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詩織さんの微笑みは天使のように冷たい。  作者: 綾峰 はる人
LOST BLUE
14/32

私としましては、同情の余地なしです。

今回も二週間の間が空いてしまいました。申し訳ないです。

ですが、詩織さんがこの物語にいるのもあと少し、皆さんは真犯人が誰だかわかりますか?(いや、もろばれだろW)

 だとするならば、私がハッキングするために使った能力も、彼女には聞いていないということになります。それはつまり、ハッキングの光景を見られているという事です。しかし、辻褄が合います。歌煉さんが万里さんを連れてきた理由も、まほさんが私が時を操れると聞いたという理由も。違和感がすべて、解決してしまう。


「――あの、これはいったいどこで……!」

 いない。先ほどまで目の前にいたムードメイカーと名乗る男は、既に私の目の前から消えていた。気配も感じられません。おそらく、呼びかけても応答はないでしょう。

「……おや? これは、手紙?」

 彼が座っていた椅子の上に、小さい置手紙がおかれていることに気づく。そっと拾い上げ、中身を見る。


『今回は、無償で情報を提供してやったが、これはまァ、初回サービスってやつだ。本来俺がやってるのはボランティアじゃねえ。ビジネスだ。次からは相応の価値を詩織にも要求する。じゃあな、グッドラック詩織』


 以上が、手紙の全文だった。次からは、ですか。しかしながら、こちらからコンタクトをとる手段は一切記載されていない。いいえ、たとえ記載されていたとしても、あの男は未だ信用できないので、私のほうからは連絡はとるということはしませんね。それに、この手慣れた感じ。きっと、不意に目の前に現れて情報を提供する。それが彼の商売スタイルなのでしょう。

「………………………………」

 それにしても、この資料。チートレベルな内容がかなり書いてあった。なにより、本当の黒幕さえも、わかってしまいました。不可解だった部分や、個人的に引っかかっていた部分。それが全て解決し、一つの答えに収束しています。




――さて、事件解決といたしましょう。








 ――チュン、チュンチュン……。

 これで、何度目かの朝。私は約一か月ほど、この物語で生活している。解決の糸口が見つかれば、下手に本と現実を行き来するよりか、物語の中に継続的に入って、物語の流れを観察するのがベストですからね。

「では、行ってきますね。クルミ」

 ペットであるクルミの飼育にも、慣れたものです。普段はペットなど興味ないのですが、こうして触れ合ってみると悪くありません。まぁ、だからと言って飼いたいとは思いませんが。

「……そんなことよりも、今日を入れて歌煉さんが入院するまで、あと二日ですか」

 私は、一か月前のあの日から、紗江さんとまほさん。それから歌煉さんと交流を深めていった。まほさんと歌煉さんは、依頼人とターゲットなので仲良くしなければならないのは必然的ですし、紗江さんは私が当時の段階で言葉を交わした人たちの中で一番人脈がある。私がうろうろと一人行動するよりも、噂話のように人から情報を集めるほうが、この広い学園ならば有効的です。つまりまぁ、宇田川たちの行動を少しでも集めるための戦略的交友です。

私としたことが、仕事に情を持ち込むところでした。まほさんを助けたいなど、思ってはいけない。なぜなら私はこの物語の住人ではありません。その私が、登場人物の運命を左右する行為は許されない。

 そういえば、この仕事を始めるときに、蒼井さんよりも更に上の支配人から『あまり深く関わりすぎるな』と言われた気がします。

 支配人は、いったいどんな人なのでしょう。知っているのは受話器越しから聞いた声のみです。

「……………………ふむ」

 あれから新しく分かったことは、A組は学業も特殊能力も高評価のエリートクラス。それからB、C、D、Eと順当に下がっていくのですが、Eは特殊能力比適合者で、もっとも優遇が低い生徒達。勉強面に関してはバラバラ、明らかに入学生徒の数合わせに過ぎないメンバー。この両極端だけ聞けば、『異能力優先』の世界なのだろうと容易に納得できるでしょう。


 ――しかし、ここからが有益でした。


 D組の人間もなんと、無能力ということに気が付きました。ですが、D組には虐めの被害者は少なく、あるといえば単純な人の好き嫌いで起きている悪口程度のものでした。異能力持ちの人たちから、明らかに目の敵にされているE組とは全く違います。

 ちなみに本来この物語は、D組の人間たちでストーリーが展開されているようで、メインキャラとしている人物は全員D組で姿を確認することができました。

 C組からは異能力を持っている人間たちなのですが、C組とB組は特に優劣はなく“もっとも平和な関係”といえるかもしれません。両クラスの違いといえば、Cは魔法のように物理的な超現象を起こす異能が集められ、Bは麻薬のように精神的な幻覚症状を起こす異能が多く見えた。これをそれぞれ、科学因子(サイエンスファクタ)誘惑因子(テンプテファクタ)と呼びます。


 ――では、A組の知識因子(ノウレッジファクタ)はどんなものかというと。


 能力の範囲が断定的で、目視による能力の把握はできない。直接相手の行動や思考、物事の出来事や現象を知ることができる。又はそれらすらも凌駕する超常現象を起こすことができる能力。また、直接的に殺傷する能力はなく、能力を使いこなし理解するには相当の頭脳と知識がいる。というような感じです。まぁ、普通じゃないといううことですね。


 それから、アブノーマル状態というものの正体ですが、科学、誘惑、知識、いずれかの因子を持っている人間は、副作用として特定の条件下により心身に異常をきたし、容姿から思考能力まで人のものではなくなることのようです。つまり、宇田川がまほさんにしたことは、そういうことです。

 まぁ、そんな二人のことは肝心ではなくて、私が気になったのは『副作用』による症状であるということです。そしてそれを止めることができるルティアさんがいるということも気になります。人の細胞や潜在能力は、一人一人違うと聞きます。病気は原因のウイルスを殺したり、抗生物質は相棒の働きを促進、増幅させるもので、体そのものを再生させるものは今の医療にもありません。つまり、何が言いたいかと言いますと、これらの異能力の全ては、生まれた人間に後から投与されたものではないかということです。


 ――え? 肝心な依頼のことは何もわかっていない?


 いいえ、きちんとこれらの情報も役に立っています。まず、組によって優劣があるということは勿論E組の生徒たちは優遇されているA組に良い印象はもってはいないでしょう。つまり、E組の宇田川がA組のまほさんに復讐をすると言えば協力的になる人間もいるでしょう。実際、E組生徒の内半ほどの男子生徒が宇田川に加担している様子でしたから。まぁそれに、私も自分がまさか最高クラスにいるとは思っていなかったので、A組の人間にしては頓珍漢な質問を何回かしてしまったような気がします。それがずっと続いていたら、これこそ物語からハッキングを感知されて追放されることでしょう。

 能力等のことも知っておいて損はありません。イヤリングを紛失する前に回収しなくてはならないのですが、その時に確定で目の前にいるのが『断罪』モードのルティアさん。万が一戦闘になったとき、私は戦うすべを持っていません。どうやって対処するかは、知識のあるなしで大きく違いますから。


 事件と直接関係なくとも、事件解決の一つの要素なのです。『海を綺麗にするなら、先ずは山から』ですよ。

今回もご愛読ありがとうございました。投稿頻度がこれ以上落ちることがないように精進します!

お詫びと言っては何ですが、「二週間も待ちきれないよ!」「こんなに一気に長文読めないよ!」って方のために、ストーリーを短縮化した【詩織さんの微笑みは天使のように冷たい ~モバイル版~】の投稿を始めました。そっちは、“ほぼ”毎日投稿しますのでチェクしてみてください。


それでは、またの投稿でお会いしましょう。おやすみなさい。



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