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魔王・名古屋コーチン 〜転生OLを溺愛する彼の前世は、どうやらペットのニワトリです〜

作者: たっこ
掲載日:2026/05/02

 安アパートの玄関を開けて、私はそのまま床に倒れ込んだ。


 ああ、スーツが(しわ)になっちゃう。

 でも、もう限界。


 時刻は午前三時。

 辺りはみんな寝静まっていて、カラスの声すら聞こえない。

 パンプスで足が痛いし、重い鞄で肩も痛い。


 でも、あと三時間後には、また出社しなきゃ。


(……定時直前に、『これ、明日までに作っておいて』って言われた資料、なんとか仕上げたけど、不備があるかも。早く行って確認しなきゃ。

 あと、給湯室の毎朝の掃除。もし忘れたら、()(つぼ)さんに叱られる……。

 忙しくて昼食も夕食も食べてないから、さすがに今朝はなにか食べないと。ああ、でもその前にお風呂入って。

 あれ、もしかして、寝る時間無いな)


 床に突っ伏していると、フローリングの上の埃がよく見える。

 最後に掃除したの、いつだったかなあ。

 思わず、涙がにじんだ。


(……お父さんたちと喧嘩して、勢いで田舎を飛び出してきて……。

 『東京なら何とかなる』って、信じてた私、馬鹿みたい。

 コネもスキルも足りてないなら、こうやって使い潰されるだけって、全然わかってなかった。

 だけど、今さら帰れないよね……)


 全身が重い。

 涙が止まらない。


 こんなことしてる場合じゃないのに。早く立ち上がって、お風呂入って、ご飯食べて、掃除もして、出社しなきゃいけないのに。

 ……でも、なんのために?


 体に力が入らない。

 意識がぼーっと遠くなる。

 目の前がどんどん暗くなる。


 あれ、これ、まさか、死……。





 ……転生、しました。

 だけど、人生ドン底のままです。


 ここは、とある貴族の庭園。

 私はしがない小貴族の娘として、昼下がりの屋外パーティに参加中。


 色とりどりの明るいドレスに身を包んだお嬢様たち・奥様たちが、あちらこちらに集まって、軽食をつまみながら談笑している。


 私は、会場の片隅で椅子に座り、縮こまっている。

 ……だって、みんなの笑いの種は、私だから。


「見て。レオン様、また新しい女性と(ねんご)ろよ」


「あら? 婚約なさったはずでは?」


「それが、名ばかりの婚約らしくて、愛は無いのですって」


「あらまあ。それで、あんな堂々と浮気を……」


「気が多い方ねえ」


「それで、レオン様の婚約者って?」


「確か、フレデリカ様よ。今日も来ていらっしゃるはずだけど」


「フレデリカ?」


「ほら、いつも目立たない、おどおどした子」


「ああ、ほら、あちらよ。……隅で座ってる……」


「うふふ、お可哀想に」


「それにしても、地味なドレスね。茶色よ」


「だから浮気されるのかしら」


 全部聞こえてるよ……。

 でも、何も言い返せない。

 私とレオン様の婚約に愛が無いことも、私が臆病なことも、全部本当だから。


 新しい世界で『フレデリカ』になった私は、前世と違って、親に逆らわないように生きてきた。

 一人では何もできないって、思い知ったから。


 だから、親が決めた婚約に従った。

 でも、レオン様は、私なんかどうでもいいみたい。


 パーティ会場のど真ん中、一番大きな人だかりで、レオン様は他の女の人といちゃついている。


「イザベル、君は相変わらず誰よりもきれいだ。

 その薔薇色のドレス、世界一似合ってるよ」


「いやん。

 レオン様がプレゼントしてくださったおかげですわ。

 このルビーのピアスも、ネックレスも」


「君よりその宝石が似合う女性はいないよ」


「あら。……誰よりも?」


「もちろんだとも!」


 浮気女のイザベルが、私を見て、くすっと笑った。

 レオン様は、私を見もしない。

 私は、情けなくて、うつむいた。


(……私のドレスも、レオン様の贈り物。

 絶対着て行けって、お母様に命じられた)


 でも、私のは、こんな茶色のドレス。

 レオン様は、『君の髪の色に合わせたんだ』って言ってたけど、そのせいで全身茶色だよ。

 それに、私にはろくな装飾品も無い。

 顔立ちも、イザベルと違って、地味。


 周りの人たちの笑い声が聞こえる。

 恥ずかしい。


(前世で苦労したら、転生して幸せに……。

 そんなご都合主義、ありえないよね。

 私なんて、前世も現世も、誰にも愛されない)


 地面を見つめて、唇を噛む。

 ……芝生を見ていたら、ふと、思い出した。


(あ、でも。

 あの子だけは、私を愛してくれたな。

 ピコちゃん、今も元気かな?)


 ピコちゃん。

 それは、私が貴族令嬢フレデリカになるよりも前。

 前世で田舎の小学生・()()だった頃、実家で飼っていた、ペットの名古屋コーチンだ。

 酔っ払ったお父さんが、お祭りのカラーひよこを貰ってきたのを、私が世話していた。


(懐かしい。ニワトリって、飼い主のことを仲間だと思って、すごく懐くんだよね。

 ……独占欲、すごかったなあ……)


 すくすくと成長したピコちゃんは、見事なトサカと尾羽根を持つ、立派なおんどりになった。

 そして、おんどりというものは、自分の群れのメスを、猛烈に愛するのだ。


 私がお父さんに叱られて泣くたび、けたたましい雄叫びを上げながら、お父さんに連続飛び蹴りをかましたピコちゃん。


 私が携帯ゲーム機に夢中になって構わなくなると、ゲーム機に激しく嫉妬して、つつき回して蹴り倒し、液晶画面にヒビを入れた。


 動物病院で予防接種を受けるとき、注射針を刺されても、ピコちゃんはどっしり構えて動じなかった。

 お医者さんは言っていた。


『おんどりは、群れの女の子の前では、絶対に弱そうな姿を見せないんだよ。

 君にカッコいいと思ってほしいんだね、この子は』


 ……思わず、涙がこぼれた。


 ここには、ピコちゃんは居ない。

 私は孤独な『フレデリカ』で、ここは不快なパーティ会場。

 どんなに幸せな思い出でも、もう、戻ってこないのに。


(……私、どうして人間なんかに生まれちゃったんだろう。もしも、私がめんどりだったら、きっとピコちゃんと幸せになれたのに……)


 いけない。貴族が、人前で泣いたりしては。

 また笑われる。また叱られる。


 急いで涙を拭き取った。

 その時、ようやく私は気づいた。


 やけに会場が静かだ。

 みんな空を見上げている。

 私もつられて見上げた。

 そして、目を丸くした。


 空から、巨大な黒い影が……降ってきた。

 影は、轟音とともに、パーティ会場に墜落した!





 突然の襲来に、誰も身動き一つできない。


 テーブルは壊れて引っくり返り、地面は無残に(えぐ)れている。

 その破壊の中心で、影がゆらりと立ち上がった。


 黒い翼が、ばさりと開く。

 現れたのは、威厳にあふれた男性だった。


 血のように赤い髪。深みのある褐色の肌。

 荒々しさを秘めた、精悍な顔立ち。

 誰よりも背が高い。

 たくましく鍛え上げられた肉体に、翼と同じ闇色の装束をまとっている。


 貴族たちは、ざわめいた。


「あ、あれはまさか、『魔王』では!」


「なにっ、あの、巷で噂の?」


「『奥方探し』の魔王なのか……!?」


「運命の相手を探すため、各地を襲撃しているらしいわよ」


「怒ると手がつけられない暴君だとか」


「それにしても、なんて美しいの……!」


「あのお方になら、攫われてもいいわ!」


「まっ、はしたない」


「いったい誰が選ばれるんだ……?」


 私は、目をぱちぱちさせた。

 そ、そんなおっかない存在が居るの!?

 私、友達が少ないから、そんな噂、知らないよ!

 なんだか、怖い。

 どうか何事もありませんように。


 魔王は、ぎらりと鋭く光る眼差しで、会場の女たちを一瞥した。

 ひとりひとりの顔に目を留め、小さな声で呟いている。


「……違う。……違う。……違う」


 こ、怖い……。

 私は、目立たないように、顔を伏せた。


 だけど、少し遅かったらしい。

 一瞬だけ、目が合った。


 その途端。

 魔王が、カッと目を見開いた。

 赤毛が、ぶわりと逆立った。

 ものすごい勢いで突進してきた!


「ひえっ……!?」


 ほんの目と鼻の先で、魔王は急停止した。


 そして、ものすごい勢いで、私の周りをぐるぐる回ってる!

 何!? 儀式!?

 怖すぎて、思わず立ち上がった。

 何周かして、魔王は満足したらしく、私の正面で立ち止まった。

 そして、嬉しそうに、満面の笑みを浮かべた。


「見つけた……!」


 両肩をがしっと掴まれた。

 魔王は、私に、こう言った。


「ようやく会えた……!

 ようやく見つけたぞ、我が運命の妻よ!」


 え。


 え?


 ……ええっ!?


 私は、目玉が飛び出そう。

 会場も、一気に騒然とした。


「うそっ! あの子が!?」


「冴えない娘なのに……」


「私のほうが美人よ!」


「これは大事件だっ!」


「魔族の国は、大陸最強だぞ」


「とんだ玉の輿だな」


 私は、あわてて言った。


「あのっ、だ、誰かとお間違えでは!?」


「俺がお前を間違えるものか!

 俺はずっと待っていた。

 そして、ずっと探していたのだ、リカ!」


 ……リカ?

 私は、思わずまばたきした。

 なんで私の名前を……。

 いや、それよりも。

 『フレデリカ』をそんな愛称で呼ぶ人は、この世界には、誰もいない。


 魔王は赤い髪を揺らし、滔々(とうとう)と語った。

 私の両肩を、ひしと掴んだまま。


「そうだ。忘れるものか……。

 お前が家を飛び出したとき。

 俺は、必ず帰ってくると信じた。

 だが、一日経っても、二日経っても、お前は帰ってこなかった。

 一年経っても帰らなかった。

 俺は気が狂いそうだった。

 お前の父が、『リカはもう戻ってこないかもしれない』などと呟いた時、俺は堪えられず、あいつを蹴り倒した……」


 魔王の目の端に、涙がにじむ。


 ちょっと待ってよ。

 私は混乱した。

 この世界で、貴族の娘になって以来、私は家出なんて一度もしていない。


 だとしたら、魔王が語っているのは、『フレデリカ』のことではない。


 心がざわついた。


(まさか……。まさか、この人……)


 魔王は、何度か首を振って、涙の気配を消した。

 そして、私に笑みかけて、強くうなずいた。


「俺は、毎日お前を待っていた。

 目がかすみ、体が動かなくなるまで、ずっと。

 ついに意識が途絶えたときは、もう会えないのかと絶望した……。

 だが、何の不思議か、こうして会えた!

 さあ、俺の城へ行くぞ、リカ!

 二度とお前を手放すものか!」


 魔王がぐいっと顔を近づけてきた。

 あ、危ない、近すぎるっ!


 おおあわてで、のけぞって叫んだ。


「あの、でも、私、婚約者がいるので!」


 魔王の動きが、ぴたりと止まった。






「……こん、やく、しゃ……?」


 魔王の瞳から、光が消えている。

 怖すぎる。


 私は必死でうなずいて、ある方向を指差した。

 パーティ会場の真ん中。

 レオン様のいる場所。

 あ、レオン様、土まみれで尻もちついてる。

 爆心地だったもんね。


「……あの、ふざけた男が……」


「ええと、ふざけてるかわかりませんが、彼が」


「……リカの……婚約者だと……?」


「あの、はい、一応、婚約者です」


「…………」


 魔王の手が、ゆっくりと私から離れた。

 小刻みに震えている。

 彼は、大きく息を吸い込んだ。

 そして。


「……ふざけるなああああああああ!!!」


 こ、鼓膜がっ!!


 誰もが耳を押さえたその瞬間、魔王はすでに大地を蹴っていた。

 目にも止まらぬ突進。

 そして……レオン様に、飛び蹴りしたっ!?


「貴様、貴様、貴様などがァッ!

 リカと!

 リカとッ!

 この、俺の、リカとォッ!

 婚約だとおおおおおおお!!

 誰が貴様などに渡すものかああああああ!!」


「うぎゃああああ!?

 痛っ、いだっ、た、助けてくれえっ!」


「消えろ、消えろ、消えろ!!

 俺は絶対に認めないッ!」


 魔王、蹴ってる! 叫んでる!

 ものすごい勢いで、レオン様を蹴ってる!


(こ、これはまるで、前世で私がお父さんに叱られた時、私の代わりに逆ギレしたピコちゃんの、先手必勝急襲攻撃だ!)


 私の婚約者のレオン様は、浮気女のイザベルに泣きついた。


「イザベルっ、助けてくれえ!

 ま、魔王に殺されるっ!」


「ええっ!? む、無理ですわよっ!」


「頼むよ! ドレスも宝石も買ってやっただろ!?」


 魔王は、再び動きを止めた。


「貴様、まさか……。

 俺からリカを奪っておきながら……。

 他の女にも色目を使って、浮気しているのか!!」


 魔王の両目が、鋭く光った。

 黒い翼が大きく開き、辺りに魔力が集まっている。

 ……竜巻だ!


「しかも、危地において、女に助けを求めるとは!

 女を守ることこそが、男の役目であろうが!!

 男の風上にもおけぬ腑抜けがあああァッ!!」


「ひいいいっ!?

 痛っ、痛っ、砂がっ!

 許してくれええええっ!」


「ちょっとレオン様、あたしまで!

 いやああっ、ドレスが破けちゃうッ!

 砂まみれになっちゃううう!!」


 ああっ、魔術の竜巻が!

 レオン様とイザベルを、砂まみれにしている!


(こ、これはまるで、前世で庭の警備をしていたピコちゃんが、いたずらカラスを追い払うときの、必殺砂掛けステップだ!)


 半泣きのレオン様は、大声で叫んだ。


「くそぉ、これも全部フレデリカのせいだっ!

 あの地味女は、疫病神だあっ!」


 魔王の赤髪が、炎のように逆立った。

 怒髪天だ。


「貴様……よりにもよって……。

 リカを……。

 この俺の、愛するリカを……!!」


 空は真っ黒に染まり、雲は渦を巻いている。

 魔王の全身を、火花が包んでいる。


 魔力の奔流が荒れ狂っている!

 さっきまでの竜巻の比じゃない!


「……殺してやるぞおおおおおお!!!!!」


 魔王は、右手を高々と掲げた。

 そこには、黄金の雷光の槍!


(こ、これはまるで、前世で家にゴキブリが現れた時、激怒してカーテンに穴を開けたピコちゃんの、殺人ついばみ……!)


 あの時、哀れなゴキブリの死体はバラバラに散らばり、私たちは涙目でそれを片付けた。

 このままだと、レオン様たちが、ゴキブリみたいにバラバラになっちゃう!


 私はあわてて飛び出した。

 そして、魔王の前に立ち塞がった。


「やめて!

 ……ピコちゃん、やめなさいっ!」


 魔王は、ぴたりと動きを止めた。


 怖い。

 でも、きっと、怖くない。

 私は勇気を出して、彼の胸元をちょんとつついた。

 彼をなだめるとき、いつもそうしていたように。


「ピコちゃん……なんだよね……?

 暴れちゃダメだよ。

 私、いつも言ってたでしょう?」


「……リカ……!」


 雷の槍が消えた。

 異様な竜巻も。


 魔王は……魔王ピコちゃんは、涙目になって、私を抱きしめてきた。

 私も、ぎゅっと抱きしめ返す。


「リカ!

 そうだ、俺だ!

 ようやく分かってくれたか!」


「ピコちゃん……!

 あなたも、転生していたのね。

 嬉しい。会いたかった……!」


「俺もだ。ずっと、ずっと会いたかった。

 ずっと待っていた。

 それでも、会えなかった。

 だから、こうして、会いに来たのだ!」


 ピコちゃんは、私を見つめて、改めて言った。


「リカ。

 俺の妻は、昔も今も、お前だけだ。

 俺と来てくれ。幸せにする!」


「ピコちゃん……。

 うん、連れて行って。

 私、あなたと幸せになりたい……!」


 そこへ、情けない声が割り込んできた。


「な、何を言ってるんだ、フレデリカ。

 俺との婚約はどうするんだよ!

 というか、この怪我、この汚れ!

 弁償しろよっ!」


 地面に這いつくばったレオン様だった。

 服も体もボロボロだ。


 私が何か言う前に、ピコちゃんが「ふん!」と鼻を鳴らして、レオン様を蹴り飛ばした。


「貴様などが、リカにふさわしいわけがあるか!

 貴様の婚約など破棄だ、破棄!

 失せろ!」


(あ、婚約破棄の台詞、ピコちゃんが言うんだ……)


「リカは貰っていくぞ!

 案ずるな、幸せにする!」


 ピコちゃんは、私をひょいと抱き上げると、力強く羽ばたき、その場を去った。

 ものすごく砂を巻き上げながら。

 咳き込むレオン様とイザベルの姿は、どんどん小さくなっていった。






 あれから、もう数十日。

 私は、天空の魔王城で、幸せに暮らしている。


 噂好きの渡り鳥が言うには、あれからしばらく、レオン様とイザベルは「魔王に砂を掛けられた二人組」として、社交界で笑いものになったらしい。


 部屋に、ノックの音が響く。


「リカ。支度はできたか」


 ピコちゃんが部屋に入ってきた。

 燃える赤髪、褐色の肌、黒い羽根。

 ……とっても名古屋コーチンだ。

 彼は、優しく目を細めた。


「綺麗だ、リカ」


「えへへ。……ありがとう」


 私の今日のドレスは、純白。

 ……そう、結婚式なのだ。


 小鳥の魔族たちが、ぱたぱたと周りで支度してくれている。

 そんな彼らの目の前で、恥じらいもせず、ピコちゃんは私を抱きしめた。

 ……わ、私はちょっと、恥ずかしいんだけどな。


「リカ」


「な、なあに?」


「どこへも行くな」


「……うん、行かない」


「ずっと一緒だ」


「うん。今度こそ」


 胸がいっぱいになった。

 前世で、私を待っていてくれたピコちゃん。

 現世で、私を探し続けてくれたピコちゃん。


 大好き、ピコちゃん。

 絶対に、一緒に幸せになるんだ。


「リカ。お前に、言っておきたいことがある」


「なあに、ピコちゃん?」


 ピコちゃんは、真剣な顔をした。

 きりっとしていて、すごく凛々しい。

 私も、まっすぐ見つめ返した

 ……そして、直後に、ずっこけた。


「子どもは、毎日一人ほしい!」


 う、嘘でしょ。

 頭が痛い。

 でも、そうだよね。ニワトリだもんね。


「……あのね、ピコちゃん。

 人間は、そんなに卵産まないわ」


「なんだと」

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