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とあるドラゴン研究者の考察

久しぶりに山から降り、近くの村で数日を過ごした。


腰を落ち着け山中での研究成果を纏めていたが、それも終え一息吐く。

さて次はどうしたものか。


ここ何年かはドラゴンの目撃証言を聞くとその国へと赴き現地を調査。ドラゴンの痕跡を探して回るという日々の繰り返しだった。


しかし世界中を飛び回ってはみたものの、実際にドラゴンを発見できたのは、5年前、いや6年前だったかの1回のみ。


それも噂を聞いて行ってみれば、ドラゴンは既に討伐された後。つまりは発見と言っても、自分の目で目撃出来たわけではない。


…まあ、そうだろう。

瞬時に噂になるわけもなく。

仮に瞬時に噂になったところで、噂が伝わるまでには時間がかかり。

また仮の仮にドラゴンの目撃という異例の出来事のために瞬く間に噂が広がったところで、私が瞬時にそこへ行けるわけではないのだから。


つまり私が行った時には既にドラゴンがいなくなっているのは当然。

しかしそこには明らかな戦闘の跡があった。


周辺の聞き込みにより、この国の王太子の一行がドラゴンを討伐し、既に王都まで討伐したドラゴンを運んで行ったことが分かった。


私はすぐに王都に向かった。

しかし残念ながら王城の中に入ることは叶わず、ドラゴンを見ることは出来なかった。


だが幸運なことにドラゴンを討伐し、ドラゴンの呪いを受けたという騎士に会うことが出来た。

騎士の右目は金色に輝き、瞳孔がまるでドラゴンの様に縦に長い。

もっとも私はドラゴンを見たことがあるわけではないので、本当のドラゴンの瞳孔が縦に長いのかは定かではないが、文献ではそのように記述されている。


騎士の左目は赤い。瞳孔はもちろん丸い。

つまり左目が元々の目の形状であり、呪いを受けているのは右目だけだということになる。


更には騎士の身体の右、肩から腕及びその周辺には赤い鱗が生えている。

耐久試験をしてみたが、鱗には少しもダメージを加えることが出来なかった。

まさにドラゴンの鱗だ!


だが更なる耐久試験を試みた私は、追い出されてしまった。

鱗にダメージはなかったのだが、人間の身体の方にはダメージが大きかったらしい。


まあ、そうだろう、それくらいの力を加えなくては試験にならない。


追い出された私は、仕方がないのでドラゴンの討伐現場へと戻った。

そこを中心に、ドラゴンがどこからやってきたのか、また仲間はいないのかなど調べることは多くある。


ドラゴンの痕跡を追ううちに、人里を離れていき、痕跡は途絶えてしまった。

無念であった。しかしドラゴンの討伐という事実によりドラゴンの実在は証明されたのだ。

私は諦めずに研究を続けた。



私はドラゴンの討伐された国へ戻ることにした。あの国に行くのはあれ以来だ。何か新たな情報を見つけられるとよいのだが。


そんな風に考えて王都へ向かい、まずは腹ごしらえと食堂へ入る。

そこで私は噂を耳にした。


あのドラゴンを討伐した騎士の呪いが…ドラゴンの呪いが解けたのだと言う。


「…」

私は黙考した。


気付いた時には目の前の料理が冷えているくらいに考え込んだ。

私は食事を始めた。そして心の中で「さもありなん」と呟いた。



ドラゴンの討伐の噂は様々だった。ドラゴンの大きさも、強さも、討伐の時間も、どのようにドラゴンを倒したのかという話も様々だった。

所詮は噂。まるで見たように話しているものは大体偽りである。

しかし私は討伐した騎士の話を聞くことが出来たので真実を知っている。


ドラゴンはあっさり討伐されたのだ。

拍子抜けするくらいあっさり倒されたと聞いている。


しかしドラゴンを殺した者は呪われる。あっさり倒したからといって例外ではない。

騎士はドラゴンの呪いを受けた。

ドラゴンを殺した者は、ドラゴンの残りの寿命の長さの分だけ呪いを受けるのだ。


その呪いが解けた。


つまりはドラゴンの残りの寿命は僅かであったのだ。だからこそあっさり討伐出来たのである。



「ふむ…」

自分もドラゴンの呪いを受けてみたい。


唐突にそう思った。

なぜ今までそれに思い当たらなかったのだ。そうすれば耐久試験を自由に出来るではないか。


…ドラゴンを探さなくてはならないな。


食堂から出た研究者は気持ちを新たに、ドラゴンの目撃証言を探し求めることを決めた。



数日をかけて王都でドラゴンの目撃情報を集めると、再びドラゴンが目撃されたという国へと旅立つ。

旅立つ研究者の腰には、新しく剣が携えられていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。これにて完結です。

ブックマーク、いいね、評価 とても感謝しております。

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