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相棒はハムスターの錬金術師  作者: tanuki
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4・討伐報告


宿で1泊した翌朝、裏庭で筋トレをすませ、部屋で体を拭いた後、朝食をたべる為に、食堂に下りる。

「おはようございます、食事をおねがいします。」

「あ、おはようございます、適当に座って下さい、すぐにお持ちします。」

空いているテーブルに座るとすぐに食事が運ばれてきた。目玉焼きに塩味のきつい干し肉とやわらかいパンそれに野菜スープだ。

「昨日の夕食も思ったけど、基本素材の味を生かして味付けは塩やバターだけというのが多いな。これはこれで美味しいけどね。」

「まぁ砂糖や香辛料は高いからな!」

自分で出したヒマワリの種を両手で器用にもち、ほっぺたいっぱい膨らましながらラスクが教えてくれる。

「じゃあ屋台で日本の食べ物を売るのはもう少し様子を見てからにしよう。あまり香辛料をふんだんに使った料理を安く売れば他の屋台に迷惑だろうし。」

「そうだな!いいんじゃないかお金には余裕があるし、薬はどうする?」

「まだ上級ポーションが作れないから、普通ポーション、それに向こうの知識を生かして風邪薬や頭痛薬、腹痛の薬なんかを売ろうかと思っているんだ。」

「日本製の薬か!良いかもしれないな、でもまずは屋台を作らないと町中ではマズそうだから町の外で作ろうぜ。」

「そうしよう。」

町の外にでて町から見えていた近くの森のそばまでやってきた。

「もうこの辺でいいかな?」

「ああここならいいんじゃないか!」

最初は薬だけだけど後で食べ物なんかも売るかもしれないしどうしようかな。

「サスペンションはいらないけど、棚や屋根をせり出せるようにして」

また例によって熱中して2人であれこれ考え、ようやく完成した。

「さあ帰ろうか」

そうラスクに声をかけると同時に

森の中から冒険者のような若い3人組みが駆け出してきた。

「おい逃げろ、バーサクベアだ」

バーサクベアは力が強いし皮膚が硬く毛皮が分厚いため剣による攻撃などもなかなか通らず、魔法による攻撃をするのが一般的なのだが、強力な魔法が使えない者にとっては逃げるしかない相手だ、幸い足が遅いため比較的逃げやすい。

「ラスク!!」

「OK!一応優斗も出してくれ」

「了解」

2人で地面の土を利用してゴーレムを作る。

「!ゴーレム!錬金術!」

3人が驚いている間にゴーレムが完成する、私の作ったゴーレムには銃を持たせ、ラスクのゴーレムにはチタン合金製の槍を持たせる。

「早くこっちに」

3人がゴーレムの後ろに回ると森からバーサクベアが現れた。

「私のゴーレムで足止めする、ラスクは突っ込んでくれ」

「了解!」

銃で頭を狙って撃ち込むが頭蓋骨が硬く致命傷にはなっていない、だが嫌がって前足を高く揚げ威嚇の体勢で立ち上がった、そこにラスクのゴーレムがゴーレムらしからぬスピードで突進し心臓のあたりに体ごと槍で体当たりを食らわした。

「ガァァァァァァァァ」

大きな鳴き声を一声あげるとバーサクベアが仰向けにたおれっていった。


「ありがとう、たすかったよ」

「いえいえ、どういたしまして、その足なら逃げ切れたでしょうし。」

「ああ逃げれたけど町まで引っ張っていくと町に迷惑がかかるからな」

「あ、バーサクベアの素材半分ずつで良いですか?」

「いや俺たちは何もしてない全部君の物だよ、それにしてもその年で錬金術でゴーレムを操れるなんてすごいな」

「私は優斗といいます、ハーフエルフですからこう見えても30才です。」

もうこのくだり何回目だろうか、もう10才にしてしまおうかな、いやいや10才じゃ宿にも泊まれないしギルドにも入会できないしな。

「えハーフなんて聞いたことないぜ両親のどちらかの種族になるんじゃぁ?」

リーダーぽい男の子がつぶやいていると、となりの猫耳の女の子が

「あたしはマーヤ、そんでそこでぶつぶつつぶやいている男子がリーダーのカイ、その後の男子がギルみんな同じ孤児院の幼馴染なんだ、助けてくれてありがとうユートさん」

後ろの男の子が頭を下げていた。

「ユートでいいよエルフで言えば見た目どおりの年令だし、じゃあ、あのバーサクベアは孤児院に寄付するよ、今解体するね」

そう言うとマーヤが

「本当にユート!ありがとう、孤児院のみんなも久しぶりにお肉が食べれるわ」

「おいマーヤ、それはあまりにも虫が良すぎるだろ」

「いや!いいぜ!優斗は沢山肉もっているからな」

ラスクが答えると、みんな一斉にラスクを見て目を見開いている。

「錬金術師が連れているから使い魔だろうけど使い魔ってしゃべれるんだ」

マーヤがラスクをつっつきながら話しかける。

「術者の能力が高いからな!高レベルの使い魔は大抵喋れるはずだぜ」

「いや錬金術師自体が珍しいからそんなこと初めて知ったわ」

「錬金術師って珍しいんですか?」

私がそう訊ねるとリーダーのカイが答えてくれた。

「ああ、錬金術師になるには素質がいるんだそれは一万人に一人ぐらいらしい俺も院長先生から少し聞いただけだから詳しくは知らないけど」

するとギルもうなずきながら

「俺もそう聞いている」

短く答えてくれた

「じゃあ解体しますね」

そういってバーサクベアの死体に魔力を流し込んでいると地面に魔方陣が現れ死体が沈んでいくそこで今度は分解のイメージを固めていくと地面から

部位ごとの肉塊、なめし終わった毛皮、骨、土の器に入った血液などが浮かび上がってきた。

「すげぇ!錬金術ってこんな事も出来るのか」

3人が驚いているうちにゴーレムを土に戻し武器を回収して素材を次々に背負い袋にしまっていく。

「さあ行きましょう」

「ああそうだな、こんな浅い森にバーサクベアが出たことを、ギルドに報告しないとな」


町に着くとカイが

「ユートも来てくれるか?バーサクベアの素材を見せないといけないかもしれないから」

「いいですよ、着いていきます。」

カイたちの案内で冒険者ギルドに到着する。

中に入ると日本の役場みたいな作りでカウンターの向こうにギルドの受付さんが並んでいた。

「報告があるんだけど」

「カイさん、どうしました?」

「今日いつもの町の近くの森で薬草採取しながら角ラビ狩りをしていたらバーサクベアに襲われた」

受付のお姉ーさんが驚く

「!バーサクベア!それは高ランクに依頼を出さないと!」

「ああそれは、この人が仕留めてくれた、ユート、バーサクベアの毛皮を出してくれ」

「そちらの男の子が?」

「はいこれが毛皮です、私はハーフエルフですのでこれでも30才です。」

もう定番となってきた台詞を答える。

「そうですか、では、拝見しますね、大きいですねそれにこれはなめし終わっているようですが?」

「それは錬金術よ、ユート凄いんだから、こー手をかざすと死体が沈んでいって」

マーヤが答えるとその横でギルがうんうん頷いている。

「錬金術師ですか、それじゃ肩のねずみは」

「おう!ラスクだよろしくな!ねずみじゃなくてハムスターだ」

「はむすた、ですかしつれいしました、喋る使い魔さんはエメリオ様の使い魔以来ですね」

「ああ銀色の狼だろ、俺の大先輩だ1日しか一緒に居なかったけどな、最初にいろいろ教えてくれた」

ラスクが懐かしそうに答える。

「そうです、ウルスさんですエメリオ様の使い魔でした、エメリオ様はSランクの冒険者で時々魔獣の素材や薬などを売りに来られていたのですが、この1年ほど来ておられませんねぇ」

受付さんが首を傾けているので、私が答えた。

「師匠は死んでしまいました、私は最後の弟子です」

「え!?それは残念です、とても惜しい人を亡くしました」

目を閉じて受付さんが祈っている。

「では高ランクの冒険者に森の調査依頼出しておきます、この毛皮はどうされますか?」

「それは孤児院に寄付するので返してもらえますか?」

あの大きさなら何人分かの毛布代わりとかに使えそうだ。

「それじゃぁお返ししますね、ユートさんは冒険者登録なさいませんか?」

「いえ商人登録をしていますので」

あんな魔物と毎日立ち合うなんてとんでもない。

「そうですか、バーサクベアを狩れる実力者は貴重なんですけどね」

いやいやその熊、私の攻撃じゃ、かすり傷程度で実際に仕留めたのはラスクですはい。


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