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詩織さんの微笑みは天使のように冷たい。  作者: 綾峰 はる人
LOST BLUE
4/32

私としましては、2度目です

ついに依頼人であるまほと再会し、物語が急展開を迎えます。

 -----------------------ウタ シミダラケノ アナタヘ--------------------


 此れは魔法、決して消えない魔法だ。(たと)え、私の全てが呪われても構わない。

だからアナタだけは、壊れないで永遠に。そう祈り、魔法を唱えた。私はこの歌と共にきっと死ぬ。(いや)、死ななければならない。

ポルカ、ポルカ、魔女のポルカで私と踊りましょう。そして□□を讃えましょう。





 --------------------------------COM---------------------------------



「――っ! 今のはいったい……?」

 一瞬だけ、チクリとした頭痛と聞き覚えのない歌が脳に響いた。


 ――おや? はて……。

 不思議です。もう、どんな歌だったか思い出せません。

 デジャヴ、というものでしょうか。初体験ですが物凄く気味が悪い感覚です。鮮明のようで、限りなく希薄な感覚。断言します。これは一種の怪奇です。

「――も、もういいんじゃないかな。だいぶ人気(ひとけ)ないし……」

 気づけば確かに、閑静とした木製の小屋に私は入っていた。

「……ふむ、そうですね」

 いつの間に私は、彼女をここまで引っ張ってきたのでしょう。というよりも、私はここまでの道のりを知らない。

 やれやれ、困りましたね。

「あ、あのっ」

「はい?」

 振り返ると何故か、彼女の顔が赤みをおびていた。これを『茹で上がったタコ』と表現するのでしょう。

「あ、あの、そろそろ……その。手を……」

「手……? おっと、これはすみませんでした」

 いつの間にか私は、彼女と恋人つなぎをして歩いていたようだ。まぁ、女の子同士ですし私は気にしませんが。しかし、だからと言って繋いでいる必要性もありませんので。

「そういえば自己紹介がまだでしたね。私の名前は、詩織といいます。あなたは?」

「私の名前は、東郷(とうごう)(いく)()。一年E組よ」

「……おやまぁ、後輩でしたか。同い年だと思っていました」

 晴れやかな笑みで平静を装う。だが、心は少しばかりのざわめきを感じている。


 ――“東郷”?


此れは、たまたまなのでしょうか。それとも彼女は、副会長と何か関係がある人物なのでしょうか。どちらでしょう。

「郁美さん。もしかして、お姉さんとかいたりしますか?」

「あー、いるよー? 万里お姉ちゃん。私とは違って頭いいし、尊敬されてるよ」

 ふむ、やはりそうでしたか。これは困りましたね。できれば接触したくありません。なにせ、この本に住んでいて尚且つ、同じ政府委員のまほさんですら素性を知らない人間です。どんな人かもわからない以上、外の人間である私が接近するのはリスクが大きい。

しかし、これは政府委員に近づく絶好の機会です。


――仕方ありませんか。


「――たしかに、相談によく乗ってくれると噂を聞きました。私のクラスの人間も実際に助けてもらったとかって」

「聖人だからね。お姉ちゃんは」

 そう語る郁美さんの目は私を見つめているようで、どこか遠いところを見ている。それは、黄昏た人間にありがちなのですが、郁美さんは、虐められることを『仕方がない』と、認めてしまっているのかもしれません。まぁ、そんなこと私には関係ないので深くは触れないでおきましょう。

「あの、お姉さんと会うことっ……」

「それは無理」

 即答。私の言葉を遮っての返事。之は面倒くさそうな理由がありそうですね。

「――そうですか。残念です」

「私とお姉ちゃんは、学校じゃあ面識がない赤の他人ってことにしてるの。これはお姉ちゃんとの約束だから。あと、お姉ちゃんの居場所は誰にも教えちゃいけない事になってるから。ごめんね」

 ふむ、そういう事ですか。つまり彼女は“卑弥呼”のようなことをしているということですね。安心しました。不本意なエンカウントはしないで済みそうですので、そっとしておきましょう。

「政府委員の人に用があるなら、五十嵐さんの知り合いなら私知ってるよ」

「…………ほう」

 なんという事でしょう。これは棚から牡丹餅よりも得をしましたね。今まさに、接触を図りたかった人物だ。その上、郁美さんとまほさんが友人というわけではなく、あくまで友人の友人。まほさんとコンタクトを取れるようにさえなれば、郁美さんと交流を続ける意味はない。つまり、捜査の成り行きで切り捨てることになっても、心が痛まない。

「――じゃあ、その人に会えるように取り合ってもらえませんか?」

 これで本格的に事件の解明をすることが出来そうです。


「――……で? なんのようですかぁ?」

 頬杖を突いて不機嫌極まりない表情で目の前に座っているのは、紛れもなく依頼人の五十嵐まほさん本人だ。しかし、まぁ、来店された時と比べて性格が違いますね。初対面には初々しいのかと思っていたのですが、そうでもないようです。

「私、これから用事あるんですよー。ていうか、いくみんはどっか行っちゃうし」

「……郁美さんには、二人だけにしてほしいと伝えていたので」

「あー、なるほど、あなた転校生か何かですかね? 言っときますけど、私相談聞くのヘタクソだし、話しするだけ損だと思いますよ?」

 ふむ、彼女が不機嫌なのは“そういう事”ですか。相談事で過去に何かトラブルでもあったのでしょう。だからこんなにも不機嫌な顔をしているのでしょう。確かに、ここまで嫌な顔をされると相談しようと考える人はいないと私でも思います。


――むしろ今すぐ頬をビンタしたいと思っているほどで……。

ふふっ、冗談です。

「まほさん、そういう事でしたら安心してください。私、相談事があって貴女に会いに来たわけではございませんので」

「………………んん? え、じゃあマジで何の用ですか?」

 相談事以外で、知らない人に呼ばれるという事態が余程珍しいのでしょう。今度は、若干の驚きが混ざった表情に変わった。

「私、心理学を学んでいまして。幾つかの質問に答えてほしいのです」

「……おー、それは面白そうですねぇ。受けて立ちましょう」

 『受けて立つ』とは、彼女は心理学を何だと思っているのでしょう。

正月休みにつき、次回投稿は未定です。満足のいくところまで書き溜めれた時点で投稿しようと思っています。読者の皆様も、よい年越しを迎えてください。それでは、またの投稿でお会いしましょう。ありがとうございました。

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