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第5話:確率的におかしい

 ――――――――――二年後。


「何でえ?」

「確率的におかしい」


 何度この会話をネオンと交わしたことでしょう。

 この二年間、私がユウキさんのために引いた加護ガチャは以下の通り。


 『ハーレム』:異性にモテまくる。レア。

 『魅了』:他人の好意を得られる。レア。

 『ステータス可視化』:自分や他人の能力値・スキル・加護等を見ることができる。

 『探知』:気配を感じとる。

 『小鳥の友』:小鳥が寄ってくる。

 

 いや、レア二回も引いてるし、すごいのよ?

 でもユウキさんに身に付けて欲しい加護を引けないの。


「また『ハーレム』と『魅了』が効果被ってるし」

「まさかのレア被りよねえ」

「本当にどうなってるんだろ?」


 首を振りながらネオンがぶつぶつ言います。


「『ハーレム』『魅了』頼みでヒモになれば一生食べていけるね」

「そんなの『エコラント』のためにならないじゃないの!」

「うん。だからイリアの罪は許されない」

「ええ?」


 罪って。

 こんなにガチャ引いた努力は認めてよ。


「大体『小鳥の友』って何なの?」

「美少年度が上がってしまうわ」

「不思議な魅力ってことではプラスだけどさ。あの子冒険者になりたいみたいじゃん」

「うん……憧れてるみたいね」


 最初に冒険者ギルドを紹介したのは失敗だったかしら?

 でも身寄りのない者が日銭を稼ぐとなると、冒険者ギルドに勝るものはないし。


「『ステータス可視化』と『探知』は冒険者として役立つでしょう?」

「まあね。でも問題は実際に戦闘になった時、『ステータス可視化』や『探知』じゃ火力にも防御力にもならないってことなんだ」


 『ステータス可視化』や『探知』が補助的な役割しか果たさない加護であることは、私もわかってました。

 口を噤まざるを得ないです。

 戦う手段がないのでは、いざ冒険者になった時、自分の生死を完全に他人に委ねることになってしまう。

 戦闘の貢献度によって配分される経験値も得にくいから、レベルも上げづらい。

 キツいわ~。


「あの子人当たりいいし、『魅了』の加護持ちだからさ。優秀な冒険者に誘われる可能性は高いと思うけど……」

「優秀な冒険者ならユウキさんの『ステータス可視化』と『探知』の価値を理解すると思うわ。でも優秀であるほど、非力で魔法を使えないユウキさんを戦闘に参加させようとしないでしょうね」


 いつまで経ってもレベルが上がらないのでは冒険者は……。


『フィーフィーフィー』


 ユウキさんからの連絡です。


『女神様、聞こえますか?』

「はい、聞こえます。ユウキさん、一二歳の誕生日おめでとうございます!」

『えへへ、ありがとうございます』


 もー可愛いんですから。


「冒険者ギルドで本登録できる年齢になりました。ユウキさんは冒険者としてやっていくつもりですか?」

『はい、もちろん』

「残念ながらユウキさん自身に戦闘力はありません。『ステータス可視化』や『探知』の価値がわかる冒険者と組んでくださいね」

『はい、もう誘われているんです』


 さすがですね。


「誕生日のお祝いとしてガチャ加護を一つプレゼントいたしますね」

『ピコーンピコーン』

「あっ、レア加護ですね。何を得ましたか?」

『『ストレージ』です!』


 亜空間へほぼ無制限にものを収納できるようになる素晴らしい加護!

 だけど……。


「時間です。ユウキさんの前途に幸運がありますよう!」


 通信が切れた後、ネオンが天を仰いでいる。


「今度は『ストレージ』? 不思議なほどレア比率高いな」

「ますます引っ張りだこで大事にされそう」

「大事にされるだけじゃダメなんだってば」


 わかってますよ。

 レベルを上げてステータス値を高めないと、ちょっとしたトラブルや敵の奇襲で命を落としてしまうということは。


「大事にされてる内に、敵からダメージを奪える加護を与えたいね」

「レベルを上げやすい加護ってことね」


 冒険者一本で行くなら、技術系の加護じゃ意味はないです。

 少し条件は厳しくなりましたが……。


「まあ戦闘系魔法系の加護は少なくないよ」

「あっ、ネオンったらまた変なフラグ立てて! ずっといい加護を引けなかったらどうするの!」

「ハハッ。イリアは女神のクセに迷信ばっかり」


 ネオンは笑いますけど、大体今までのガチャの引きは相当おかしいですからね?

 次こそいい加護を引けますように!

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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!
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