I want to be ball
私はボールになりたい。
窓際。私は彼を見つめる。彼はいつもボールを見つめている。あの視線の先が私ならいいのに。
私はボールになりたいのだ。決して太りたいという意味ではない。彼のことが気になりだしたのはつい最近。席替えで私の席が窓の近くになってからだった。窓が近いということもあり私は空を見ながらボッーとすることが増えた。たぶん空を見ていると頭を空っぽに出来るからだろう。頭が空っぽになれば身も心も軽くなった気がするし。人間難しいことばっかり考えるのは難しいのだ。
その日も頭の中に入ってるものを窓を見ながらお空にポーイと投げ捨てていたら彼がボールを見つめている姿が目に入った。私の頭が空だったのが悪かった。その真剣な眼差しに詰めるものもないすっからかんの私の頭は引き込まれてしまったのだ。つまり一目惚れ。それ以来どれだけ空を見ようと彼は私の頭の中に入り込んで離れない。
彼は今日も私よりボールに夢中だ。ああ私はあのボールになりたい。