴から飛び出して来たの!」
「『黒い穴』……もしかして時空間魔法……っ!?」
「えー、ほんとにー……? いじめてたんじゃないのー……?」
「もう、だから違うって! それ以上言うと怒るよ、リリ!」
ジト目のまま意地の悪いことを言うリリを、ユフィはキッと睨み付けた。
「報告にあった異物の闘神に……邪神まで……っ。くそ、ここまで、か……っ」
重篤な魔力欠乏症に陥り、意識朦朧としていたクリアは、絶望的な状況を前に意識を手放した。
心が折れてしまったのだ。
「だ、大丈夫で――」
意識を失ったクリアに慌てて駆け寄ろうとしたティアの行く手を、
「――ま、待ってください!」
イシュナが阻んだ。
「私たちは……聖女大戦を降ります。ですからどうか、クリア様の命だけはお助けください……っ」
深く頭を下げ、そう懇願するイシュナ。
「い、いえ! 命なんてそんなひどいことは……」
「どうか、どうかご慈悲を……っ」
そう言ってイシュナは深く深く頭を下げた。
(この誤解を解くのはとても時間がかかりそうだなぁ……)
そんなことを思いながら、ティアは大きなため息をつくのだった。
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