3・到着・登録
翌日街道に出た私たちは早速幌馬車ふうキャンピングカーを作った、ラスクと二人であーでもない、こーでもないと熱中していたら夕方になってしまった私の悪いくせをラスクも継いでしまったようだ。
出来上がった馬車は以前見たことのある軽自動車のキャンピングカーみたいになった、街道幅が意外と狭く小さくするしかなく結局、運転席と後は後部がベッドで占領された、だが足回りにはこだわりサスペンションや板バネを駆使して乗り心地は良くなった、ワイパーもあり雨の日も安心使用だ。
「今日はここで泊まろう」
「じゃぁ夕食出してやるよなにがいい!」
「そうだな今日は煮込みうどんなんてできるかい?」
「OK!」
私はうどんラスクはヒマワリの種を食べながら早速キャンピングカーでくつろぐ
「そういえば町に入るに当たって注意点なんかあるかい?」
「うん!町なら門番に入場料を払えば入るのは自由だぜ、でも身分証明が必要だな、冒険者ギルドの出張所か商業ギルドが町にもあるからそこで冒険者登録か商人登録するといいぜ」
「商人は何となくわかるが、冒険者?ギルド?それはなんだい?」
「冒険者って言うのはまあ日本で言うところの傭兵兼なんでも屋さんみたいなもので、町の周りの魔獣を狩って素材を売ったり薬草採取したり町の手伝いなんかをする人の事でギルドは冒険者に仕事の斡旋をして素材を買ってくれる冒険者の会社みたいなものだ!」
「登録すれば身分証明になるのかい?」
「ああ!簡単な身分証明になるぜ」
「私には魔物討伐は無理だから商業ギルドに入るよ」
順調に街道を進み途中出てきた熊みたいな魔物を(ラスクが作ったゴーレムが)退治したり(私は馬のゴーレム)しながら2日、町が見えてきた、手前で馬を素材に戻して軽自動車を無限収納袋にしまう、
それにしても何でも入ってしまう驚き袋だ私もラスクに習って作ってみたが畳2畳ぶんくらいの容量しかないし時間も停止しない、おまけに袋の口の大きさ以上の物は入らないという不良品だラスクも時間停止はするが袋の口の倍の大きさまでで畳4畳分ぐらいの容量の物しか作れずいかにエメリオが優秀だったかがわかった。
「以外に大きい町だな」
2メートルくらいの高さの石壁が町をぐるりと囲って回りに堀が掘られている
街道から伸びる道なりに橋がかかって門へと続いている
「おお!ここは俺たちが居た大森林に一番近い町だから大森林の魔物の素材なんかを王都に運ぶんだ、後は大森林の魔物の氾濫を食い止める最前線だから腕のいい冒険者なんかも集まってきて大きな町になったんだ」
「氾濫なんかあるのか、出てきて正解だな」
「前にあったのは20年くらい前だけどな!」
肩に乗ったラスクが答えてくれた
「このままラスクをつれて行ってもいいのかな」
「大抵の錬金術師は使い魔と一緒に居るから大丈夫だぜ!使い魔は術者の数だけ姿が違うから大型の使い魔もいるみたいだぜ!」
肩にラスクを乗せ背中に背負い袋、服はラスクが作ってくれた薄い緑の上着に茶色いズボン山歩き用の登山シューズという出で立ちで町へと向かった。
町の入り口で門番に話しかける。
「こんにちは、通行料はいくらですか?」
「ん?譲ちゃ、いや坊ちゃんか、一人か親か連れはいないのか?」
「大森林の近くで師匠と二人で住んで居たのですが師匠が亡くなり森から出てきました。」
「それは使い魔か?師匠とは錬金術師か、それは大変だったな入場料は銀貨1枚だ払えるか?」
「おう!俺はラスクだよろしくな」
「は!?喋った、おお、よ、よろしく」
「はいお金です。」
予めラスクに聞いていた通りにポケットから銀貨をとりだす。ちなみに賎貨1円、銅貨十円、大銅貨百円、銀貨千円、金貨1万円、白金貨10万円、星金貨100万円ぐらいの価値らしい。
「はいたしかにじゃあこっちに来てくれ犯罪歴を確認する」
横の小部屋に連れて行かれて椅子に座った机の上に水晶球が置いてあり中に薄い明かりが灯っている、これは錬金術で作られた魔力紋を登録する物で過去犯罪を犯したものはすべて登録されているらしい結構高級品だとラスクが教えてくれた。
「こいつに手を乗せてくれ」
「はい」
水晶が青く光始める。
「問題ないな、ようこそガルムの町へ、じゃぁ気をつけてな」
町へと入るとそこは旅行で行ったことのあるヨーロッパの田舎の方の町並みを再現したみたいだ、綺麗な石畳、石造りの家、広い道の両側にはさまざまな店がならんでいる。
ヨーロッパと違う所は、物凄くオッサン顔で背の低いボディービルダーみたいな人がちらほら歩いている。本で読んだがドワーフ族だ。
「きれいな町だね、まるでヨーロッパに来たみたいだ。」
「ああ!腕のいい職人も多いからな、まずは市場にいって食料を仕入れてから宿だな行こうぜ。」
ラスクが鼻をひくひくさせながら辺りを見回している。
「ラスクは市場や宿が何処かわかるのかい?」
「マスターは半年に一度食料を買いに来ていたからいつもの定宿がある、そこは飯も美味いらしいぜ!俺はヒマワリの種次いで落花生かなあれはちょっと大きくて食べにくいんだよな。」
そんな話をしながらラスクの案内で市場で大量に小麦や野菜類、香辛料など買い、宿についた。
「すみません宿泊したいのですが」
「はいはい、ぼく一人?親御さんは?」
受付に座っていた15才くらいのかわいい女の子が不思議な顔をしている。
「私こう見えてもハーフエルフでして今年で30才になります」
「え!!人族でもエルフでもなく?ハーフと言う方は初めて見ましたそれなら大丈夫ですね、こちらに記入をおねがいします」
名前と年令を書き込んで差し出す。
「身分証をお願いします」
「身分証はまだ無いんです、この後商業ギルドで発行してもらうつもりで。」
「それでは後でお願いします、一人部屋で銀貨3枚朝夜食事付だと銀貨4枚になります何泊ご利用ですか?」
「とりあえず7日食事付きでお願いします、それと商業ギルドの場所を教えてください。」
ポケットから金貨3枚をカウンターの上においた。
「それじゃ銀貨2枚のお釣りとこれが鍵です部屋は2階の23号室です、それとこれがこの町の簡単な地図です大銅貨1枚ですけど、どうでしょうか。」
「ありがとう、買います、じゃあ部屋に行く前に早速商業ギルド行ってきます。」
鍵をそのまま返してお金を払い、地図をもらった。
地図をみながら商業ギルドをさがすと簡単に見付かった。
「すみません、登録したいのですが。」
受付に座っていた眼鏡美人さんに声をかけた。
「いらっしゃいませ、登録は15才からとなっておりますが。」
にこやかにやさしく教えるように言ってくれた。
「はい私ハーフエルフでして今年で30才になります。」
「ハーフ?ですか初めて見ました、そうですか失礼しました。」
「いえいえ。」
「ここは商業ギルドですがどの様な物を販売されるおつもりですか。」
「はい、私錬金術が使えるもので薬や食事などを屋台で売ろうかと思います。」
「錬金術師ですか、では肩に乗っているネズミは使い魔ですね?」
「おう!俺はラスク、ネズミじゃなくてハムスターだよろしくな」
「喋った!?」
クールビューティーな眼鏡美人さんがなにやら考えている。
私も最初同じ反応したなぁと懐かしんでいると。
「はむすた?・・・喋る使い魔?・・・もしかして・・・エメリオ様」
美人さんがなにやらつぶやいて。
「は!すみません」
「いえいえ、所で登録のほうは?」
「はい先ずは商品をみせてもらえますか?」
「これが販売しようと思っている薬です」
「は!し、失礼します」
眼鏡ビューティーさんの目がなにやら少し光っている
「鑑定だな!」
さすが商業ギルドの受付さんと感心していると。
「こちらはどの様なルートで手に入れられましたか?」
「ああそれは師匠の作品です、私は普通ポーションまでしか作れないもので」
もう少しで上級までいけそうなんだけどなぁ。
「師匠とはエメリオ様のことでしょうか?」
「はい私の師匠はエメリオです」
「!!!!!そ、それは、い、今エメリオ様はどこに」
「マスターは亡くなった、俺が最後を看取った、今は大森林の端で静かに眠っている」
「え!お亡くなりになられた!確か何かご病気とのうわさが!そうですかとても残念な人を失いました」
受付のお姉ーさんが目を閉じて祈っているようだ、しばらくして目を開けると
「ご冥福をお祈りします。それではこちらの薬はどれ位の在庫がありますか?出来れば少し分けていただきたいのです、こちらの薬は効能が非常に高く高額で取引されております、現在このレベルの薬を作れるかたはこの国に3名ほどしか居らず、品薄状態が続いておりまして」
「えーと特級は100本位かな、それなら半分でどうでしょうか?」
「はいそれで十分です先に貴方の登録をすませましょう登録には金貨1枚年会費に金貨2枚かかりますがよろしいでしょうか?」
私がうなずくと、お姉ーさんがなにやら奥から水晶が乗った箱を抱えて来た。
「これもエメリオ様の魔道具なんですよ、ここに名前を書いてこちらの水晶に手を乗せてください。」
うなずいて箱の部分に名前を書いて手を乗せると水晶が青く光り箱から金属の板のようなものが出てきた。
「はいユートさんですね、私はリッツと申しますよろしくお願いします。これが貴方の商業証です、身分証にもなります、失くさないようにしてください、それでは商業ギルドの説明をしますね。屋台は1店舗につき月に金貨1枚の税金を納めて頂きます、お店を持たれた場合は月に金貨5枚を税金として納めてもらいます。」
「それじゃ屋台一店舗の税金1年分も纏めて払います」
「それでは登録費用、年会費、1年分の税金を合わせまして白金貨1枚、金貨5枚お願いします。」
予めラスクからある程度のことは聞いていたので、ポケットから金貨を取り出しカウンターに置いた。
「ではカードをお渡ししますね、普通ポーションも買取り致しておりますのでいつでも来てください、では特急ポーションをお願いします。」
「はい、50本です。」
リッツさんが本数を数えてからお金を持ってきた。
「では特急ポーション1本白金貨1枚ですので星金貨5枚になります、よろしいでしょうか?」
「ラスクどうだい?」
「ああ!相場より高めだなOKだ。」
「じゃぁそれでおねがいします。」
「では星金貨5枚ですどうぞ。」
エメリオのおかげで五百万円も稼いでしまったありがたや、ありがたや。
「ありがとうございます、屋台をはじめたいのですが場所は何処でもいいのでしょうか。」
「基本何処でもいいのですが、やはりみなさま町の中央の大広場でなさる方が多いですね人も集まりますし、基本的に場所に関しては通行の邪魔にならなければ何処でも早い者勝です。」
「はい、わかりました今日はありがとうございました。」