表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/48

«11»

「深雪〜!久し振り、GWはどこか出掛けた?」

「桃歌ちゃん久しぶり!」


休み明けの教室でこれシンガポールのお土産、と紙袋を手渡されながら1週間ぶりに顔を合わせた桃歌は少し焼けたようで肌色がほんのり赤くなっていた。



「私は特にどこにも行かなかったよ、図書館の本面白かったし」

「え…貴方もしかして、家にも帰ってないの?」


「桃!深雪!おっはよーん!!」


桃歌が驚き困惑の表情を浮かべるのにぎこちなく返答をしようとしたところでガラッと教室の扉が開き結唯が教室に元気よく入ってきた。

結唯は園外から直接登校してきたようでスポーティーな私服姿にポニーテールにされた真っ赤な髪がとてもよく映えていた、流石西洋人のDNAは強い。


「おはよう結唯」

「おはよう、今日は空港からかしら?」

「うんそう〜!さっき着の便だったんだよね。休みはパパとピラミッド探検ツアー行ってきたよ」

「ピラミッドって探検するものなのか…」

「結唯のパパってちょっとミステリーなもの好きよね」

「面白かったよ?」

「なんか、雑誌のアトランティスとか好きそうだね」

「なにそれ?今度パパに送ってみる!」


ふと思いついて胡散臭いことで有名な、オカルト有名雑誌の名前を出してみたら予想以上に結唯が食いついていてまさかあの雑誌を知らない人間がいるとは。と、驚いてしまった。

桃歌も知らない様で首を竦めているのでお金持ちはそんな雑誌は読まないのかもしれない。


結唯もお土産を買ってきてくれたようで使用人から荷物が届くから後で部屋に届けるね、といいチャイムの音を聞いて慌てて三人席に着いた。




ちらりと教室を見回すと他にも私服で来ている子達が何人か居るのが見て取れた。そういう子達はきっと結唯と同じく直接登校してきた子なのだろう。

華房学園は基本制服だが状況に応じて自己判断での私服を認めている、自主的に考えて行動するというこの学園の校風を表した校則の一つだ。


ふと窓際のいつもは空席の席に久世くんの金髪の頭が突っ伏して寝ているのが目に入った。

珍しい…ホームルーム前から居るなんて。







「そういえば深雪さ、お父さん来てたんだって?」

「え!?」

「むぐっ…!」


結唯の突然の発言に昼食に舌鼓を打っていた私は喉を詰まらせかけ、桃歌は驚きの表情を浮かべている。


「うちの部の先輩達が休み中凄いイケメンの父兄が来てるの見たらしくて、一緒にいたのが一年生のネクタイつけてて黒髪の幸薄そうな子だったって言ってたから多分深雪かなって」

「深雪のお父さんてどんな人なの!?深雪家族の話全然してくれないから気になる!」

「うーーーーん、…無口な人」


一番最初に浮かんできた感想をそのままに答える。

その時、食堂の入口ががたりと大きな音を立てて開かれ久世先輩が慌てた様子でこちらへと向かってきている。





「久世先輩じゃん、何かあったのかなこっち来てるよ」

「穂波さんっ…食事中悪いんだけど今いいかな?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ