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相棒はハムスターの錬金術師  作者: tanuki
11/15

11・交渉


翌朝ギルドに入ると、なんだか人が離れていくような、まぁ気のせいだな、昨日の緑髪眼鏡の受付さんがいたので声をかける。

「おはようございます、えーと」

「おはようございます、まだ名乗っていませんでしたね、私はメイアと申します、ユートさん昨日は災難でしたね」

おいおい、そう思うなら止めてくれても

「あのばかには丁度いいお仕置きです、ついでに壁の修繕費吹っかけておきました、それで白金貨請求しますか?」

えーと、結構腹黒さんかも、この人には逆らわないようにしよう

「いえ、それで十分ですので」

「ちっ、それでそちらのエルフさんは冒険者登録なさらないのでしょうか?」

ん?舌打ちしたよこの人

「ん、する」

「お!いいじゃねえか」

おい、そこの二人いいかげんな事言わないの

「い、いやこの子は見た目通りの年齢で、まだ5才なので登録は出来ません」

「そうですか残念です、あれだけの実力ですので、ひょっとしたらと思いまして」

いや、必ず私がソフィアの戦闘民族化を止めてみせる。

「それで今日はどうしたら」

「はい、暫くしたら王城より使者の方が参りますので、あちらの部屋でお待ちください」

言われた部屋に入ると、魔獣の皮で出来たソファーがあり座って待っていると、扉がノックされた、あわてて向かいのソファーでトランポリンしている二人を座らせる。

「お待たせしました、こちらが使者のトルキリア様です」

「始めまして、国王陛下付執務担当主任の補佐をしておりますトルキリアと申します以後お見知り置きを」

メイアさんの案内で、紹介された男の人が背筋のぴんと伸びた姿勢で丁寧にあいさつしてくれた。

「ご丁寧にどうも、私はハーフエルフの優斗、こちらが使い魔のラスクといいます、そしてこの子はエルフのソフィア、今錬金術を教えています」

「ハーフ?で御座いますか、わたくし初めてな物で、存じ上げませんが珍しいのでは」

「はい、母がエルフで父が人族でした、いくら経っても成長しない為もう諦めて自分でそう呼んでいます」

実際、エルフとエメリオの細胞から出来ているので嘘ではない。

「そうですか、成長が、とても興味深いですね、それでは今回の叙勲に伴いましてある程度の流れをご説明します。」

何やら面倒くさそうだなぁ

「まず三日後の昼一番に宿へ馬車でお迎えに上がります、王城到着後しばし控え室にてご休憩された後、王座の間で叙勲の儀を執り行います。今回ユート様は大森林氾濫討伐で一番の討伐功労者という事で、準男爵の位を授けられます。」

「そのことなのですが、叙勲は無しという方向には出来ないでしょうか」

「それは難しいですね、討伐功労者に褒美無し等と言う前例を作ってしまいますと今後の討伐の士気にかかわります、それに聞いた話ですが、今回討伐に参加した国軍の兵士たちの多くがユート様に助けられたと申しております、陛下も準男爵ではなく男爵にしてはどうか申しておられるくらいでして」

やーめーてーくーれー、話が大きくなって行く前に準男爵で手を打っておこう、たしか男爵って一代限りの名誉職みたいな物でそれの準ってことは一般人に毛が生えた程度だろう。

「いいです、それでいいです、ぜひ準でお願いします」

「なんだ!ただで貰えるなら男爵のほうがいいじゃないか」

「ん、男爵婦人」

ラスク喋るんじゃない、それにまたソフィアに余計なことを教えてるな、後で問い詰めてやる。

「それでは、その方向で話を進めていきます、それと今回の旅費と宿代は報奨金という形でまとめて支払われますので、では三日後にお迎えにあがります」


ギルドでの会合の次の日、私たちは王都観光をしていた。

「ラスク、この地図に有る図書館って一般人でも入れるのかい」

「ああ!でも結構高いぜ、たしか入館料は一日金貨一枚だったはずだぜ」

え、結構高いな、でも入ってみたいな

「俺がソフィアと一緒に居るから、優斗は入ってきてもいいぜ!」

「ん、ケーキ食べる」

うーん、物凄く心配だラスクとソフィアを二人にしたら途轍もなくいやな予感がする、だけど王都の図書館、物凄く行きたい、ラスクとソフィアも図書館に、いやラスクはともかくソフィアにはとても退屈だろうし、うーん、まあラスクの強さなら安心は安心だけど、なんだこの不安は・・・永遠と考えた挙句、心の中で知的好奇心が勝った。

「じゃあこの背負い袋を預けるよ、中にラスクの旋風とリベルも入っているからね」

「おう!楽しんでこいよ、こっちは任せろ」

「ん、任せろ」

また上からソフィアさんが現れた。


「姫様、そんなに慌てなくても」

「ニーナ、遅いと売り切れになってしまうわ」

今日は絶対あの屋台のケーキを食べるのよ

「ヒメ コケル」

「なによテッサあんたまで」

ニーナはメイド兼護衛、テッサは私のオウム型の使い魔、今日は三人でケーキを食べに来た、最近出来た屋台で砂糖と牛の乳をふんだんに使った甘くてふわふわのケーキらしい、メイドたちが話しているのを聞いて、早速買いに来た。

屋台に着くとネズミ型の使い魔を連れた女の子がケーキを買っていた。

「はいお譲ちゃん、これで最後だよ、だけど三つは食いすぎさね」

「おう!これは土産だからだいじょぶだぜ」

「ん、おみやげ」

は!喋った使い魔は術者のレベルが相当高くないと喋れない、私のテッサもやっと最近片言で話し始めた、それでも先生は相当優秀だと言っていた、一生話さない使い魔の方が断然多いからだ、それをあんなに小さな子の使い魔が、ってそれよりも今最後って。

「おばさん、最後って?」

「ああ譲ちゃんすまないね、その子に売ったのが今日の最後のやつだ」

最後のケーキを買ったその子が、ほくほく顔でケーキをアイテム袋にしまって、行こうとしていた。

「まって、そのケーキ売ってくれない?言い値で買うわ」

「ん?ケーキ食べたい?」

「ええ、今日はそれを買いに来たの」

「ん、あげる」

そう言うとケーキを差し出してくれた。

「お!いいやつだなソフィアは」

「ん、美味しいは正義」

満面の笑みで訳の解らないことを言っている

「は!え!?くれるの、いえちゃんとお金は払うわ」

「いい、もう覚えた、錬金する」

え?錬金?食べ物を?なにを言っているの、そんなこと錬金で出来るはず無いわ。

錬金のレシピはもう出尽くしている、本のレシピ通りに材料を揃え魔力を流せば完成する、食べた料理を錬金するなど聞いたことが無い。

「え?え?」

「あっ!ソフィアそろそろ帰ろうぜ」

それに、こんなに流暢に話す使い魔見たことが無いわ、私の先生は国内でも随一の腕を持つ術者、その先生の使い魔でもここまでは

「待って、ケーキのお礼にお茶をご馳走するわ、少しお話しましょうか」


ずいぶん遅くなってしまった二人は大丈夫だろうかと心配しながら宿にもどるとちゃんとソフィアとラスクが部屋で寛いでいて安心した。

「遅くなってごめん、何も無かったかい?」

「おう!平和な一日だったぜ」

「ん、友達できた」

ん?友達?

「そうか、良かったね」

まあいいか。


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