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6 初ダンジョンはインフレしてた

 俺、山崎祐は、とても暇をもて余していた。何故って?宿を一週間取ったからさ、ベイビー。

 宿を取ってから3日め。ここいらの魔物は狩り尽くしたし、操作術の性質もなんとなく把握した。大罪魔法は使ったら騒ぎになりそうだからやらない。どこか良い狩り場は無いものか。



 情報が欲しい?じゃあギルドに行けばいいさ!ってことでただいま冒険者ギルド。依頼はショボいのばっかりだから受けない。

 早速受付の······なんだっけ。まあいい、そいつに話を訊いてみよう。


「なあ、ここから半径100km以内に良い狩り場は無いか?なんかこう······ダンジョン的な?」

「100kmですか·····ここから97km北東、海上に青い塔型のダンジョンがありますよ。おすすめはしませんけど。」

「へぇ、詳しく。」

「中に潜って無事生還できたのは今まででたった4人。全員がSランク冒険者でした。彼らは満身創痍でした。それほどの難易度なのです。彼ら曰く、1フロア毎にボスが配置されているそうです。」


 そういうダンジョンのてっぺんは何か豪華な宝物を強大な魔物が守っているイメージがある。テンプレ通りなら超強い武器とかだな。よし、行こう。


「んじゃ、2、3日顔出さないわー」

「えっちょ、移動だけで1日はかかりますよ!?····ってもう見えない」




 お、あれが例のダンジョンか。うっひょう禍々しい。

 俺はいつもの地面ごと移動で、馬車なら1日はかかる距離を30分で移動した。恐ろしい。

 早速侵入。内部はどうやら森林のようだった。ここ、海上ですよね?魔法ってすげー。


「ゴブリンキング、モスラ、あとなんか臭そうなゴリラか·····雑魚ばっかだな」


 本来であれば結構強い魔物らしいが、俺はそれを3ケタ以上倒したので、大して驚異にはならない。ステータスは6ケタを突破した。負ける気がしない。

 例のSランク冒険者はここでも苦戦していたのだろうか。それなら大爆笑せざるを得ない。

 俺は敵の目に映る事も無いスピードで次の階に向かった。ボスはうっかり体当たりしたら吹き飛んでしまった。哀れなりゴブリンクイーン。



 2フロア目は海の上だった。海の上の塔の中に海があった。深くは考えないようにした。

 辺りを見回したところ、クラーケンやバハムート(巨大魚)がうじゃうじゃいた。1層との差が酷い。


「うぇ、こんなに触手だらけだとキモいな。さっさと死ね」


 数百、いや、数千ほどいた魚類が一瞬で潰れた。深海並みの圧力をかけただけなんだが、魔物は案外脆いのだろうか。


《レベルが上がりました。ステータスに〈称号〉〈種族〉の欄が追加されました。》


 ん?ステータスに欄が追加?そんな事あるのか。後で確認しよう。今はレベリングと攻略だ。



◆◆◆


 現在、99階。長かった。いや、時間的には1日たってないんだろうけど、精神的には1ヶ月経った気分。いやね、魔物は大して強く無かったよ?殆どワンパンだし、生き残った奴も数秒でパァンだし。でもね、量が多いの。階層を重ねる毎に魔物の量が倍になっていくんだよ。インフレもいいとこだよ。クリアさせる気無いでしょ。

 ステータスももはや9ケタを越えたよ。こっちもインフレだよ。アホだろ。この世界創ったやつアホだろ。


 さて、99階のボスはエンシェント・ドラゴン。SSランク指定魔物らしい。鑑定してみた結果がこれだ。



エンシェント・ドラゴン


Lv15000

HP 700000/700000

MP 999999/999999

攻撃力 500000

守備力 750000

敏捷性 450000

魔力  999999

技術  750000



 ぶっ壊れてる、訳ではない。むしろ、桁が3つ程足りない。感覚が麻痺ってる。


『グオオオオオオオオッ!!!』


 エンシェント・ドラゴンが雄叫びを上げるが、今の俺には小鳥のさえずりとなんら変わらない。

 大量の魔物のせいで大量にあるスキルを惜しげもなく使う。


「〈縮地〉ッ!オラァッ!」


 〈縮地〉を使いドラゴンの正面まで一瞬で移動、その後、素の攻撃力のみでドラゴンの顎にアッパーをかます。ドラゴンの頭が吹き飛んだ。3ケタの差は大きい。

 と、ドラゴン(死体)からアイテムが出てきた。


「お、アイテム落ちた。ラッキー」


 どうやらこのダンジョン、ボス以外はアイテムを落とさない仕様らしい。そして、エンシェントドラゴンが落としたのはペンダント。


《古竜の覇槌》

装備した者は最上級土魔法〈覇槌・震星〉が使えるようになる。

魔力量が3倍になる。



 普通にショボかった。もっとこう、[経験値が20億倍になる]とか欲しいよ。極端だけど。


 まあ今のワンパンで沈んだ情けないのがボスだったので、当然階段がある。光が射している事から、恐らく屋上に出るのだろう。さて、どんなお宝が待っているのか。


「さーて、どんなお宝があるの····か·······」


 言葉を失った。そこにあったのは、祭壇のような台座と、その上に乗っかっている何とも仰々しい赤黒い十字架。そして────────その十字架に(はりつけ)にされた幼い女の子だった。

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