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ゴブリン戦記  作者: 木下寅丸
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7話:『復讐者』


ピーチ:「もう止めたら?」





勇者から逃げた後、一度ピーチの家に戻ってきた2人。

まだ泣いているスーを見て、ピーチは言った。



スー:「俺は止めない。。。絶対、絶対に」

ピーチ:「君じゃ、一生掛けても勇者に敵わないと思うよ」




今日のピーチは冷たかった。




ピーチ:「あいつの強さは人間の次元を超えている」

   :「諦めないのはカッコイイことだと思うのかもしれないけどさ」

   :「ただの無駄だと思うよ」



スー:「そんなんじゃあない」

  :「俺は許さない。俺から全てを奪ったあいつを」

  :「俺は昔人間に人柱にされそうだった。助けてくれたのは、ゴブリン達だった」

  :「最初は怖かった。後で食べられるのかと思ったよ」

  :「逃げようかとも思ったよ。でも人間に捨てられたようなものだった俺には帰る場所がない」

  :「人柱に決まった時、俺の親はたいそう喜んでいたよ。おまえは私たちの誇りだって」

  :「自分の子供が死ぬのが、そんなに嬉しいことか?」

  :「アンに家に連れ去られた時、色んな思いが交差して、自分の意識がさ。こう、無くなりかけたり、戻ったりを繰り返していた」

  :「こんな人生嫌だ。これは俺の人生じゃないって」

  :「意識が朦朧になってさ」

  :「アン、ドゥー、トロワ、、、」

  :「楽しかった。毎日毎日。神様。この日常をくださりありがとうございます」

  :「俺にとってさ、あの3人だけが人間だと思えた」

  :「俺には出来過ぎた父親達で。俺の全てだった」

  :「それをさ。それをさ、、、」

  :「あいつが壊した。あいつが壊したんだよ!俺達は平和に暮らしていただけなのに」

  :「何が勇者だ、、、」

  :「くそぉ」





ピーチは感情剝き出しになったスーに驚いた。こんな風に自分のことを語ったことも。


こいつ自分の親にも捨てられてたのかよ、、、。





スー:「一生掛けても敵わないなら、俺は命を掛けて一太刀食らわせる」

  :「たとえ殺せないとしても、、、」



スーも勇者の強さの度合いが、桁違いなことは分かっていた。

だからこそ、悔しくて涙が止まらないのだ。



いくつもの戦場を渡り、自分の技は磨かれ続けた。

自分でも、強くなっていった手応えを感じていた。

勇者の強さは、そんな自信をポキりと折った。


圧倒的な強さとはそういうものだった。



スー:「俺は修行してくる」



まだ傷も癒えていないのに。





ピーチ:「分かったわよ、、、」





ピーチは真面目な顔をそういって止めた。

元の調子でこう言う。




ピーチ:「確かに一生掛けても敵わないよとは言ったよ。たかが100年にも満たない寿命なんだから」

   :「そんじゃあさ、十生掛ければ良いじゃない」

   :「それで釣り合いが取れるってもんよ」

   :「覚悟は良いかな、人間の少年」



スー:「十生って?」



ピーチ:「ざっと、1000年くらいかな?」

   :「3か月くらいで戻れるよ」

   :「そんじゃあーねー」





ピーチはスーを魔法で掴んで亜空間に放り投げた。


ポイッ。













スー:「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」








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