14・脱出
やっとガルムに戻ってきたここを出て二ヶ月長かった、早速冒険者ギルドへ行って手続きをしてしまおう。
「サクヤさんただいま」
「は!ユートさんお帰りなさい、じゃなくてユートさん王都で何したんですか」
ん?王都で?はてなにかしたかな、えーと
「イカ釣りとすずめを捕まえたのと別にこれといっては」
「イカとすずめって何ですか?」
「ああクラーケンとワイバーンです」
「!!それだ!!」
「ん?どうかしましたか」
「また王都から呼び出しです、今回は移動直後だからそっちの都合で何時でもいいと言ってきました。それとランクを上げるようにと」
えー帰ってきたばかりじゃん、「い、や、で、す」あっ、いつでもってことは
「何時でもいいんですね」
「はい何時でも」
よし言質はとった
「じゃあそのうち行きます」
「あとランクアップ試験を受けて下さい」
「いえ私は商人ですので」
いや私にあの殺伐とした世界は無理ですから
「駄目です王都のギルドから必ず上げるようにと言ってきました」
「おう!それじゃ俺とソフィアで受けるぜ」
「ん、らんくあっぷ」
ソフィアさん君は登録出来ないし、使い魔と幼女じゃ試験は受けれません
「でも私依頼なんていままで2回しか受けてないし、これからも受けるつもりもないのでこのままでいいです」
「そんな、じゃあマスターと相談してきます」
そう言うと二階へ上がっていった、しばらくするとサクヤさんがガタイのいいおっさんと一緒に降りてきた
「よう、坊主初めましてだな俺はここのマスターやってるサイラスだよろしくな、討伐のときは世話になった」
そう言って頭を下げてきた。
「いえ、私もこの町の住人ですから」
「おう、ありがとな、今回はランクアップだな、本来ならC以上は試験を受けてもらうんだが坊主の実力は討伐の時に散々見たからな、いいだろう試験なしでランクアップしてやる、どのランクがいい?」
「え?選ぶんですか?」
「ああ、何処の世界にクラーケンとワイバーンを単独討伐出来るやつがいる、もうSでいいだろ」
いやいや単独じゃないしラスクとソフィアも一緒だったし
「いえ、ラスクとソフィアも一緒でしたし」
「ほう?使い魔は無理だがそこのエルフの子供もいずれは」
「えー!使い魔は駄目なのか」
「ん、ラスク先生強い」
うん君達話がややこしくなるから、しかし上げないと帰れないし
「じゃあCランクで」
「いやSにしとけよ」
「いえこの見た目でSは無いでしょCで十分です」
「まあいいか、多分直ぐにまた上げることになるだろうしな、サクヤ手続きをたのむ」
「わかりました、ではユートさん身分証をお願いします。ランクアップと移動手続き両方しておきますね」
ガルムに帰ってきて二ヶ月のんびり屋台をやっている。薬は一度買えば数回分入っているのでそんなに売れる物ではなく忙しくはない。孤児院のそばの土地をまた借りてキャンピングカー暮らしだ、最近は五日屋台、一日採取、一日休日の一週間だ、休日には孤児院の子供たちと遊んでいる泥警を教えたら一日中やっていた私は毎朝訓練しているのに途中でバテた子供の体力はおそろしい。採取にはソフィアもついてきている魔獣が出るため危ないから駄目と言ったのだがゴーレムの練習になるからとラスクと二人で泣き落してきたラスクがまたいらないことを教えてるようだ。ラスクと二人で魔獣を仕留めまくっている君たち薬草採取をしなさい。そんなある日冒険者ギルドから呼び出しが来た、最近は採取のついでに依頼も受けているから怒られるはずはない、嫌な予感がするのでほっとこうかなぁ。
「こんにちはサクヤさん、いい天気ですね」
「ユートさん話をするときは相手の目を見ましょう、それとこんにちは」
サクヤさんのつっこみが来た、天気の話は会話の潤滑油なのに
「ユートさん呼ばれた理由はわかりますよね」
う、あのことだろ、でもあれは言質は取ったし
「王都の冒険者ギルドからユートさんが出発したかの確認の鷹便が毎週届きます」
「でも、何時でもいいって」
「限度があります」
ちぇ、ここまでか、うーんそれなら
「旅費がないので」
「いえギルドで前払いにしますから行ってください」
ちっ、この手もだめかかくなるうえは
「いってやるぅぅー」
泣きながらギルドを飛び出してやった
「なにやってんだ優斗!素直に行けよ」
「いや、少しでも私がいかに行きたくないかをアピールしとかないとね」
「まあいいけどな!でも王都のギルドはなんの用があるんだ」
「今回はわからない、しかたないここまでだな、ソフィアを誘って出発するか」
「こんにちはリッツさん」
「こんにちはユートさん、今日はどうされました」
「はい、非常に、真に、全く行きたくないのですが王都に行くことになりまして」
「それは、またですか」
「またです」
「それで、前回のように薬を委託販売してもらおうかと、それと借地の解約をお願いします」
「わかりました、ユートさんの薬は好評ですので何処の店舗でも大丈夫でしょう、ではまたギルドで一旦買い取りますね」
「よろしくお願いします」
借地に帰ってきたそこには簡単な小屋が建っていて風呂とゴーレム洗浄付トイレとゴーレム洗濯機が置いてある、どれも錬金術師しか使えないので需要がないこれも片付けないと、中の物を背負い袋にしまい小屋を土に戻す排水溝も埋めてこれでOKだな、食料を買い込み出発だ。
トポックに着いた。途中はどうしたって、順調でしたよなにも書くことがないほどに。
「ソフィア饅頭食うかい?」
「ん、ラスクの饅頭がいい」
前回餡子が入っていないことに不満顔をしていたらラスクが宿で錬金してくれた、それを食べたソフィアが気に入ったみたいだ。饅頭屋をスルーして前回の宿に直行した。
「さあ、温泉に行こう」
「今日は泳げるといいな!」
「ん、泳ぐ」
お前らわざとだろ、つっこまないからな。
温泉に行くとザックさんが居た
「ザックさん久しぶりです」
「お、ユートじゃねえか、旅行にきたのか?」
「いえ、また王都に呼ばれましてその途中です、ザックさんは?」
「おう、俺たちのチームはここが拠点だからな、この宿の温泉は一般客も入れるんだ」
「そうなんですか、毎日温泉いいですね」
ラスクとソフィアもあいさつを交わし世間話をしていると
「厚かましいんだが、ユートに頼みたい事があるんだ」
ん?デジャブ?
「ここから一日ほど行った森の近くに村があるんだが、その森に魔物が出て樵が困ってるらしいんだ」
うん、魔物それは魔虫じゃないかい?
「どんな魔物ですか?」
「ニードルビーという魔物だ、毎年発生するがいつもより数が多いらしい俺たちだけではちときつい、あいつの毒針で刺れると全身麻痺して動けなくなるんだランクC以上推奨だが、今回数が多いから俺たちに話が来た」
やっぱり魔虫じゃねえか、まああいつよりはましか、たしかでかい蜂だったな。
「旋風と救済さんなら刺されねえだろ頼むよ」
「おう!任せとけそんな蜂の一匹や二匹瞬殺だぜ」
「ん、たくさん殺る」
また君たちは勝手に、ソフィアさんそんな言葉使っちゃ駄目です
翌朝ギルド前で
「トーマさん、リュウレイラさん、お久しぶりです」「よお!蜂退治に来たぜ」「ん、今度は勝つ」
「久しぶりっす、今回もたのむっす」
「ソフィア久しぶりね、今回は留守番じゃないの?」
軽くあいさつを交わしザックさんと二人で受付に向かい合同で依頼を受ける。
町を出た所でキャンピングカーを出しみんなに乗ってもらう
「なんだこれ、無茶苦茶乗り心地がいいじゃねえか」
「すごいっす、このソファーふかふかっす」
「これなら長距離移動も苦にならないわね」
「そうだろ!作るのに苦労したんだぜ」
ラスクがドヤ顔で自慢している。そんな話をしながら3時間後村に着いた
「無茶苦茶早いなこの馬車、この時間なら昼飯食ったら森に入れるな」
「じゃあそうしますか、今用意しますね」
この人数だから簡単にバーベキューにしよう。
「このお肉うまいっす何の肉っすか?」
「この前狩ったワイバーンの肉です意外といけるでしょ」
「・・・ユートさんでしたか」
「え?何かあったんですか」
「いえ、トポックに寄っていく商人がガルムでワイバーンの素材が手に入ったと騒いでいまして」
ああ、そういえば商業ギルドに肉以外は買い取って貰ったっけ
「おう!俺たちが倒したやつだソフィアも手伝ったんだぜ」
「えっへん」
ソフィアがふんぞり返っている。
昼食を終え森へと向かう馬ゴーレムを土に戻して
「さあ、行きましょう、巣の場所は判りますか?」
「ああ樵達に教えてもらった、こっちだ」
しばらく歩くとちらほらとニードルビーが襲ってきた、手のひらサイズで意外と大きい、リュウレイラさんの魔法で風のシールドを張ってもらい仕留めていく、トーマさんは上手に投げナイフを当て、ザックさんは豪快に切り伏せている、ラスクの旋風は相変わらず目で追えない、そんな中ソフィアのリベルが木の上から上手に奇襲を仕掛けている何時の間にそんなに上達したんだ、私はというと蜂の奴が意外と素早く槍を当てるのに物凄く苦労している最中だ。蜂達の数が次第に多くなってきたとき大きな巣が見えた。
「あそこに女王がいる、そいつをやれば、群れはバラけるはずだ」
急いで空いているスペースにキャンピングカーを出しみんな乗り込んでもらった
「これで一安心です、でもどうやって巣から女王をだします?」
「ああ、巣には蜜があるからあまり壊したくない、昔ながらの方法で煙を使おう」
早速救済さんと旋風で生木を集め巣の下に積んでいくリュウレイラさんに火魔法で点火してもらい救済さんで火の番をしていると巣から大量の蜂が出てきたリュウレイラさんの負担を減らすため私達チームは車の中から、ザックさんチームは車を出て蜂を駆除していると子犬大の蜂が出てきた。
「こいつだ、逃がすなよ」
と、ザックさんが叫んだ時にはすでに木の上にいたリベルが女王めがけて滑空し胴体に大穴をあけていた。女王が倒された蜂達は方々へ飛び去っていった。
「そのリス強えな」
「ん、シュギョウノタマモノ」
ソフィアがまた難しい言葉を意味はわかっているのかい
その後大量の蜂を回収する毒針が麻酔薬になる為いい稼ぎになる、それに今回巣が丸ごと有るので蜜もとれるザックさんに許しをもらい巣を錬金解体すると一升瓶に10本分の蜜がとれたそれをザックさん達と山分けにする、蜜を一口なめたソフィアとリュウレイラさんがうっとりしていた。
トポックに戻り蜂を売ったお金と報酬を山分けにした、どうやらザックさん達も蜜は売らないようだ。
「かんぱーい」
例によって宿の食堂で打ち上げだ
「今回も助かったぜ、もうユート達も拠点ここにしろよ」
「そうです、そうすれば私はいつでもソフィアに会えます」
「いいっすねそれ、大賛成っす」
いつも言っているが私は商人です冒険者は仮です。
「いや私は商人ですから、冒険者じゃないですから」
「おう!優斗は立派な商人目指してるからな」
「ん、商人婦人」
だからそんな言葉はありません。
「え?ワイバーン倒せるのに、それは無理なんじゃないかギルドがほっとかないぞ」
「そうですね今回の呼び出しもそれに関係がありそうですし」
えー、やっぱそれ関係だよね、行くのやめようかな。
「おう!次は男爵だな」
「ん、男爵婦人」
ラスクさん後でお話があります。
王都に着いてしまった。もっと寄り道してイベントこなしてからでも良かったのに今回もなにも起こらなかった。王都に入る為に長い列に並ぶ、まあ急がなくてもいいだろう二、三日王都観光して図書館も行ってゆっくり休んでからギルドに行こう、など色々考えていたら順番が来た。
「身分証をお願いします」
素直に身分証を渡すとまじまじと門番さんが見つめてきた
「あ!Cランク冒険者のユート様ですね」
「はい、しょ、う、に、ん、の優斗、犬飼です」
「失礼しました、イヌカイ様、王宮より連絡が入っております。到着後すみやかに冒険者ギルドへ顔を出して欲しいとの事です」
くそー私の優雅な計画が
「お久しぶりですメイアさん、これ身分証です冒険者移動の手続きお願いします」
「お久しぶりですユートさんすぐに処理します。」
なにやらにこやかで逆に不気味だ
「ところでユートさん」
「はい?」
「なぜCランクなのでしょうか?」
「え?ガルムのギルドマスターがどのランクでも良いと」
「そうです、だからなぜもっと高ランクにしなかったんですか?」
えー良いじゃんCで十分です、それでも高いくらいだ
「いえ、この姿で高ランクは無理があるでしょう」
「大丈夫です、全員黙らせます」
いえ、結構ですこれだけは譲れません
「それと一つお尋ねしますが三ヶ月前トポック近くの村でワイバーンを討伐したのはユートさんですね」
「おう!俺達だ簡単だったぜ」
「ん、ワイバンはんばぐ美味しい」
君達、簡単なんて言うとまた誤解されるから
「やはりそうですか・・・、王宮と連絡を取りますのでまた明日の朝来てください」
話終わろうとしたら横から豚のような人が、ん?デジャブ?
「ちょっと待て、そいつがCランクなんて冗談じゃない、そいつがCなら俺様はSランクだぜ」
そう言ったとたん受付の方から本当にブリザードが吹き付けてきた
「だまれクズ、今すぐ消えろ次は見かけただけで殺す、二度とその汚い面を見せるな」
メイアさんから物凄く冷たい冷気と殺気が放たれている。顔を青色にした冒険者がガクガク震えながらすごすごと消えていった。やっぱり私の判断は間違ってなかったこの人には逆らわないようにしようともう一度誓った。
「怖かったなぁメイアさん、明日は遅れないようにしないと」
「あれ本当にただの受付か?あやしいぜ!」
「ん、勝てないかもしれない」
ソフィアさん戦わないから勝ち負けはつかないから
「まあ宿を探そうか」「おう!前回と同じ宿でいいだろう」「ん、いい宿だった」
翌日早めに宿を出てギルドに着いた
「おはようございますメイアさん、本日はお日柄も良くご機嫌如何ですか」
「おはようございます?どうしましたユートさん」
あ、思わず下手に出てしまった
「は!なんでもありません、今日はどうしたら」
「??・・はい、トルキリア様が間も無くおいでになります、あちらの部屋でお待ちください」
前回と同じ部屋で待っていると扉がノックされた、君達学習しなさい飛び跳ねていないで座りなさい。
「失礼します、トルキリア様がお見えになりました」
「おはようございますイヌカイ様、お久しぶりで御座います」
「おはようございますトルキリアさん、優斗で結構ですよ」
相変わらず物腰が柔らかくて丁寧にあいさつしてくれた。
「はい、ではユート様、今回来ていただいたのは他でもありませんクラーケン討伐の件です。」
えーもう殺っちゃったよ、まずいなぁ
「そうですかすみません知らなかったもので、クラーケンは討伐したら不味かったですか?」
そうかあれは海神様かなんかだったかな、まずったな。
「いえいえそうではありません、もともとクラーケンの依頼は国軍が準備を始めておりました、今回ユート様が討伐してくださり軍も感謝しております。」
ふぅー、焦ったこのまま逃亡者になるのかと一瞬考えた
「それと聞くところによりますとワイバーンも討伐なされたそうで」
「は!え?あっ、すみません知らなかったもので、ワイバーンも討伐したら不味かったですか?」
えー、犯罪者になちゃったよ、よしここは隙を突いて逃げよう取り敢えず頭下げとこう、それにしても討伐したら駄目リストかなんかくれよ。
頭を下げた瞬間に目の前に有った机を錬金する、突然机が部屋を仕切る薄い壁になった。
「よしにげるぞ」
「え!なんでだ、逃げなくても大丈夫だって」
ラスクと言い争っていたら壁の向こうから声が聞こえた
「いえそうではありませんユート様お待ちください、すみません聞き方が悪かったです、話を聞いて下さい私が国王に叱られてしまいます。」
「え?鉱山奴隷か、絞首刑になるんじゃ」
「そんなこと私が絶対にさせません」
メイアさんも叫んでいる。恐る恐る壁を机に戻すと、トルキリアさんが頭を下げてきた。
「申し訳ございません。最初に申しておくべきでしたね、今回来ていただいたのは、報償をお渡しする為です」
えー、それはそれでめんどくさそうだな
「今回ユート様には男爵の爵位とユート様が望む物をと言う事ですので」
うーん男爵にはなりたくない、あ!そうだ望む物か
「では、何にもいらないので帰らして下さいそれが私の望む報償です」
「は!えっ、でもそれでは、それは私の判断では決めかねますので一旦城へと持ち帰らせて下さい、結果は宿にご報告に上がりますので少しお待ち頂いても宜しいでしょうか?」
うん駄目だね直に出発しよう、ここに居るとなし崩しに男爵にされそうだ。
「いえ、ガルムに戻りますので、冒険者ギルドに報告しておいて下さい、今回の旅費だけ年報償の金一封と一緒にお願いしますね」
トルキリアさんが懸命に引き止めてきたがここで折れたら男爵だと思うと首を立てには降れない、トルキリアさんには非常に申し訳ないががんばってもらおう、本当にすみません。
王都を出た私たちはこの国に居るのは不味そうなのでガルムに帰るのをやめた。ここライオルッテ大陸は三つの国からなっている、ランブルド王国、シュウメイラ聖光国、ボザイサ帝国の三つだ其の内の一つシュウメイラ聖光国にある森の深い所にエルフの国が在るらしいソフィアには言ってないが、そこへ行ってソフィアの家族を探そうと思う。
エルフは寿命が長く人族のほうが先に死んでしまう、友人が死んでいくのを見たくないという人が多い為、余り人族とは関わらないように国から出ない人が多い、それに長寿のためか出生率が低くそれ以上に人族との間にはほとんど子供は出来ないらしいソフィアは珍しいのだそうだ、それならばシルフィリアさんはエルフの国出身かもしれず、ソフィアの祖父と祖母もいるんじゃないかとラスクと相談して決めた。ちなみにボザイサ帝国の鉱山にドワーフの国も在る。
「ラスク国境は遠いのかい」
「おお!まだまだ幾つも村を越えてずーと先だぜ間に在る大きな河が国境で河の両側に貿易の町が有るぜ」
「ん、おっきな船と船饅頭有名」
船饅頭ってなんだろう
「ソフィア、勝手に決めてごめんね、孤児院に帰らなくて大丈夫かい?」
「ん、ユートとラスクが居れば何処でも大丈夫、もうまんたい」
ラスク君はどんな授業を旅の間にしているのだい?ソフィアが片言ではなくなってきているから成果は出ているようだが、私は馬の操作があるから後ろには行けないしとても心配になってきた。
「今日はこの辺で野営しようか」
「そうだな!もう暗くなるしな今日の飯当番は誰だ?」
「ん、ソフィア今日はカレーハンバーグと焼肉」
「ソフィアどっちか一つにしなさい」
もう慣れたもので強固な土壁をキャンピングカーの回りに錬金し簡易小屋を作る風呂、トイレ、洗濯機を置き汚した水は各自錬金で処理(水分をとばし汚物は地中で肥料に)している、三人とも魔力操作が上達したし旅慣れしたものだ。
次の日の朝出発して馬を操作している時にふと思った。
「ラスク、そういえばソフィアも魔力操作上達してきたしそろそろ使い魔召還出来ないのかい」
「いや!まだ無理だな、ソフィアの魔力はユートの100分の1しかない魔力操作が上手いからゴーレム操れるけどまだ長時間は無理だ、普通は優斗みたいに魔力は急成長しない、あまりに成長が早いからついでに言っておくが俺のこの体より魔力が大きくなったら俺は成長する今度はたぶん優斗が昔飼っていた
豆芝の太郎になると思う使い魔は主人の記憶から産まれるからな。だからたぶんソフィアの最初の使い魔はリベルだと思うぜ」
「ん、リベルがいい」
「そうか変化するのかだからエメリオの使い魔は大きかったのか、だけど如何しようラスクが豆芝になったら太郎って呼んだほうがいいかな」
「いや!ラスクのままがいいな急に名前が変わるのは嫌だぜ」
「ん、おっきくなってもラスクはラスク」
「そうだね、名前は大切だよねラスクはラスクだ」
「それに問題は優斗にもあるぜ!」
「え?私にも?」
ソフィアの使い魔と私は関係ないような
「俺にはエメリオの記憶がある!エメリオが自分の魔力も使ったからな」
「あ、そうか私の力か」
「そうだ!どうせ召喚するなら優斗の記憶は便利だからあったほうがいい、でもまだ優斗の力量じゃ他人の召喚に干渉できないからなせめて無限アイテム袋や特急ポーションぐらい作れるようにならないとな」
「先は長そうだな」
「ん、がんばれ」
「まあ!そんなに直ぐにはソフィアの魔力は成長しないぜ」
気長にいくか
メイア視点
ユートさんがやっと来てくれたここはにこやかに対応しないと
「お久しぶりですメイアさん、これ身分証です冒険者移動の手続きお願いします」
「お久しぶりですユートさんすぐに処理します。」
ん?ランクが低い
「ところでユートさん」
「はい?」
「なぜCランクなのでしょうか?」
「え?ガルムのギルドマスターがどのランクでも良いと」
「そうです、だからなぜもっと高ランクにしなかったんですか?」
もうSにしてください
「いえ、この姿で高ランクは無理があるでしょう」
「大丈夫です、全員黙らせます」
誰にも文句一つ言わせません
「それと一つお尋ねしますが三ヶ月前トポック近くの村でワイバーンを討伐したのはユートさんですね」
「おう!俺達だ簡単だったぜ」
「ん、ワイバンバーグ美味しい」
やっぱりこの事も王宮に連絡しないと
「やはりそうですか・・・、王宮と連絡を取りますのでまた明日の朝来てください」
またユートさんの容姿に騙されてクズが来た今しがた文句を言わせないと言ったばかりなのに。
「ちょっと待て、そいつがCランクなんて冗談じゃない、そいつがCなら俺様はSランクだぜ」
だ、ま、れ、思わず魔力が暴走しかけた
「だまれクズ、今すぐ消えろ次は見かけただけで殺す、二度とその汚い面を見せるな」
危ない、危ない本当に殺るところだった
次の日早速トルキリア様がお見えになった
「失礼します、トルキリア様がお見えになりました」
「おはようございますイヌカイ様、お久しぶりで御座います」
「おはようございますトルキリアさん、優斗で結構ですよ」
「はい、ではユート様、今回来ていただいたのは他でもありませんクラーケン討伐の件です。」
ユートさんが浮かない顔をしているどうしたのだろう?
「そうですかすみません知らなかったもので、クラーケンは討伐したら不味かったですか?」
いえいえそうじゃありませんトルキリア様ちゃんと説明してください
「いえいえそうではありません、もともとクラーケンの依頼は国軍が準備を始めておりました、今回ユート様が討伐してくださり軍も感謝しております。」
ふぅ、なんとか誤解は解けたようだもう報償の事を先に話したほうが
「それと聞くところによりますとワイバーンも討伐なされたそうで」
「は!え?あっ、すみません知らなかったもので、ワイバーンも討伐したら不味かったですか?」
あーまただ、これ以上誤解させるのは不味いと思っていたら突然目の前に壁が現れた、「早い」この一瞬で壁を、壁の向こうでラスクさんとなにやら言い合っている、トルキリア様早くしてください話が回りくどいです。
「いえそうではありませんユート様お待ちください、すみません聞き方が悪かったです、話を聞いて下さい私が国王に叱られてしまいます。」
「え?鉱山奴隷か、絞首刑になるんじゃ」
「そんなこと私が絶対にさせません」
貴重なSランクに匹敵する冒険者にそんなことさせません。
「申し訳ございません。最初に申しておくべきでしたね、今回来ていただいたのは、報償をお渡しする為です」
今度は物凄く面倒な顔をしている
「今回ユート様には男爵の爵位とユート様が望む物をと言う事ですので」
どうするのか見ているとなにか閃いたようだ。
「では、何にもいらないので帰らして下さいそれが私の望む報償です」
「は!えっ、でもそれでは、それは私の判断では決めかねますので一旦城へと持ち帰らせて下さい、結果は宿にご報告に上がりますので少しお待ち頂いても宜しいでしょうか?」
私にはなにも言えなかった
「いえ、ガルムに戻りますので、冒険者ギルドに報告しておいて下さい、今回の旅費だけ年報償の金一封と一緒にお願いしますね」
どうしよう帰ってしまう、王都に来るたびに絡まれていれば印象も悪くなるわね、あの豚と熊の事王宮に報告しておかないと。
その後王宮からユートさんに男爵ではなく子爵の位を授けて統治する土地も授けると言ってきたけどたぶんそれは逆効果だと思う、それにリバポートの町のギルドからの連絡で移動手続きのついでに越境手続きもしたと連絡がはいった、もうこの国には居ないだろうし、帰ってきても王都には近づかないような気がする、ギルドとしては物凄い痛手だ。そこでシュウメイラ聖光国冒険者ギルドにユートさん宛で手紙を送ってみた
『ユートさんの報償の件ですが男爵ではなく子爵との事です、それに伴い統治する土地が与えられます。それと報償とは関係のない話ですが最近ガルムの町の冒険者ギルドや商業ギルド、それにトポックの町の冒険者ギルドからもユートさんはどうしたと問い合わせが来ていてギルドマスターとトルキリア様が頭を抱えています。ユートさんもう呼び出したりしないので一度帰ってきて下さい。追伸、熊と豚は鉱山に送っときました、もう誰も絡んでこないはずです。』