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相棒はハムスターの錬金術師  作者: tanuki
13/15

13・大物


宿屋に戻ってきた

「ふう、緊張したな、何とか終わったぞ」

「まあ!滅多にない経験したな」

「ん、おやつ美味しかった」

叙勲されて準男爵の位をもらった、ただの平民に毛が生えた程度だがどうも10年間、毎年金一封貰えるらしい、それと家名を名乗るようにと言うことなので、もとの犬飼を名乗る事にした。

「ソフィアは姫様とどんな話をしたんだい」

「ん、リベルで遊んだ」

「おう!フェルも錬金術師だったな、上手く操作してたか」

「ん、少ししか無理だった[ヒビコレシュギョウ]」

まあ錬金術の話じゃないし上手くごまかせたかな、上出来ですソフィアさん

「じゃあ明日は市場で買い物、それと冒険者ギルドに移動手続きをしに行こう」

翌日朝市で大量に食糧や薬の素材を仕入ギルドに向かう中に入ると一人の老人が冒険者たちに懸命に頭を下げていた。

「どうか、お願いいたしますこのままでは、私達の村が」

そのうち、腕をつかまれた冒険者の一人が

「どけ、しつこいんだよ」

老人を突き飛ばした、転んだ老人に駆け寄り声を掛ける。

「大丈夫ですか?」

「ありがとう僕、大丈夫転んだだけじゃ」

「どうかしたんですか」

あまりにも必死だったので聞いてみた。

「坊ちゃんには無理な話じゃから」

「あ、私ハーフエルフでして、これでも30才でDランクの冒険者をしています」

そう言うと、おじいさんが話出した。

「おお冒険者の方でしたか聞いて下さい、わしはポートン村の村長をしておるテルラと言うものじゃ、ここから六日ほど行った所の海沿いの村に住んで居るのじゃが、二か月ほど前に海にクラーケンが出たのじゃ」

クラーケンはエメリオの図鑑で見たが胴体だけで30メートル以上、足も入れると倍以上になるイカだ

「いつもなら二、三日で何処かへ行ってしまうのじゃが、一向に出ていかん」

うん、話が見えてきた

「村のみんなでお金を出し合って、一か月前にギルドに依頼を出したが誰も受けてくれんのじゃ、村の食糧備蓄もそう長くはもたん」

海の中じゃ手を出せないからな

「倒してくれとは言っておらんどうにか追い払ってほしいのじゃ」

うーん、聞いてしまった以上無視できない、あるやり方を思い付きラスクに相談する、やってみる価値はあるという事で

「村長さん、一応依頼を受けます、失敗するかもしれませんそれでもいいですか?」

「おお、受けてくれるか、失敗しても構わんこのまま何もせんよりはマシじゃろ」

早速依頼書をはがし受付のメイアさんの所へと向かう

「メイアさんこんにちは、この依頼を受けたいのですが」

「こんにちはユートさん、これですか、これは依頼内容と金額が合っていません、クラーケンとなると軍が派遣されるレベルです、いくらユートさんでも無理かと思われますが宜しいでしょうか」

「はい、無理そうなら、商人として食糧を届けるつもりです」

「それでは依頼失敗扱いになってランクアップ査定に影響します」

「ああ!それなら大丈夫だ、元々ユートは商人目指してるからな」

「ん、商人婦人」

ソフィアさん、そんな言葉は聞いたことがないです。


村長は一緒に来た護衛の村人と一足先に早馬で帰っていった、私は失敗した時の為に大量の小麦や野菜の種などを仕入れた、肉はここ八か月ために貯めた分が沢山ある、今回は格安でサービスしよう。事情が事情なので今回は急ぐ事にしたキャンピングカーで飛ばして村長さんと同時に村に着いた。

「えらく早い馬車に乗っておるのう、わしらの早馬より後に出たのに」

「おう!俺とユートの自信作だ」

ラスクがどや顔だがハムスターなので可愛らしいだけだ、どや顔に見えない

早速海を見に行く

「この先じゃ、舟を出すと襲われ海中へ引きずり込むんじゃ、毎回ではないが怖くてだれも漁に出ん」

「では今から準備しますので明日この浜辺には誰も近づけないようお願いします。」

「わかった村人たちには言っておく、よろしく頼むのじゃ」

村長達を返し準備に取り掛かる

「ラスクとソフィアであそこ岩場に砦を作ってくれ、私は仕掛けを準備する」

「おう!行こうぜソフィア」

「おー」

片手を挙げたソフィアが肩にラスクを乗せて走っていった。

「さて私もやるか」

背負い袋から木材を取り出し舟型のゴーレムを作るその下にワイヤーを取付それに特大サイズのステンレス製イカ釣り用のルアーをとりつけた見た目は船のアンカーみたいだ、炭素繊維でロープ作りルアーに取付砂浜の端にある岩場の大石に括り付け完成だ、ラスクたちを見ると向こうも完成したようだ防空壕みたいで覗き窓が付いている。今日はもう暗くなるから明日の朝作戦開始だ。

翌朝、私達の防空壕がある場所とは反対にある崖の上に村人たちが集まっていた。

「ギャラリーが多いな、これは失敗出来ないな」

「なんか燃えてきたぜ!」

「ん、ぼこぼこ」

二人が異様にやる気出し始めた。

「さあやるぞ、昨日の夜に話した作戦で行く」

「OKだ!」

「ん、おっけ」

防空壕に入り砂浜の舟ゴーレムに魔力線を繋ぐ舟が浅瀬を抜けた瞬間クラーケンの足が現れた

「やった」

炭素ロープがぴんと張る、さすがだ全く切れそうもない、岩ゴーレムを三人で作りロープを引く、ソフィアのゴーレムが三メートル位あるんだが頭一つ飛び出している、そう言えば熊の冒険者の時もデカかったな、関係ない事を考えていると少しずつロープが引かれ遂にクラーケンが姿を現した、更にロープを引き砂浜にクラーケンを上げた、水から上げられたクラーケンは浮力がなくなり自重でつぶれているこのままほっといてもよさそうだが岩ゴーレムで取り囲みイカだけにタコ殴りにしとどめを刺した。うん防空壕要らなかったな、ま備えあれば患いなしって言うしな。反対の崖を見ると村人たちが涙を流して喜んでいる、この二か月間苦しんだのだろう、上手く行って良かった。

「本当にありがとうございました、これで漁に出れる」

「良かったですね、魚を獲れるようになって、これで安心ですね」

その日は早速宴会が始まった、私もクラーケンを解体し村人たちにふるまった。

「いやー坊主は凄いな」「クラーケンて意外とうまいぞ」「嬢ちゃんもありがとね」「ん、ぶい」「ネズミさんありがとー」「おう!ガキども俺はハムスターだ」

その日は夜遅くまで宴会が続いた、私達はまだ子供だということで早目に切り上げて村長宅に泊めてもらった。

次の日浜辺に出ると早速漁から帰った舟があったので魚を分けてもらう、二か月収入がなく困っているだろうと高く買い取るつもりだったが、お金はいらないの一点張りで

その内次々と舟が帰って来てみんな貰ってくれと押し寄せてきた、仕方なく全員から少しずつ貰うということで話がついた。


王都に着いた早速ギルドに向かい依頼完了の報告を行うメイアさんがいなかったので空いている列に並んだ

「え?クラーケンの依頼ですか?」

「はい、これが依頼人の完了サインです」

「え?え?追い払ったのではなく、討伐?え?」

「あのー依頼料を貰いたいのですが」

「え?は!はい、ただいま用意します」

依頼金を受け取りついでに冒険者移動手続きをしてもらいギルドを後にした。


「メイア先輩このクラーケンの依頼ですが先ほどユートさんがきまして」

「ああ早いわね、やっぱり失敗報告でしょ」

「いえ討伐報告でした」

「え!討伐」

「はい、討伐です」

「・・・・ギルドマスターに報告をそれでユートさんは?」

「移動手続きをして今ごろは王都を出ているかと」

「すぐに王宮とガルムのギルドに連絡しないと」

今日もパカパカ馬を走らせるかれこれ一ヶ月だいぶ操作も上手くなってきた王都の次の村を通り過ぎ後二日も走れば温泉町トポックに到着するだろう、そんなことを考えながら森の中の道をキャンピングカーで走っていると目の前に男の子が飛び出してきた。慌てず馬を止める私も上達したもんだ。

「僕、飛び出しては危ないよ」

「お願いです、馬車に乗せてトポックまで連れてってください」

うーん、トラブルの予感がする、叙勲されてからトラブルが押し寄せてくるような気が

よく見ると服も汚れて、手や足も細かい傷だらけだ。

「とにかく落ち着いて、何があったか話してごらん」

「子供じゃだめです、トポックへ行って冒険者に頼まないと」

「私も冒険者だよ、これでも30才だ」

「え?子供じゃないの?」

「ああ私はハーフエルフだからね、取りあえずこれを飲んで」

男の子に普通ポーションを渡すと素直に飲んだ、手足の傷が緩やか治っていくいつ見ても不思議な光景だ。

「それで何があった」

そう聞くとみるみる目に涙をためて

「む、村が、ワイバーンが、何人も、食べられて・・・・」

泣きながら話出した、少年の名前はケント、三日前に村がワイバーンの餌場になってみんな家から出られなくなった、このまま家族が餓死する前にと父親がワイバーンの気を引いてこの子を逃がし走って町へ知らせに行く途中だったのだ、父親がどうなったかは分からないらしい。

「わかった、村へ案内して」

「いってくれるの」

「ああ!任せとけ、あんな飛ぶだけのトカゲ楽勝だ」

「ん、次も勝つ」

また君たちは簡単に、だけどどうしよう海の次は空か

「じゃあ案内して村までこの馬車で行けるかい」

「うん、僕は近道したけどちゃんとした道もあるから」

キャンピングカーに乗せてラスクに食べ物を出してもらう、ケントに助手席で食べながら案内してもらった、しかし空かまずどうやって落とすかだな。

「ラスク、相談なんだが・・・・」

「おう!それで行こうぜ」

「じゃあラスクとソフィアは早速準備してくれ」

「おー」

ケントの言う通りに森の中に道があり順調に進んでいく

「ラスクどうだ」

「おう!あとはクラーケンの時のロープを繋ぐだけだ」

「もうすぐ着くらしい中に入ってくれ」

村が見えてきた

「いくよ」

そのままキャンピングカーで村へ入ると突然上空からそいつは現れた

翼を入れると優に体調15メートルはありそうだそのまま真っ直ぐにこちらに向かって来る

「来た、かかってくれ」

キャンピングカーの直前まで来た時、こちらも加速しワイバーンの下をくぐる

「いまだ」

馬に乗った旋風がロープを引き屋根の仕掛が立つ

「かかった」

今回使ったのはいわゆる[かすみあみ]と言われるものでいまの日本では禁止されている

ワイバーンが網にかかりもがいている炭素繊維で作ったからそう簡単には切れない、もがけばもがくほど絡まっていく、救済さんをつかって首にチタン槍を突き立てとどめを刺した。

「やった、お兄ちゃん凄い、僕知らせてくる」

ケントが駆け出すと恐る恐る住民たちが家から出てきた

「やったのか?」「死んでる」「助かった」「おなかへった」

ワイバーンの死体に近づきみんな静かに泣いている。何人も犠牲になったのだろう

少年が男の人とこちらにやって来た

「私はこの子の父親です、あなたが助けてくれたのか」

「はい、偶々ケントと街道で出会いまして」

その後村人たちが次々とお礼を言いに来る

「ありがとうございます、私は村長のセリと申します。お礼をしたいが村に蓄えがなく払える物がない、少し待ってもらえんじゃろか?」

「それなら、ワイバーンの素材全部貰ってもいいですか」

「おう!あのトカゲなら高く売れるぜ」

「それはもちろんじゃ、あなたが討伐したのじゃから当然じゃ、だがそれだけじゃ」

「ん、問題ない」

なにやらソフィアさんが男前だ、その後無理矢理素材だけでいいと話を打ち切り、せめてもと言う事で宴会に参加した、みんなお腹を空かせていたので大量にある肉とクラーケンを格安で振舞っておいた。


王都ギルド メイア視点

ガルムのギルドから鷹便が届いた、今回の氾濫討伐の功労者が来るらしい王宮との連絡を取って欲しいとのことだ、追伸で見た目は子供だけど相当の実力者だと書いてあった、高ランクの冒険者が集まるガルムの冒険者ギルドに実力者と言わせる人物か興味あるわね。

その子は鷹便が来てから20日後にやって来た

「すみません、冒険者移動の手続きをお願いします。」

「はい、では身分証をお願いします。」

手紙に書いてあった通りに10才くらいに見える

「はい、Dランクのユート様ですね、移動手続き完了しました。それでは城へと連絡を入れます、明日もう一度、朝にお越しください」

失礼の無いように事務的な対応をする

「はいわかりました」

身分証を渡すといつも新人に絡んでは強請る性質の悪い冒険者が来た

「ちょっと待て、そいつがDランクなんて冗談じゃない、そいつがDなら俺様はSランクだぜ」

見事にユートさんの容姿に騙されてからんできた、貴方の実力はただ力が強いだけで、ぎりぎりDランクとても大規模氾濫の功労者に敵うはずが無い。

「おう餓鬼なんとかいったらどうだ」

「なんとか」

ユートさんがこちらを見たが止めるつもりはありませんので存分に殺ってください。

「な!こいつ馬鹿にしてるのか」

「はい」

煽るのがうまい

「こいつ舐めやがって、上等だちょっとこっちに来い」

バカ熊が闘技場へ向かった、私もこっそり後を追うともう始まる寸前だった、だけど闘技場内にいるのはユートさんと一緒に来たエルフの女の子だエルフなので年齢はわからないがとても幼く見える、大丈夫だろうかと心配する暇もなく瞬殺だ、凄いあのスピードで練成して操作するなんてそれに大きい、あっけにとられているといつの間にかユートさん達がいなくなっていた。


ユートさんが依頼書を持ってきたクラーケンの依頼だ、いくら討伐じゃなく追い払うだけでもこの金額ではやる人がいない、これ以上長引くようなら国軍を派遣する手筈になっている依頼だ。

「メイアさんこんにちは、この依頼を受けたいのですが」

「こんにちはユートさん、これですか、これは依頼内容と金額が合っていません、クラーケンとなると軍が派遣されるレベルです、いくらユートさんでも無理かと思われますが宜しいでしょうか」

実力のある冒険者にわざわざ失敗する依頼を受けてほしくない

「はい、無理そうなら、商人として食糧を届けるつもりです」

「それでは依頼失敗扱いになってランクアップ査定に影響します」

「ああ!それなら大丈夫だ、元々ユートは商人目指してるからな」

え?商人目指してるのですか?


「メイア先輩このクラーケンの依頼ですが先ほどユートさんが来られまして」

「ああ早いわね、やっぱり失敗報告でしょ」

受けてから1週間しかたっていない、早馬で往復出来るかどうかと言う時間だ

「いえ討伐報告でした」

「え!討伐」

「はい、討伐です」

どうやってあの距離を、それに討伐、クラーケンを単独討伐なんて聞いたことがない、国軍でも追い払うだけだ

「・・・・ギルドマスターに報告をそれでユートさんは?」

「移動手続きをして今ごろは王都を出ているかと」

「すぐに王宮とガルムのギルドに連絡しないと」


クラーケンの一件の後すぐに新しい情報が届いた、行商人の情報でワイバーンが村を襲ったらしい、村人は全滅かと思ったら通りすがりの子供の冒険者が討伐していったと、確実にユートさんと思われるが確証がない今回はギルドマスターにだけ報告しよう、何としてもユートさんには商人ではなく冒険者を続けてもらわないと。


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