神様は考えてる、多分
「ここです!」
私は、目的地にたどり着いた。
ここだ。
ここに、今。
私に助けを求めている少女がいる。
だから私は神様として、救う。
彼女の物語を。
だけど、ここで救うのは彼女だけ。
こんな制限がある事を、私は知らなかった。
ただ、神様がもしいるとするのならば、望んだ全ての願いが叶えられると思っていた。
だけど、実際は。
神様にした祈りと、望みは全ては叶わない。
それは、神様の力には制限があるから。
神様にはそれぞれ固定された役目がある。
豊穣の神なら、豊穣を司り。
海の神なら、海を司り。
死の神なら、死を司り。
私の場合は。ーーーー言わないでおこう。
ーーーー人間の世界に入り込みすぎてはならない。
人間を好きになってしまうから、そして人を愛してしまうから。
愛してしまえば、神の力を使ってしまうから。
それこそ、際限なく。
ーーーーーーーそして、悲劇は起こる。
私が、神様になるきっかけとなったあの事件を思い出して、胸が痛くなる。
私は、その事を覚えていないのに。
ーーーーー大丈夫。
教わった事を頭の中で反芻する。
神様が関わる事ができるのは、「神の力が介入する事」を前提に起こっている事件。
最初から人の力だけでは及ばない事件がその対象。
例えば、別の神が関わっている事や、その人自身の強い祈りでその権利を得る。
だから、神様が個人で介入する予定のない出来事に、私は介入できない。
それを、どんなに望んだとしても。
これを変える事が出来るのは、人の子だけだ。
神の力を持つ、神様たる私に、その資格はないから。
神の力の使用は、反則技に近い行為だから。
これが、神様の限界。許された領域。知らなかった。
神様の力は万能だと思っていた。
でも実際は、元ある運命に戻すだけ。
「・・・・・・行きましょう!」
人ならざる力をもったその代償。
あまりにも大きな、力。
これから起こる事はなんとなく知っている。
でも、選ぶのは彼女自身。
私は少し手を貸すことしか出来ない。
だから、だからーーーーーーーーーーーー
「ちょっと待て!キミ、チケットは持ってるの?」
「チケット?持ってないです!」
「・・・あ、ああ。そうなんだ・・・・ごめんねー、ここはチケットが無いと入れないんだ・・すぐに出て行ってもらえるかな?」
従業員は私に懇切丁寧にここのクラブの仕組みについて説明する。
要するになんと?
ここには特別な人しか入れないと?
「何故だ!私は神様だぞ!!」
私は、我慢できずに叫んだ。
「・・・・・・・」
何だ、その目は。
心底残念な物を見るような目で見られているぞ、私。
どうしてだ!?
遅れてきた先輩が私と従業員を見て、状況を把握したらしい。
そして、耳元で囁いた。
「・・・・・・寝言は寝て言え!このアホっ!」
ホワイッ!?




