待ち合わせの時刻の前にて
初めての投稿です。拙い文章で恐縮ですが、よろしくお願いします。
待ち合わせ場所である××駅のすぐ近くにある公園のベンチにて僕、伊沢拓也は冬の寒さと緊張で体を強ばらせながら、時計の針を見やる。
時計の針は10時56分、彼女との待ち合わせの4分前だ。
心臓はドクンドクンと激しく高鳴り、動機を押さえられない。
4分後には自分にとって特別な意味を持つ女性に出会うことになるのだから。
今日初めて会うのだが、当時、いじめに悩まされていた僕は彼女の書いた言葉にいつも癒され、励まされ、支えられてきた。
昨今では写真を付けられたりもするもあるが、SNSの主体は文字だ。
2次的な情報や3時的情報がない閉ざされた空間での、文字だけで想像する言葉のキャッチボール、それがSNSだろう。
だからこそ、僕は彼女の言葉に感化されていじめから立ち直ることができ、現在があると確信している。
もう一度時計の針を覗くと、58分を指していた。
心臓の高鳴りはより一層、強くなる。
当然、彼女ともうすぐ会えることへの感情の高ぶりあるが、不安がないわけでもなかった。
それは本物の彼女を知ってしまうことで、今まで抱いていたイメージが崩れてしまうことだ。