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詩織さんの微笑みは天使のように冷たい。  作者: 綾峰 はる人
LOST BLUE
12/32

私としましては、想定内です。

お久しぶりです皆さま、一週間も遅れてしまって申し訳ありません。

言い訳をすると、パソコンのデータもHDDのデータもすべて消し飛んでしまって、復元に一週間の時間を溶かしてしまいました。いけませんねー。バックアップとる癖をつけようと思いました。さすがに。

「――……あの、歌煉さんの病気ってなんですか?」

 私は、すこしだけ考えることを遠ざけた。少し、心が乱れてしまいましたので。今思考を巡らせても、無駄に終わるはずです。

 とりあえず、気分転換にまほさんの話を聞くことにした。

「会ってみただけじゃ、分かりませんよね。あれでも歌煉さんはずっと痛みに耐えているんです。何故か腹部に痛みが常に在って、眠気は常にあるのに眠れず、神経が少しずつ機能低下。医師が言うには、どんな検査やどんな薬を使っても、どの症状もよくならないって。おまけに、分かったことは、全部、なんらかの一つの病気の症状だっていうことで……」

「そうですか」

 これはまた、私の記憶にある歌煉さんを思い出しても、そのような雰囲気は全くありませんでした。

 というよりも、一見してみればバラバラのように思えるものが、すべて同じ病が原因とは不思議です。私からしてみれば、病というよりも何かの副作用のように思えますが。まぁ、所詮はとある物語の世界。どんなものも、作者の独断による決断ですべてが決まる。こういう病気があっても、何らおかしくありません。

「………詩織さん」

 まほさんが、私を呼ぶ。

「なんでしょうか?」

 その声に、私は応えた。しかし、世界が突如として霞む。まほさんの声も遠のいていった。




 

 -----------------------ウタ コエヲモタナイ アナタヘ--------------------


 此れは魔法、決して消えない魔法だ。喩え、私の全てが呪われても止めることはない。

みんなは私に言う、『生きてほしい』と。でも、それでは楽しくないじゃない。だって私はあの子で、あの子は私。そうじゃないと、私は溶けて消えてしまいそう。そう、あの時の真っ赤なリンゴのように。

 嗚呼。ポルカ、ポルカ、魔女のポルカで私と踊りましょう。そして□□を讃えましょう。





「………………」

 またです。妙な歌が脳に響いたと思ったら、私がいつの間にか知らない場所へと移動している。あの歌は、いったい何なのでしょう。そして一回目と同様、もうすでに、どのような歌だったのか思い出せません。

「どういう条件で強制的に場所を変えられているのかは分かりませんが、非常に迷惑ですね」

 とりあえず、今居る場所を確認しましょう。

「……ここは、どこかの家のようですね」

 ふかふかのベットに、少し大きめのテレビ。そして、赤色のレトロなデザインの冷蔵庫。

「おや? この子は」

 視界に入ったのは、大きめのゲージに入れられた一羽のウサギ。ここはどうやら、『私の家』のようです。

「割といいところに住んでいるんですね」

 間取りを見るに、1LDKほどの大きさはあると思いますが、この広さのある部屋を高校生で支払っているのは凄いことです。

「――おい詩織」

「…………………………」

 これは、どういう状況でしょうか。ウサギが、喋っています。

「お困りのようダナ?」

「……ウサギさんが何の用でしょうか」

「いけないナァ、詩織。コのウサギはクルミという名前が名づけられてイるというのに。調べが悪いことダな」

 可愛らしく歩き回るウサギから、あざ笑うような声が聞こえる。見た目の無表情さと声は、全くマッチしない。つまりこのウサギは本来、『喋れる動物』という設定ではないということです。

「クルミちゃんの中にいるあなたは、何の用でしょうか?」


「――お前に少し、助言をしに来た」

 今の声だけ、先程までの声よりもクリアに聞こえた。いえ、それだけではありません。私の視界右端に、何かいます。それはスーツを身に纏い、顔は長い髪で全て覆われている。なんとも不気味な出で立ちです。

「……不愉快ですね。何者ですか」

「そうだナ。……ムードメイカーとでも呼んでくれ」

「そういう質問ではありません。あなたは、この物語の人間ではないでしょう。それが何故、ここにいるのか。そして何故、私のことを知っているのか。そういう意味での『何者ですか』という質問です」

 彼の言葉には、明らかに私の正体を知っているかのような雰囲気があります。それも私が別の場所からこの物語に、潜入しているということさえも分かっているかのように。

「嗚呼、そうさ。俺はお前のことを何でも知ってる。俺は『全知全能』だからな」

「…………」

 ますます不愉快ですね。心を見透かされたのは、初めてです。

「おいおい。そんな厭そうな顔するなよ。俺はわざわざ、お前の“記憶”に関わる事を伝えにきてやったってのによォ」

 髪の隙間から見えたのは、不敵に口角を吊り上げ声のない笑みを浮かべる口元だった。いえ、今はそんなことどうでも良いです。

 なぜ彼は、私が記憶の一部を失っていることを知っているのか。

「答えてください。あなたは何者なんですか」

「今は悪いが答えられない。だが、いずれ俺の口から言わなくても知ることにナる。そして、その時が一番お前にとって理解しやすいタイミングになる。それまで、お預けってヤツだ」

 今説明しても、今の私にはピンとこない。ですが、この仕事を続けていればいずれ分かる、ですか。なるほど、私の性格まで熟知しているようで。私は、無駄な知識や、理解しがたいものには否定的です。合理的な内容であると分かっていたとしても、それを受け入れることはしないくらいに。

「――早速だが、もうお前なら分かっていると思うが、この物語は本編ト番外編で世界観が大きく違う」

「ええ、それは認知しています」

 とりあえず、この男の正体や、私との関係なんていう仕事には関係ないことは置いておきましょう。どうせ、気にしたって教えてくれそうにもありませんから。それよりも、私の知らない物語の情報を聞き出せるのなら好都合です。聞くだけ聞いてご退場してもらいましょう。  

「……今お前がいる物語は、恋愛と人間関係のリアリティを主体にストーリーを書いている。だが、本編である【奏明のアカツキ】は全く別物。人間を使った、生物兵器同士の戦争だ。つまり、バトル系のストーリーってことだナ」

「生物兵器……。生徒たちの特殊能力のことですか」

「嗚呼、そうだ」

やはり、そういう事でしたか。恋愛ストーリー全開で、登場人物も皆一般人という設定でした。だからこそ、私も一般人として紛れたというのに、潜入してみればこの様子。明らかに、リークした世界観と噛み合わないとは最初から思ってはいました。

「ここまではお前も既に知ってる退屈な話だ。けどなここからがおもしれぇトコロなんだよ」

今回もお付き合いいただきありがとうございました。たった三ページ分の更新になってしまいましたが

これからも定期的に更新していきますので、どうか最後までお付き合いいただけたらなぁと思います。


また、来週の金曜日にお会いしましょう。

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