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七:聖女とテスト


「ふわぁ……っ」


 窓から降り注ぐ暖かい陽の光で私は今日も目を覚ました。


「おはようございます、ティア」


「んー……っ。おはよう、ユフィ」


 大きく伸びをして眠気を飛ばす。

 どうやら今日もいい天気のようだ。


「あれ……? どうしたの、その服?」


 ユフィはいつもの修道服のようなものではなく、噂に聞く制服のようなものを着ていた。


「あぁ、これですか? 今年から聖サンタクルス女学院に入学するので、『サイズの確認をしておくように』と爺やに言われていたんですよ」


「へぇー……そうなんだ。学校に……って、学校!?」



 その後、ユフィと一緒に朝食を食べながら、髭モジャから話を聞いた。


「陛下も十三歳となりましたので、今年より聖サンタクルス女学院に入学するのですよ」


「そ、そうなんですか……」


 生まれてから初等教育までは、身の危険があまりに大きいため城内で教育を。

 そして中等教育以降は、同年代との関係を構築し、人間性を一層強化すべく、場外の学校に教育を受けるらしい。


 聖サンタクルス女学院は国立の学校で、王族や貴族がたくさん通うとても格式高い学校。学内は衛兵や貴族の私兵が何人も待機していて、その警備たるや城内と大差が無いとのことだ。

ユフィ学校にいてたくさんの友達を作る。


 そのこと自体は凄くいいことだと思う……でも、一つだけ聞いておかなければならないことがあった。


「え、えっと……その間、私は?」


「申し訳ございません。聖女様にはもしものために聖サンタクルス女学院の付近で待機をお願いできれば……と思います。聖女大戦において、契約破棄を目的とした召喚士狙いは、定石中の定石ですので」


 ……そう言えば、髭モジャは私とユフィが聖女の契約を結んでいると思っているんだった。


 それに他の陣営から見ても、私とユフィは召喚士と聖女という関係に見えているはず。


(……ユフィの身が危険なのは間違いない)


 可能な限り一緒にいなきゃ……。

 それに、私一人ぼーっとどこかで待機しているのは寂しい。


「その……私もユフィと同じ学校に通ったりは……?」


 無茶かも知れないけど、一応手を挙げて言ってみた。


「それ、とてもいいと思います!」


「せ、聖女様が学校に……!?」


 ユフィがパンと手を打った反面、髭モジャは顔を(しか)めた。

 やっぱり少し……ううん、かなり難しいことだったかもしれない。


「だ、駄目ですよね……」


 誇れることではないけれど、私はそこまで勉強が得意ではない。

 お父さんとお母さんから簡単な算術や一般常識は教えてもらっている。


 でも、それだけだ。


 教養や深い知識は何もない。

 すると何を考えているのか、髭モジャは唸り声をあげ、その立派な髭をわしゃわしゃと揉み始めた。


「うぅむ……聖女様が学校に……っ」


(ステータス上、聖女様は頭が残念であられる……。圧倒的なレベル補正のおかげで、何とか会話こそできているが……。しかし、それでも本当にどうしようもなく残念であられることに疑いの余地はない……)


「むむむむむ……っ。聖女様、学校、教育……っ」


(今後、聖女大戦に勝ち残っていくためには、様々な作戦をこなしていかなくてはならない。知能がFの聖女様では……複雑な作戦を覚えることは不可能……っ。ここは学校へ行かせ、少しでも勉強をさせたほうが得策……か)


 するとようやく考えがまとまったのか、髭モジャはポンと手を打った。


「ふむ……確かにそれは悪くないかもしれません!」


「でしょう、爺や!」


「ほ、ほんとですか!?」


 その予想外の回答に私は大きく目を見開いた。

 試しに言ってみるものだ。


「えぇ。ですが、その前に……恐れながら簡単なテストを受けていただいてもよろしいでしょうか?」


「テスト……ですか?」


「はい。聖女様の学力を測るためのちょっとしたものでございます。ほんの十分もあれば十分に終わりますので、試しに一度受けていただけませんでしょうか?」


「わかりました! 任せてください!」


「では、まずこの算術のテストからお願いいたします」


「はいっ! ちょっと待っててください!」



 それから私は問題の書かれた一枚の紙を手に、別室へと移動した。


 試験時間は十分。

 問題は全部で八問。


 しかも、どれも簡単な問題ばかりだった。


(これだったら、私でもへっちゃらだよ……っ)


 きっかり十分後。

 私は確かな手ごたえと共に、しっかりと全ての問題を埋めたテスト用紙を片手に別室を抜け出した。


「できました!」


「おつかれさまです、ティア」


「おぉ、お早いですね! もしや聖女様には少し簡単過ぎましたかな?」


「ふふっ、私だってこれぐらいはわかりますよ」


 自信満々に答案用紙を渡す。


「では早速答え合わせをさせていただきますね」


 そう言って髭モジャは解答用紙に目を落とした。


1)4+7=11

2)23+37=60

3)13-6=613

4)51-25=2551

5)3×2=32

6)14×3=143

7)6÷3=216

8)24÷2=576


「……なるほど」


(引き算からでございますか……)


 私の答案が予想以上にばっちりだったためか、髭モジャは優しい目をして何度も頷いた。


※次回更新:1月15日(火)お昼12時!


15000ポイントまであと少し! ありがとうございます!


※読者のみなさまへ


作者のモチベーションが跳ね上がりますので

『面白いかも!』

『続き期待!』

『陰ながら応援してるよ!』

と思われた方は、ぜひ下のポイント評価からポイントを評価をお願いいたします!


読了報告代わりにもなって、ちゃんと読んでくれてる人がいるんだ……っ!

と、作者のやる気も跳ね上がりますので、ぜひぜひお願いしますっ!

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