第2話 不思議な出会い
アオとカノンに見つからないようにこそこそと裏の塀を飛び越えて、駅に向かった。電車を待つと、長髪の人がガラの悪い男性二人に絡まれてた。
「お嬢ちゃんかわいいねえ。」
「ねえねえ~いいとこ知ってんだ。一緒にいこ~~。」
典型的なナンパ。 長髪の人はいまだに困っている様子だ。 電車が間もなく来ますのアナウンスが聞こえてきたから、周囲の人と同じようにみて見ぬふりを決め込もうと思った。
長髪の人は困った顔をして周りに助けを求めようとしている。このまま面倒ごとを起こされてもめんどくさいので間に入った。
「その男性困ってるんでやめたらどーです?おっさんたち」
「は?おっさん?なめてんのかガキ?」
「おいおい、横取りとかねーわ。おいおいガキンチョ。これが男なわけねーだろ」
「それもそーだわ。てめー、目がいかれてんのか?」
「はっ、んなわけねえだろ。シンセツシンってやつだよ。どうせ恥かくのはお前らだろ。」
メンチ切ってきた二人を、作り笑いでなだめる。後ろから低い声が聞こえてきた。
「あの…、オレちゃんと男なんですけど」
想定外の声の低さで固まる2人。俺ももちろんびっくりしたが、今がチャンスとみて、長髪の人の手をつかみ電車に駆けこむ。
「あ!おい!!てめえ!」
「ふざけんな!!」
大方この辺りの言葉を叫んでるんだろうなと動いてく電車の中から見る。思わず連れてきちゃったけど、まあ、ここまでくれば大丈夫かな。
「すみません、あのままにしておくのもなんだしなと思って連れてきちゃいました」
「いえ、ありがとうございます。」
色素がほぼ抜けて薄い茶色の髪質に、クリスタルのような透き通る瞳を持つ、少年。
「よく…絡まれるんですけど、いつもは、付き添いの方がいたのですが、今日ははぐれてしまって…」
「ふーん、無事でよかったな」
「あの…、お礼がしたいのですが…、この後大丈夫でしょうか?」
正直乗り気じゃない。眠いし、早く帰りたかった。
「あ…随分ひどいクマですね、この後は眠られる予定でしたか…?」
なんで俺の考えてることが分かるんだと思っていたら、病気じゃないかと思うぐらいの白い肌の手が俺のクマをそっと撫でている。
「バイトの関係で。」
「とても大変そうですね…。快眠グッズ家にあったかなあ…」
「いや、あの…」
「お茶でもと思ったんですが、一緒に昼寝も悪くないものですね」
善意100%の笑顔で言ってくる。いや待て。
「あ、吉祥寺駅だ。ここなんですよ。ほら降りて」
促されるままにおろされて、彼の家まで連れていかれた。
広い豪邸…。
そういや付き添いの人がいるっていってたな…。
なんでここにいるんだろう…。
思考を巡らせることを放棄したい。眠い。正直、ここ1週間きちんと寝れていなくて、眠気が限界である。
開かれたドアの向こうにあるのは一言でいうと異空間。嗅いだことのないような香りがするけど、ひどく心地よい。 ふかふかのソファに座らされ、待っててくださいねと楽しそうにどっかに行く彼を見届けた後の記憶がない。
「お待たせしました…って寝ちゃってる。」
ソファに横になるようにすやすやと寝ている。頬っぺた触ってみるが起きる気配がない。
「ずいぶんお疲れのようだね…、紫之宮…虹大…クン…。」
フフッと笑い、毛布を取りに行った。