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痛み

体力を使い果たした俺はようやく眠ることが出来た。


そしてすぐにギルベルトに叩き起こされた。


日番の俺はそのまま急いで仕事に向かい、夜番のギルベルトは寮へ戻って行った。

世話をしたんだから絶対に何があったか聞かせろと喚いていたが、夜番が続くギルベルトとはしばらく顔を合わせることはないだろう。


まあ介抱して起こしてくれ朝食のパンまで用意してもらったのだから、礼をしないわけにはいくまい。


少しの眠りではあったが頭は随分とすっきりしている。


体力はあまり戻っていない。


体力が…というよりも尽きているのは気力かもしれない。

なんだか身体が空っぽになったようだ。



…アメリアがトカゲたちへ向ける眼差しを見ていたら胸がざわめいた。


その微笑みは俺のものだと思っていた。


俺に向けて微笑んでくれるのだと思っていた。


俺に。


…。


…アメリア…俺を見て。


俺を…



俺に微笑みを向けて。




アメリアの瞳がまっすぐに俺を見る。

蕩けるように甘く微笑んでくれる。

でも…



アメリアが微笑みを向けている『俺』は誰?



その『俺』はクラウス?それとも…



クラウスは右目を押さえた。



胸のざわめきを押し込むようにしばらくそのまま動かず。


右目に圧迫感を感じるのは右目も『俺』だからだ。



本当に?


ゆっくりと右手を目から離す。

離した右手を見る。


いつも通り手袋をした『俺』の右手。


クラウスは視界から右手を外す。

そして右手を強く握った。


強く。


強く。


その痛みを噛み締めるように。

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