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詩織さんの微笑みは天使のように冷たい。  作者: 綾峰 はる人
LOST BLUE
20/32

私としましては、せきららです。

本日も投稿です。いよいよクライマックスです。

はは、これ何回言うんだ?www


とまぁ、こんな感じで20部突入です。

「……………………また、ですか」

 日付は昨日から、一日しか経っていない。時間は十五時、既に学校は始まっている時間です。しかし、私は全く違うところにいる。みたところ、誰かの家のようですが、かなり無機質な部屋ですね。あるのは机と椅子、カレンダー。それから一台のパソコン。他には何もない。

「……ここは、どこでしょうか」

 そう私が呟いた途端、部屋の扉が開き、一人の男性が入ってきた。

「時間遡行したか。君が俺の話に乗ってここまで来てくれたんだけれど、それまでの記憶はやはりないのかな。まぁ、そんなことより、謎の解明と行こうじゃないのさ。ね?」

 その男は、昨日の私に『興味が失せた』と言い残して去っていった男だった。

「……何を言っているのかさっぱり分かりませんが、まずお聞きしたいのは、私と話したということは、学校から抜け出してあなたの家まで来たということでしょうか」

「何を言っている。ここは学校だよ。ただ、誰かの部屋というのなら寿委員長の部屋だね。色々訳があって、入っていいのは俺と紗江、万里しか許されていない。まぁ、VIPルームってやつさ」

 なるほど、確かに政治委員は棟が一般生徒と隔離されていて、私も入ったことがありませんでした。その上、誰かの専用の部屋となれば尚更です。

「では次ですが、謎の解明とは?」

「まほさ。彼女は人為的にアブノーマル状態にされたと万里副委員長から手紙で聞かされていてね。それがどうにもおかしいのさ」

「おかしい?」

「本来、因子(ファクタ)は生まれ持っての力。その副作用であるアブノーマルもまた同じ。だから、アブノーマル状態というのは外部から刺激を受けてなるようなものではないのさ。言いたいことがわかるだろう? 君ならさ」

「……まほのファクタは、天性ではない。ということでしょうか」

「あー。惜しいなぁ。そうじゃないんだ。今俺が言ったのは、教科書の説明みたいなもの。俺達自身は本当にそうだったのか分からないのさ」

「まさか、全員の能力が何らかのきっかけでできた後天性だと?」

「ああ、そうさ。ただ、確かに幼いころから能力は使えていた。俺も、小学生のころから人が嘘を吐いたときに脳内にノイズが入る事に気づいた。けど、それより前は。どうかわからない。そりゃそうさ。子供にそれがおかしいと思う能力はないからさ」

 まぁ、そこは君には興味がないと言われたから、詳しく話すのは控えよう。

 そう言うと、彼は服の袖から林檎を出して胸からナイフを出し、皿へと添え始めた。半分を切り終えたところで残りの林檎を(くう)へ投げ、それに目掛けてナイフを飛ばす。リンゴは果汁を飛ばしながら壁に突き刺さる。

「今の君はどういう気分か知らないが、時間遡行する前の君は、『紗江さんになら全てをお話しします』と言っていた。彼女からの質問なら答えると。今もその気持ちがあるかな? それだけ確認出来たら嬉しいんだけどさ」

「貴方よりは、話す気になれますね」

「やれやれ、つれないね。俺が何かしたのかい? 俺だって本当は……――」

 おやおや、何故か語りだしてしまいました。これでは話が一向に進みませんね。どうしましょうか。

「――ちょっと、いいから出て行きなさいよ」

「おっと、しびれを切らしたプリンセスが来てしまった。じゃあ、俺はこの辺で失礼するよ。二人きりの時間を楽しむといいさ」

 眉間にしわを寄せた紗江さんを見るや否や、溝呂木さんは微笑しつつも困ったような表情でその場を立ち去った。それを紗江さんは横目で見送ると、短い溜息を吐いて椅子へ腰を掛ける。

「……単刀直入で悪いけど、詩織、貴女はまほの何を知っているの?」

「とても優しい方だと思っています」

「ごめん。そういうのじゃない。まほが今後どうなるのか。もっといったら、アブノーマル状態になることだって、貴女は知っていたんじゃないの?」

「まさか、私の能力は時間の進行を操作できるだけですよ」

 私は淡々と、はぐらかす。嘘をつく。でもこれが彼女たちには答えになる。そう思って。


 しかし、次の一言で私の全てが打ち砕かれた。


「嘘ね。……もう全部知ってるっていうかさ。ねぇ、詩織。征一の能力の効果をもう一度思い返して?」

「…………………………………………………………まさか」

 彼は、自分が受けた。もしくは受けそうになった能力を吸収して自分の能力として一時期的に使うことができる。それはすなわち。


 ――彼も、私と同じく物語の設定を覗き見た?


 いえ、そんなことあってはなりません。だってそうでしょう。自分たちが物語の中の存在なんて、知ってしまったらこの世界は世界ではなくなり、自我が保てなくなるでしょう。そうなれば、崩壊の道まっしぐらだと思います。

「信じたくないかもしれないけれど、そのまさか。あなたは時間が操れるといっていたけど、本当は人の未来を見ることができる力。違うかしら」

「……そうですね」

 少し惜しい。まぁ、当然ですね。物語の設定やら、簡単に漏洩(ろうえい)させてはいけない資料は簡単には見れないようになっている。きっと寿さんは、表面的な部分しか見れなかったのでしょう。

「やっぱりね。じゃあ、詩織はまほがアブノーマル状態になるって分かってたんじゃないの?」

「ええ。わかっていました」

 瞳孔の急速な開き、震える唇、力む指先。私への怒りと心の自制が紗江さんの全身から感じられた。しかし、嘘は吐けません。いえ、吐きたくないと思っている自分がいます。

「――私は、未来のまほさんにお願いをされているんです」

「……お願い? いったいどんな?」

「歌煉さんから貰うネックレスの消失。それを未然に防ぐ、又は人為的なものなら取り返す。と」

「ネックレスね。それには、アブノーマル状態にまほがならなきゃならない理由があったの?」

「私はこの件、人為的なものだと予想しています。そしてその犯人を炙り出すにはそれなりに運命に沿った生き方をしてもらわなければなりません。たしかに、ネックレスを守るだけならその場しのぎでも良いかもしれませんが、犯人が二度三度とネックレスを狙わないようにするためにも特定というのは重要なのです」

「…………なるほどね」

 紗江さんは、唇を噛みしめる。同じ政治委員だったまほへの心配と、私という友人への憎悪。恐らく彼女のことです。どちらも『嫌すぎて』堪らないのでしょう。数十秒、彼女は目を瞑って重く開いた口から言葉を吐き出した。

「――じゃあ、その犯人。わかってるの?」

「ええ。分かっています」

「そのネックレスを無くす日も?」

「はい。勿論です」

「じゃあ、どっちも教えてくれない?」

 なるほど、物語の崩壊は起こることはありませんでしたが、どうやら私の行動が派手過ぎた為か、周囲の私への信頼が薄れてきていたようです。『何もかも話さないと納得できない』と言いたいのでしょう。しかし、こればかりは話すことができません。

「…………申し訳ありませんが、それは――」

「別に、あんたのことを疑ってるわけでも、まほを助けなかったから嫌いになったわけでもない。私は、詩織……あんたの力になりたいのよ。それでまほも助けられるなら」

「……紗江さん」

 たった一か月。しかし、それは時として大きく人を動かす原動力になります。彼女はきっと、私の存在に少しの疑念を抱きつつも私に協力しようとしてくれている。


 ――ただ、犯人を彼女たちに教えてよいのでしょうか……。


 物語への影響は勿論ですが、犯人である『彼女』の名前を聞いて、紗江さんたちが混乱しないかも疑問に思うところです。もし、私が紗江さんの立場で、紗江さんのような性格をしていたとしたら耐えられません。

「その気持ちは分かりますが、お答えできません。ごめんなさい」

 隠すための嘘ではなく、彼女たちのことを思っての黙秘。自分でそうして置いてこう言うのもアレなのですが、私とは思えない優しさです。不思議と、この物語の人間達には少しだけ手を差し伸べてあげたくなる。

「――なるほどね」

 紗江さんは、顔の前で手を組み少し下を見る。三度ほどの貧乏ゆすり。その後に、ゆっくりと私のほうに顔を向けてきた。その表情は、先ほどとは違い、友人の密島紗江ではなく、政治委員の密島紗江として目の前に彼女は居た。

 これは、私も気を引き締めなくてはなりませんね。

「じゃあ、私と取引しない? 詩織」

「…………取引?」

「今から詩織に二つの質問を投げかける。その内のどちらかでも答えてくれたら私たち政治委員はあなたの采配に従う。逆に、どちらも答えたくないって不条理な黙秘を貫くなら私たちは私たちで勝手にやらせてもらう。どう? いたってシンプルなやり方じゃない?」

「ふむ。では、その質問の内容とは?」

「一つは、さっきも言った通り犯人の名前。二つ目は、まほがこれから先どうなるのか。好きなほうを答えて頂戴」

 ふむ。当然のことですが、あくまで彼女たちの目的はまほさんを助けることのようです。既に起こった過程ではなく、先の答えを見ようとしている。無駄もなく、実にスマートです。それに、先ほどまで溝呂木さんがいたということは、この話もきっとどこかの部屋で聞いているでしょう。彼の能力は人の嘘を察知するというもの。私は嘘を吐くことを許されていない。

「どちらを答えるか決める前に、確認だけしていいですか?」

どうでしょう。8万文字目指して急ピッチで書いてオリアス。あ、おります。

これからも応援ください。

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