恋
今想いを寄せるあの人への、
奥に微睡むこの愛は。
言い表せないくらいにも、煩わしく
蝉のように心に劈く。
何故か、高鳴る。
そのせいで他の思考は全て遮断されてしまい、
なにも手につかずにいた。
焦がれる。
きっと、この気持ちは、真面目に貴方には伝えないだろう。
気づいて欲しいというのも、無い訳ではない。
実際、感情の起伏が激しく、抑制出来ずに口元が緩む事の方が多い。
でも、それは、それだけであって、踏み込んではいない。そこで止まり、終わっている。
もし、真面目にあなたに伝えたとしたら。
言い表せないような、この感情を、全てぶつけてしまったとしたら。
そんなこと、怖くて考えたくもない。
それに、今までの自分の恋愛を振り返る。
一体自分は、どうであったか。
積極性もないから何も出来ず、あの頃のあの人がどこかへ行ってしまうのを只只、見送っただけであった。
そんな、後悔だらけな自分に、今更どうしろと。
そんなことを考えると、たわいないしょうもない話をしている今が1番、自分にとって幸せなんだ。
「おはよう。」
だとか、
「バイバイ」
だとか、しょうもない話を、只只話すだけでも、とても幸せで。
近くだからこそ、何も無い今だからこそ、確かに胸に残るあの笑顔が、嬉しそうな顔が、怒る顔が、悔しそうな顔が、特別に見えて美しいんだ。秘めているからこそ、ある価値観もあるんだ。
友達、という肩書きでもいい。
それ以上望むと、どうにかなってしまうから。
それでも、高鳴る鼓動をどうにかしたくて、口走ってしまうのが今までの私。どうしても、1番になりたくて。
結局のところは、その人が大好きなんだ。
長年一緒にいたわけでもなく、ついこの間に出会った。お互いを深く知り合っている関係でもない。
ただ、こう逢えたのも、話せるようになったのも何かの縁があるんだと、私は思う。
小さい時からずっと一緒にいる人に見せる顔
出会って間もないのに親しくしてくれる人に見せる顔
それぞれ違くて、私はきっと、まだまだ知らないあなたの顔の方が多いはずで、ずっと一緒に居た人に比べたら、あなたのことも、まだまだよく知らない。
私だけに見せるあなたの顔。あの人だけに見せるあなたの顔、きっとそれぞれ違うはずで、そう考えるととても嬉しい。
でも、きっと、いつか互いをも忘れてしまう時もあるんだろう。
何も無く、このまま進めば、あなたと私は、またゼロに戻るのでしょう。
その日まで、実は日も浅いのかもしれない。
何も無いまま終われば、何事も無かったように何処か遠くへ行ってしまい、そのまま何も無く終わっていく。出逢う前に戻るだけ。
きっと、そんな未来も、私たちにはあるのでしょう。
安らかな思い出、だけで終わってしまうという未来も、あるのでしょう。
でも、それはちょっと悲しい。
今日は蒸し暑かった。
でも、まだ蝉は鳴いていなく、完全な初夏であった。
そして、午後から雨の予報。
それはそれは、まるで自分の心情を表しているようだった。
少し考えてみたんだ。
こんな関係がこれからも続いたとしたら。
期待すればするだけ、全然満たされなくて、落ち込みが酷くて感傷的に入ってしまう。
それが、自分は嫌いだった。
気にしすぎてしまう自分や、哀れさ、醜さに。
だから、それならば、今、この瞬間から、リセットすれば良いのではないか、と。
出会う前に戻るだけ、って言った。
それでもいいのかもしれない。
それが、なんだか自分の為にもなるような気がして、後悔せずにすむ。
話した時に、こう言っていたら…スキンシップをはかったときに、あぁしていたら…君が待っていてくれたのに、先に行ってしまったこととか……全てにおいて後悔ばかりで、こんな思いを、苦しくなるほど辛い、こんな思いをするのならば、いっその事辞めてしまえればと。そう思うんだ。
そうは思っていても、君が私に笑顔を向けると、心臓は何故か高鳴ってしまい、思っていたことも一瞬にして崩れ去る。
目が合うと近づいてきてくれて、お話したり、たまにあるスキンシップだったり、そんなたわいもないことが、本当に幸せで。
他の子と話しているとちょっぴり悲しくなって、寝たフリをしていた。「どうせ自分なんて眼中ないですよー」なんて拗ねていると、背中ポンって「起きろ!」と声をかけてくれるのはやっぱ君で。
何が何なのか、さっぱりわからない。
君は、私が君を好きなことを知っているのかな。
ずるいよ……知っていてそんなことしているなんて。
突き放されて、近づいてきて。
もう、さっぱりわからない。
でも、君の事で、
悲しくなったり、
辛くなったり、
胸の真ん中らへんがズキズキと痛んだり、
恋焦がれたり、
大好きになったり、
ときめいたり、
泣きたくなったり……
いろんな感情が行き来するなんて、本当に驚きだ。
嫉妬深い私だから、きっとこれからも拗ね続けるんだろうな。
でも、それでも、近くに、少しでも傍に居てくれるのなら、すごく嬉しくて、幸せなんです。
でも、もう1つ、望むのならば
「君も私を好きになってくれればいいのにな」