プロローグ
2020年 東京 渋谷区 某所 25時
未だに大通りは呑兵衛や残業で帰宅する人たちであふれかえっている。
その裏で、路地を颯爽と駆け抜ける人が三人。
彼らの見る先には、この世ならざるものが暴れまわっていた。
「こちら討伐隊、対象を確認した。直ちに掃討にあたる」
『本部、了解した』
「結界展開します」
「援護射撃します」
「お願いします。これより、中級相当の化ケ物-百足-を掃討する」
一人の男の号令に合わせ、後ろにいた二人が隊列をなす。
100m先にいるのが、闇より這い出るこの世ならざる者“化ケ物”。
援護射撃で逃げ場を防ぎ、結界で、化ケ物からの攻撃のダメージを軽減させる。
「起きろ…!緋煉龍!!」
男の声に合わせ、両手に猛々しい炎が燃え上がる。
凄まじい迫力を察した化ケ物が自ら男に向かって突進しようとする。
「無駄だ。跡形もなく燃え尽きて…消えろ。耿々断漸」
抜かれた剣にはすべてを燃やし尽くすほどの豪火。
きれいに横に一筋の円を描く。
それに合わせて百足も胴体を真っ二つに分かれ、豪火に燃やし尽くされ消えた。
「ハァ…ハァ…ぐっ…。本部へ。掃討完了しました…。」
報告を終えると一人倒れこんだ。
先ほどまで両手にあった刀は消え、無惨なやけど跡が残る男。
援護に回っていた二人の一人が男を担ぎ、彼らは闇へと溶け込む。
太陽が昇る日まで。