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WOMAN
「志桜里ママわたし時々思うの 人の恋愛話って羨ましいなって思っても所詮他人事だものいいわねぇなんてみんな言いながら心のどこかでハイハイ勝手にお幸せにってところ女性にはあるでしょ なんだか怖いなあって・・だから私はうまくいってる恋愛さえ話せない」
「寿里ちゃんは女は怖い生き物だって言いたいのね 確かに仲のいい友達に発する言葉が心とは裏腹だったりする事があるわね」
「わたし人の幸せを心から祝福できない時もあるけど、だからと言って人の不幸は蜜の味?そういうのには共感できないの」
「正義感ある寿里ちゃんらしいわ不幸のその蜜は人を狂わす媚薬にも変わる恐ろしいものよ 甘いどころか苦くて七転八倒の苦しみをも齎す事もあるのよ」
「そうね彼とは上手くいかなかったけどそんな苦い蜜を味わうことがなかっただけでも良しとしないとね」
「あら大変、寿里ちゃんそろそろ電車の時間よ」
「急がなくちゃママご馳走様また来ますね」
お客との会話は大抵尻切れトンボでそれっきり終わるもの。しかし寿里の話しは連載小説のように続き志桜里はいつしか寿里の来訪を心待ちにしていた。