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7 竜神幼女

 神秘的な雰囲気の十字架に磔にされた幼い少女は、小学3年生と言われてもなんら違和感のない程に幼い容姿をしているにも関わらず、どこか威圧感のようなものを放っていた。俺はその感覚になんとなく覚えがあった。


(あの神と会った時と同じか····?いや、少し違うか····)


 そう、神の放っていた感覚とかなり似ていた。もっとも、あの時は混乱してたしそんな感覚なぞ気にならなかったし、その時の感覚と全く同じという訳でもない。

 妙に気になったため、鑑定をしてみることにした。だが、


《鑑定に失敗しました》


 失敗してしまった。どうして失敗したのかがわかれば対処出来るかもしれない。そんな時の為の全知書(グリモア)だ。


【術者よりも存在が上位にあたる対象に鑑定をすると失敗します。ユウ様の場合、大悪魔族と人族のハーフとなっておりますので、竜神族と神族が上位の存在になります】


 なるほど。つまり、この幼女は竜神か本物の神な訳だ。そして俺はいつのまに悪魔とのハーフになってしまったんだ。

 とりあえずこの幼女を外して、本人から話を聞こう。


「はぁぁぁぁ····────そいッッ!!うわっ、固ぇ!」


 どうやらこの手枷やら何やらは、ステータスが9桁でも壊せないような固いものらしい。この世界、どこまで強くなれるんだよ。

 壊せないなら変形させて外す。俺の魔法、操作術が火を噴くぜ!


「·····うしっ、動いた。流石にこれで駄目だったら捨ててたぞ」


 どうやら操作は可能な模様。そうとわかれば後は一瞬。幼女は解放された。宙に放り出されたため、慌ててキャッチする。

 息のあることを確認して、ついでに封印とかの魔力反応も無いことを確認。何故か傷などは無かったため、適当にベッドを作って寝かせておく。ベッドは空気中の塵とかをかき集めて作った。




「ん····?ぁれ?ここどこ?」


 どうやら目を覚ましたようだ。今気づいたが、この幼女は布きれ一枚羽織っただけの、まるで奴隷のような姿だった。


「お、気づいたか。お前なんか磔にされてたんだわ」

「へー、はりつけ·····磔!?ちょちょちょ、ちょっとまって!えーとえーと、とと、とりあえず!竜と悪魔の戦争があったのっていつ!?」


 竜と悪魔の戦争なんて聞いたことも無かったので、ちょっとグリモアに訊いてみたところ、どうやら750年前だそうだ。それを幼女に伝えると、少し涙目になって飛びかかってきた。


「750!?私そんなに封印されてたの!?私もうお婆ちゃんじゃん!どうしてくれんの!ってゆーか750年の間この塔に誰も来なかった訳!?」

「750年間誰も来なかったからお前今まで十字架だったんだろ」


 ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる幼女を落ち着かせるのに10分もかかった。




「ごめんごめん、少し取り乱しちゃった。私はフェリス。竜神族の姫、だった(・ ・ ・)の。」

「俺は祐。なんか大悪魔とのハーフらしいが両親も俺もれっきとした人間だ。」

「······まあ体は全部人っぽいし、いいや!それより、私が姫だったって知っても驚かないんだね」


 いやまあ、この手のイベントは基本姫さまか王女様って相場が決まってるからなんだが······テンプレなんてこの世界で通用するはず無いし、適当に誤魔化そう。


「まあ、俺は幼女が磔にされてたのが一番インパクトあったし。」

「幼女言うな!···ところで、あの封印解けたってことは、貴方まあまあ強いでしょ。ステータスどのくらい?」

「750年前にもステータスあったのか····今は9桁だな」

「ふーん、人としては相当強いのかな?でも大悪魔としてはまだまだって感じかな。私は39桁。竜神でも高い方だけどね」


 ······39?えーと、一、十、百、千········京の次ってなんだっけ?まあいいや。とりあえず頭が可笑しいってことはわかったし。


「···あのー、放心してるとこ悪いんだけど、竜神って生まれた瞬間から5桁以上のステータスを持ってる種族だから、気にしないでね?ごめんね?自慢みたいになって」


 優しいのは良いんだけど、違うんだ。そうじゃないんだよ。


「ま、まあとりあえず、助けてくれてありがとね。私は貴方が良いならついていこうと思ってるんだけど、どうかな?」

「ん?そいつはどうして。」

「いやー、私、750年前の竜神の常識しか知らないじゃん?だから、誰かについていかないと生きていけないじゃん?私、見た目はバッチリ人でしょ?だから、お願い!」


 確かに、この幼女···フェリスの見た目は、完全に人間のそれだった。銀髪に碧眼という珍しい色合いではあるが、まあ大丈夫だろう。


「わかった。とりあえず帰るから、ついてこい」

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