八:聖女と学校
(聖女様は闘神……。だが、まさかこれほどまでに酷いとは……)
髭モジャの目は、これまでで一番優しいものだった。
(いやいや、私は何をそこまで高望みしていたのか……。相手は知能が最低のFランク……。『算式』というものを理解できるだけでも儲けもの……っ!)
髭は何も言わなかった。
ただただ無言で頷いていた。
(それに……一応学習意欲は人並みにあられる模様……。ここは適度におだて、今後の伸びに期待するしかありませんな……)
そうして長い長い沈黙を守り続けた髭は、ついに口を開いた。
「いや、見事な点数でございます! さすがは聖女様!」
「ほ、本当ですかっ!? 何点でした!?」
「はい! これならばどこの学校であろうと入学できることでしょう! 他のテストについてももうこれ以上は必要ありません!」
「や、やったっ! それじゃユフィと同じ学校に行きたいです! あと、何点だったか教えてくれませんか!?」
「もちろん、陛下と同じ学校でございますとも! それにしても、さすがは聖女様! 素晴らしい回答でございました!」
結局、髭モジャはテストの結果を教えてくれることは無かった。
でも、多分あの手応えからして、そこまで酷いものじゃなかったはず。
「とにかく、これでユフィと一緒に学校に行けるね!」
「はい、ティアと一緒ならばとても心強いです」
二人で手を取っていると髭モジャが戸棚から一枚の紙を取り出し、サラサラと何かを書き始めた。
「ふむ……それでは私は急ぎ制服の手配をして参ります。聖サンタクルス女学院の説明は、陛下にお任せしても問題ないでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「では、私はこれにて失礼いたします」
そう言って髭モジャは足早にどこかへと行ってしまった。
(そう言えば……ここに来てから、髭モジャが休んでいるところを一度も見たことがない気がする)
髭はいつも忙しそうにあちこちを行き来しており、いろんな人に指示を出していた。
(やっぱりアレだけ立派な髭を持っているだけあって、凄い人なんだなぁ。……危ない人ではあるけど)
私は心の中で髭モジャへの評価を少しだけ高めた。
■
その数日後。
私は今日届いたばかりの制服に身を包んでいた。
「うん、サイズもばっちりですね! とっても似合っていますよ、ティア!」
「あ、ありがと……っ」
私は気恥しい思いをしながら、控え目にお礼を言った。
友達に服を褒められるのは……お父さんやお母さんに褒められるのと違ってかなり照れ臭かった。
(それにしても……凄く高そうだなぁ)
聖サンタクルス女学院の制服はまさに純白。
施された刺繍はまるで芸術品のように美しく、糸のほつれ一つない。
ちなみに私だけでなく、ユフィも制服に着替えている。
何といっても今日は、聖サンタクルス女学院の入学式なのだ。
※次回更新:1月18日(金)お昼12時!
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