6・日常
今日で宿の契約が終わるどうしよう、この五日毎日屋台で薬を販売してある程度稼げる目安も立った、それと問題は横で寝ているソフィアだ、冒険者ギルドで薬草を買った日、広場の隅で屋台を出していたらソフィアが一人でやってきた、どうしたか尋ねても答えず困ってしまい、とりあえずラスクに遊んでもらい、夕方孤児院につれて行ったのだが、翌日もその翌日もやって来た、ミュー先生と相談した結果、ラスクで心が回復するならと、しばらく引き取って錬金術を教えてみることになり今日で2日目だ
「おはよう」
「お!ちび起きたか、おはようさん」
「ん、おはよ」
みんなで顔を洗い朝食をとりに食堂へ行く
「ソフィア、魔力の塊は解るようになったかい?」
「ん、ばっちり」
「え!もう私は3日かかった、すごいな」
「いや!それだけじゃないぜ、もう体中をゆっくりだけど巡らせているぜ」
!!!え、すごい私は3ヶ月もかかったのに実質昨日一日でそこまで、これは先輩としてうかうかしてられない
「ソフィアはすごいな、私ももっと練習しないとね」
「ん、がんばれ」
心なしかソフィアさんが上からのような・・・。宿に鍵を返し部屋を引き払い町に出た、今日は広場に行かず商業ギルドにやってきた
「ユートさん、いらっしゃいませ」
「お久しぶりですリッツさん」
「今日は如何されました」
今日は家を探しにきた、宿ではお金がもったいないしもう宿の食事に飽きてしまった。あと一番問題なのがお風呂だ、宿では裏の井戸で体を拭くだけだったので、どうしても入りたい時は町の共同浴場でお金を払い入るしかない。
「今日は家を探しに来ました、庭付きの一軒家で貸し出し物件などはないでしょうか」
「庭付きで一軒家、貸家となりますと、あまり有りませんね大体が売り家となっておりまして、庭無しで宿屋のような部屋貸しタイプなら紹介できますが」
そうかやはり庭付き一軒家は無いか、ん?それなら土地だけ借りてキャンピングカーを出してもいいな。風呂は錬金で作るか共同浴場だな、庭があれば出来るだろう。
「それでは、土地だけ借地なんか有りませんか?」
「土地の貸し出しは御座いますが、契約終了後に元に戻すのが条件に成ります」
「はい、それでいいです」
「ではどの様な場所をご希望ですか?」
「孤児院のそばでありませんか」
あそこなら町の外れだしそんなに高くないだろう。
「はい、御座います、広さは区画が整理されておりますのでどれも同じで、貸賃も月、金貨3枚となっております」
「じゃあ一番孤児院に近い場所をお願いします。」
土地の契約をすませギルドを出ようとしたらリッツさんに呼び止められた。
「あの、ユートさん屋台で販売する分で余ったお薬などは御座いませんか?」
ああそう言えば前にも言っていたな。
「普通ポーションなら大量にあります、他の薬も材料と時間をもらえば出せますが」
「それでは普通ポーションを500本ほどお願いします」
以外に多いな
「多いですね、何かあったのですか」
「はい、この所、魔獣による被害がが多く、強い魔獣が近くの森で発見されるようになり王都からのポーションの輸送が間に合っておりません、領主軍が調査に乗り出すにあたり、大量の発注がありました。」
氾濫か?大変だ。
「それは心配ですね、足らなくなったら言って下さい、いつでもいいので」
「ありがとうございます」
ポーションを卸し、後ろの席でラスクと遊んでいたソフィアに声をかけた。
「おまたせ、さあ、行こうか」
今日は屋台をお休みして借りた土地にキャンピングカーを置きに行くことにした。
以外に広いな、借りた土地は以外に広く、日本で言うと60坪ぐらいありそうだ、早速キャンピングカーを出し水平に固定した。
「ずいぶん広い庭になっちゃたな」
「まぁ錬金術の練習するには良いんじゃないか!」
「ん、練習大事」
ソフィアもラスクと一緒に頷いている。
「そうだね、訓練には良いかもね、それよりもラスク、商業ギルドで言っていた魔獣の増加が気になるな」
「そうだな、エメリオの知識の中の氾濫の前兆に良く似てるし、どうする優斗、逃げるか?」
一瞬考えたが、首を振った
「いや、この町はいい町だ、見捨てられないよ」
「おう!優斗ならそう言うと思ったぜ、けどどうする?」
うーん、いろいろ武器も考えたんだけど一応知識だけはある、レールガンやミサイルランチャー、ラスクなら作れるかもしれないがいくらなんでもオーバーテクノロジーすぎる、ゴーレムが使っている銃もDVDで24時間戦っていた人が使っていたのをイメージしてラスクに錬金してもらった。
「ラスク、前に作ったオールステンレスのゴーレムは覚えているかい?」
「ああ1時間しか動かなかったやつだろ」
前に、物凄く硬いタングステン・ベリリュウム合金をラスクに作ってもらいゴーレムを作ってもらった魔力を流し動かそうとしたがビクともしない、今度はチタン鋼でも試してみたが腕を上げただけで止まってしまった。
仕方なく鉄から炭素を抜くイメージとクロム、ニッケルをかけてステンレスを練成しオールステンレス製で作ってみたけど長い時間は無理だった、ラスクでも1時間しか稼動出来なかった。
「ああ、それなんだけれど、この町に入って思ったんだ、小さくしてはどうかな?」
ラスクのゴーレムは私の記憶のゲームに出てきた2メートルもある岩で出来たやつをイメージしているから大きい、だが私の銃を使うゴーレムは人族の大人ぐらいの大きさでデッサン人形みたいにしている、そうすれば魔力消費が抑えられるからだ、この町でドワーフを見て思った
もっと小さくても良いんじゃないかと
「おう!それでやってみようぜ」
早速、町なかでは危ないと言う事で孤児院にソフィアを預け、屋台を作った森のそばに行くことにした。
「よお、坊主、最近魔獣が多いから気をつけろよ」
門を出るときにこの世界で始めて会話した門番さんが声をかけてきた。
「はい、森には入らないので大丈夫です」
この辺で良いだろう、早速背負い袋からステンレスの塊を出し錬金してみる。
魔方陣から小さな1メートルぐらいのデッサン人形が出てきた、ラスクのほうを見るとやはり岩ゴーレムのミニチュア版が出来上がっていた。
「早速、戦ってみるか」
「おう!今日も勝って連勝記録を伸ばしてやるぜ」
ラスクがドヤ顔で言ってきた
「そう簡単には負けないよ」
戦いは予想以上に長引いた小さく軽くなったぶん動きも早く制御しやすい、抜き手、パンチ、蹴り、頭突き、と全身を武器に出来る、調子にのって日本で見たアニメの主人公の忍者の動きをイメージしたら視界から消えて制御を失い森のなかに吹っ飛んでいってしまった。ゴーレムは術者の視界内でしか制御出来ない視界から消えるとそこで止まってしまう。だが視界内にいればどんな動きもイメージと魔力操作さえ出来れば可能だ。
「なにやってんだ!良いとこっだたのに」
「ごめん、ごめん、探しに行こう」
森に入るとゴーレムは大きな木にめり込んでいた
「さすがステンレス製頑丈だな」
「おう!永遠に決着つかないかもな」
ふと気配を感じ森の奥を見ると灰色狼の群れがこちらを睨んでいた。
「!ラスク」
「おう!やるぞ」
すぐにゴーレムに魔力線を繋ぎ制御する
「来た!」
20匹ほどの群れが一気に襲ってきたゴーレムの制御に集中する為、足元の土を錬金で盛り上げ近くの木に飛び移る、下を見ると、すでにラスクのゴーレムが半分くらい始末していて目が点になった。
え?木に一瞬で登ったのに、もう半分も?なにやらラスクのゴーレムが残像を残しつつ動きまわっている、亀の甲羅を背負ったおじいさんみたいだ。
「速っ!!!!」
私も参戦しようと思った時には終わっていた。
「まあ!優斗は土を盛り上げてたしな」
木に上がる必要が無かったような・・・。
狼の死体を一箇所に集め錬金解体し背負い袋に仕舞った。
「やっぱり氾濫が起きるかもしれないな」
「おう!ちょっとでも役に立とうぜ」
「そうだな今日はもう帰ろう」
森で狼に襲われてから一週間、朝の筋トレにゴーレム模擬戦が加わった、毎朝ラスクと模擬戦をしているのだが。
「ラスク、そのゴーレム速過ぎないか、よく目で追えるな?」
「ああ!俺の目は識別眼、ゴーレムその物じゃなくて、魔力を目で追っているんだ」
「魔力が見えるのか、私には無理だな」
「優斗のゴーレムも十分強いと思うぜ!エメリオの記憶でもそんな速いゴーレムは無いぜ、大抵、でかくて遅い、まあエメリオのゴーレムは無茶苦茶でかいけどな、それだけ魔力が大きく魔力制御がうまかったんだ」
いや速いって、あんたのは残像残してるし。
庭での朝練を終え、シャワーを浴びて孤児院に向かう、孤児院の近くに引っ越して安心したのかソフィアは今、孤児院に戻り、朝迎えに行くようになった、昼間屋台で薬を販売している時に屋台裏でラスクに錬金術を習っている。
「ソフィア、錬金術おもしろいかい?」
「ん、すごく面白い」
「ソフィアはすごいぜ!もうすぐゴーレム作れるかもしれない」
うーん、早い完全に負けている、もう諦めたそのうち魔力量以外は抜かれるのだろう。
最近薬の販売が好調で材料が減ってきているいくらエメリオが貯め込んでいたと言っても限界がある、町の薬屋や市場で素材になりそうな物をラスクに調べてもらおう。
五日屋台をやって一日は森に素材集めに行ってもいいな、ゴーレムで集めれば護衛兼練習にもなっていいかもしれない。あと一日はもちろん休日だ。




