プロローグ
一年ぶりに書いてます。
鎮魂探偵伊武受雷の祖母初音はすでにこの世にはいない。
しかし、彼女は生前イタコだったせいもあってか、この世とあの世を霊体のまま行き来できるという特殊能力が身につけていた。
(成仏できんのもいやはや)
初音はそう思いつつも、自分の置かれているこの不思議な環境を満喫していた。
そして、彼女はかつて幼い頃住んでいた柳川の地を懐かしみ霊体の姿で訪れていた。
(50年ぶりだの、懐かしい・・・ところどころ知らん建物も建って)
初音は街をふらふらと歩き、実家があった場所へと訪れた。
そこには昔あった家はなく、新築の家が建っていた。
(そりゃ、そうじゃな)
初音は月日の移ろいを感じ、隣の家へと目をやる。
(ここは・・・変わらんのう)
古い大きな屋敷がそこにある、ところどころ改装されているようだが、佇まいは
当時と変わらない。
(桜は元気でやっているだろうか)
初音は懐かしい人の名を呼んだ。
妹のように可愛がって遊んだ桜という隣人。
初音はふらりと家の中へ入って行く。
古い家は独特な雰囲気をしている、採光に配慮してないぶん、若干暗い部屋。
初音は思いだす。
ここで遊んだ昔の情景。
ままごと折り紙、おばさん達とさげもんを作った思い出。
・・・・・・。
彼女は立ち止まった。
仏間に年老いた白髪の女性がいる。
線香の白い煙が漂い、仏壇には白い箱が置かれている。
「あなた」
じっと遺影を見つめ続けている。
(桜)
初音は懐かしい人の名を呼んだ。
遺影の人物は桜の夫だろうか。
初音はそう思い、遺影を見る。
(ほぉ~いい男だねぇ・・・やるね、桜も・・・ん?)
彼女は違和感を覚えた。
(これは・・・)
その夜、桜の枕元に初音は立った。
「久しぶりだね」
「初音、姉ちゃん」
「あんたの旦那いい男だねぇ」
「なによ。いきなり」
桜は初音のぶっきらぼうな言い方に苦笑する。
「はは、伝えたいことがあってね」
ふっと真顔になる初音。
「なに?」
「旦那はまだ死んでないよ」
「えっ!姉ちゃんどういうこと」
「ん、私はこう見えてももう死んでいるんでねえ。そうだ、あんた、あたしの孫ん家に電話してくれないかい。番号は・・・」
「これ夢よね」
「夢かどうか、信じる信じないは桜に任せるよ」
「・・・・・・」
桜は思い深く目を閉じた。
忘れた頃に書いてみた。