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獣人販売事件・・・ある購入者の手記より

作者: たいたたん

 この事件は10年たった今、一応の結論は出ている。


 しかし、一部の政治家や弁護士など、また人権団体を名乗るグループなどは、未だにこれは犯罪だと主張し、たびたび世間を騒がせている。


 彼らは、彼女らを人間だと主張するが、そもそもDNAは全く違っており、様々な研究者のほとんどが「彼女らは人の形をした獣である」と結論付けている。


 また彼らは知能も賢いと主張するが、賢いとされる動物と同じかわずかに上回っている程度である。


 結果、購入者は、虐待をしない、基本的に最後まで面倒を見るなどの誓約書を書かされたうえ、1年に一度の健康診断等を義務付けされて、飼うことが許されている。







 私がそのホームページを初めて見たのは、そろそろクリスマスソングが流れ始める季節にしては、妙に暑い日だった。


 その年、私は離婚し長年勤めていた会社をリストラされ…普通より多めの退職金が出たが…散々な一年だった。


 その日、求人サイトを見ていたが、飽きてきて、何か面白いサイトがないかと適当にクリックしていた。


 始めそれを見たときは、よくできたジョークサイトだと思っていた。


 獣耳などの少女の写真が並び、その写真の下には簡単な紹介文と値段が載っていた。


 一番上は値段が安い、ぶさかわいいという表現が当てはまるような豚少女で、それでも100万近くした。


 その下に、イヌミミ・ネコミミ・キツネミミ・ウサミミなどの少女と、小さな角が生えた少女たちが、安い順に最高数千万円の値段をつけられならんでいた。


 その下にいろいろと説明が書いてあった。


 それによると、彼らは神話やファンタジー小説などでよく知られる”コボルト””オーク””ゴブリン”等いわゆるモンスターと呼ばれる人型の獣を可愛らしく品種改良した人獣で、人間ではないとのこと。


 オスは別な需要があり、メスしか扱っていないこと。


 また、知能はあまり高くなく、幼児あるいは、賢い動物程度だが、しつけ等は出来るだけしてあり、簡単なカタコトの会話程度なら出来るとか、今は4~5歳で大人になったばかりで、種族差・個体差等あるが、この容姿のまま20~30年は生き、その後数年で容姿体力が衰え寿命を迎えるといったこと、食事のことなどの世話や飼い方の注意事項とかが、詳しく書かれてあった。


 最後の方に飼うための最低限の道具等も含まれているとか、配達はショップが直接配達し、そこで本当に購入するのか最終確認をするなど、本当に買えそうなぐらい完璧に作りこまれていると思って見ていた。


 私は、もし本当でも連れてきた日に断ればいいかと思い、比較的安めの犬耳少女をクリックした・・・


 どことなく、離婚した妻が連れて行った我が子に似ている様な子だった。


 まだこの時点では、本当にこの少女が私のもとにやってくるとは、思いもしていなかった・・・









 クリックしてから4ヶ月の時が過ぎた。


 私は正月明けからの仕事が決まり、クリックしたことなど完全に忘れて働いていた。


 その日、仕事から帰ると、1通のメールが届いていた。


 そのメールには、「商品の準備が整いました。4月中旬以降の都合のいい日を教えてください。但し配達が重なった場合は変更をお願いします。また、代金は配達時にお願いします。なお説明には2~3時間かかりますので、よろしくお願いします」と書かれていた。


 私は半信半疑だったが、ゴールデンウイーク初日の休みの日を指定しメールを返信した。


 すぐに返事が来た。その日に配達するとのことだった。







 そして、当日の朝・・・うちに来たのは、若い…二十歳ぐらいだろうか…男と、深く帽子をかぶった2人の女性だった。


 一人は二十歳ぐらいだろうか、プラチナブロンドというのだろうか、色の薄い金髪でたぶん白人だろう。


 もう一人は髪を少し茶色にした、背が低い中学生ぐらいに見えるの女の子だった。


「●●さんですね。初めまして、サイラ商店の川原といいます。ご注文の商品をお届けに参りました。あ、これ名刺です」


 渡された名刺には、ペットショップ「サイラ」、店長・川原 勇とあった。


 で、こっちが店員のディフリートと…人を品定めしている様な眼をした…金髪女性を紹介した。


 彼女は帽子を脱ぎながら「ディ―トと呼んでください」と軽く頭を下げた。


 彼女の耳はまるで、小説かゲームに出てくる、エルフのような耳をしていた。


 川原店長はその様子を見ながら、軽く微笑み彼女に小さくうなずくと「で、こっちがご注文のコボリアンです」ともう一人の女性を紹介した。

 彼女は不安そうな顔でこちらを見ているだけだった。

「あ・い・さ・つ」と川原店長。

「アイサツ?」と首をかしげてから、慌てて帽子を脱ぎ、「ア、オハヨウサマデス」とあいさつした。

 彼女の耳は、あのサイトの写真と同じ、イヌミミをしていた。



「…で、ある程度馴れてからですけど、最低限、食べるものを用意しておけば、2,3日ぐらいは留守にしても大丈夫です。また長期間でしたら、うちに言ってもらえば、有料ですが預かってもらえるところを紹介します。それと…」と、それからとても言いにくそうに「転職や引っ越しなどで、どうしても飼えなくなった時はうちで引き取ります」と3時間近い飼い方の説明とレクチャーの最後にそう言った。



 今日は私の所だけなので、時間があると言う事で、少し雑談をしたが、その際疑問に思ったことを幾つか聞いてみた。

 なぜ、メスだけなのか、オスはどうなっているのか、そもそもこのような生き物などフィクションでしか、聞いたことがないのだが、等々、それから・・・エルフにしか見えない、彼女のこと。



 川原さんは、少し考えてから話し始めた、異世界「サイラ」での魔王との戦いの事そしてその後の事を…


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