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相棒はハムスターの錬金術師  作者: tanuki
9/15

9・温泉


あれから偶に襲ってくる魔獣はすべてラスクに任せ、私はのんびり馬を走らせる事四日、村が見えてきた、村とはいっても街道沿いに在る村なので意外と大きい、立派な木の柵に囲まれた中に農地や牧場が広がっている、畑をぬけるとまた木の柵があり村の門が見えてきた。

手前で馬を土に戻しキャンピングカーをしまい、村へと歩いていく。

「畑や家畜が多いな」

「ガルムの町は大森林が近く魔獣が多いから畑は荒らされるし家畜がいると魔獣の集団が襲ってくるからな!町中にしか作れないけど、ここまでくれば魔獣の被害も少ない、ガルムで魔獣を堰き止めているからな、だから村の外にも作れるぜ」

「ん、ぷりんいっぱい」

ソフィアさんあれは鶏さんでプリンさんじゃありません。

村に入り宿をとる、以外と空いてなく三件目でやっととれた。

話を聞くとこの間の氾濫でとれた魔獣の素材を王都に運ぶ商人でにぎわっているらしい。

翌朝宿を出て市場へと向かう、新鮮な野菜やプリンに使う卵、少し高いが貴重品の砂糖も仕入れる、その後、薬屋をのぞき錬金に使えそうな薬草類を買いあさって村を出る事にした。

「ラスク、次の町はどんなだい?」

馬を魔力操作しながら訊ねると

「ああ!次の町は山を背にした温泉町だ!もともと小さな村だった所に温泉が出てあっという間に大きな町になったんだ」

「おお、温泉か楽しみだな、日本人の血がさわぐな」

「ん、温泉饅頭有名」

ソフィアがリベルを器用に操りながら目をキラキラさせている。

その日も野宿して次の朝、目を覚ますと雨が降っていた。

「雨か今日は土馬じゃ駄目だな石で作るしかないか」

「石でゴーレム作ればいいじゃないか!どうしたんだ」

「石ゴーレムは結構魔力使うし魔力操作が難しいんだ」

「いい練習になるな!がんばれよ」

「ん、修行」

ラスクとソフィアにそう言われると交代してくれとは言い出せず渋々出発する


サクヤ視点2

魔物の氾濫が近いようだギルドも大騒ぎだ王都やトポックの町の冒険者ギルドに応援要請を出し罠や柵の設置依頼を出す、幸いこの町は高ランクの冒険者も多く町の石壁も厚く作られている為、簡単には落とされることはないはずだが心配は心配だ、忙しく働いているとユートさんがあらわれた。

「ユートさん、お久しぶりです今日は登録ですか」

「はい」

ん?聞き間違いだろうか?

「え?本当に?」

「おう!氾濫が近いみたいだからな、俺たちも討伐協力するぜ」

そう言って登録してくれた、今は一人でも実力者は欲しい、いそいで登録をすませる。

実際、バーサクベアはCランクのパーティーかBランク冒険者じゃないと歯が立たない魔獣だ、

単独討伐出来る人材は貴重だ。

あ!ギルドの説明するの忘れたわ、今度でいいか


一ヵ月後やはり氾濫がおきた

大門のすぐ後ろに簡易テントを張りギルド職員総出で炊き出しや救護を行う、けが人が多くポーションが足りない、やはりシルフィリアさんが亡くなったのが悔やまれる。

いいところにユートさんが現れた。

「あ!ユートさん」

いそいで呼び止める

「ユートさんポーションはお持ち無いですか?」

「普通ランクならいくらでも」

「じゃぁとりあえず千本お願いします、支払いは後日ギルドにてお願いします」

次々とポーションを取り出している、あの袋はどれだけの容量があるのだろう、ふつうのアイテム袋は2メルテ(2メートル)四方くらいなのに。

それになぜかポーションが出来立ての様に新鮮に見える。

は!今はそれどころじゃなかった、ぼーと考えていると沢山のポーションが机の上に積まれていた。

「ありがとうございます、つぎの出撃まで休んで下さい」

「そうします、もう魔力切れ寸前です」

忙しい合間を縫って石壁の上へと戦況確認に向かうと、魔獣の合間を物凄い速さで駆け抜ける銀色の物体が

「なにあれ?」

と驚いていると隣の魔法師が教えてくれた。

「あのずんぐりむっくりの物凄く速い銀色が使い魔のゴーレムで、スピードは少し落ちるけど危ない人を助けまくってるのが錬金術師のゴーレムだ、私はエルフで長年冒険者をやっているがあの動きは驚異的だ、あの人型も十分速い」

開いた口がふさがらなかった、しばらく呆然と眺めてみたけどラスクさんのゴーレムは目で追いかける事が全く出来ない

ユートさんの活躍で三日で氾濫を抑えることが出来た、資料によると前の氾濫は二週間かかって抑えているので脅威の早さだ、犠牲者の数も前の二十分の一だ、ユートさんを冒険者に誘い続けたのは間違ってなかった。

あ!まだギルドの説明してないや


のんびりと街道を進む、遠くに見えていた山がだんだん近づいてきた。

「あの山のふもとに町があるのか」

「ああ!もう直ぐ着くな」

「ん、饅頭」

ソフィア、町の名前は饅頭じゃないと思うよ

のんびり馬を操っていると町が見えてきた。

例によって手前で歩きに変え、町の入り口で門番に止められる

「身分証を見せて下さい」

素直に差し出すと確認して不思議そうに見つめてくる

「どうかしましたか」

「いやこれには30才と」

「はい、合ってます、私ハーフエルフですので」

久しぶりの台詞で答えた。

「そうですか、失礼しました、ようこそトポックの町へ、楽しんで行ってください」

町へと入るとTHE温泉街が広がっていた、広い道の両側に温泉旅館が並んでいる。

ソフィアが早速、饅頭屋を見つけじーと見つめている

「じー」

ソフィアさん、ソフィアさん声に出てますよ

「はは!ソフィアは甘いの好きだな」

「ん、好き」

「おじさん、饅頭二つ」

「はいよ大銅貨3枚だ」

買うまで動きそうじゃないので二つ買って見る

一つずつ分けて食べてみると饅頭の皮だけで中にはなにも入っていなかった。

だがソフィアは、はふはふと美味しそうに食べている

「おう!どうした残念な顔して」

「うん、餡子が入ってないんだ」

「そうか!後で作ってやるよ」

ラスクは私の記憶にある物なら何でも素材を分析してこちらの材料で作ってくれる。

私はラスクに材料を用意してもらわないと出来ない、小豆の成分など分析したことが無かったからな、大学時代は鉱物専門だった、もっといろいろな物を分析してみればよかった。


饅頭屋のおっさんのお勧め宿に決めた、順調に進んでいるのでこの宿で三泊する事にして、早速温泉に入りに行く。

「おお、広い、露天風呂もあるぞ」

「おもいっきり泳げるぜ!」

「ん、泳ぐ」

君たち温泉で泳いではいけません

早速ラスクとソフィアを洗ってやると湯船に直行していった。

「泳いじゃ駄目だからな」

「えー!駄目なのか」

「ん?」

いやいや、普通駄目だから、ラスクはわかる筈だよね。

私も体を洗い露天風呂へと向かうと先客がいた。

「お、救済さんと旋風じゃないか」

「えーと?どちら様」

「ああ、俺たちのパーティーも今回の討伐に参加してたんだ」

どうやら冒険者さんのようだ

「そうですか、私は優斗といいます、今回は町の為にありがとうございました」

「俺はザック、Bランクチーム[黒狼の盾]のリーダーだ、よろしくな、それと礼を言うのはこっちだ、俺のメンバーが救済さんに助けられた。本当にありがとう」

そう言うと頭を下げてきた、お礼をされると参加してよかったと思う。

「俺はラスク!まかせとけ」

またラスクが意味のわからない返事をしている。しばらく世間話をしていたらザックさんが

「厚かましいんだが、ユートに頼みたい事があるんだ」

なんだ、嫌な予感がする

「なんでしょうか?」

「この山の中腹には鉱山がある、そこには魔物がいるんだがたいして強くはない」

「はぁ」

「いつもはハンマー一発で仕留められるし奥から出て来ないんだが、どう言う訳か浅い所まで大量に押し寄せて来て鉱山に入れなくなっちまった、光を嫌って鉱山からは出て来ないんだがな」

「冒険者を雇えば?」

「ああ、俺たちも討伐に向かった、だが数が多い、それに鉱山の中だから強力な魔法も使えない、崩落するかもしれないからな」

そうか鉱山内は戦闘には向いてないな

「それで、救済さんと旋風なら小さいし魔法も使わないだろ、少し手伝って欲しいんだ」

私の中の嫌な予感がどんどん大きくなっている、どこかの信二くんも言っていた、うけちゃだめだうけちゃだめだうけちゃだめだ。

「い「たのむ、旋風」や・・・・」

「おう!まかせとけ、俺たちなら楽勝だぜ」

「ん、がんばる」

オーノー、らすくさーーーん、何という事を、それにソフィアは駄目だろ。


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