一学期最終日・・・・・・姉ちゃんとの視聴
「どうした。我が弟・・・・デートは楽しいだろ?ほら、もっと私を抱き着いてコーイほらギューーーーーーー!!!としろ」
「・・・・・・」
あれから強制的に姉とバイクデートをされており姉ちゃんは完全に彼女気分で俺を振り回していった。
「なんだなんだテンション低いぞ・・・・ああ、そうか、少しバイクを飛ばし過ぎて怖かったんだな?そうなら最初からいえ、全く前は昔からビクビクして可愛いなぁ。うんそこが一番大好きだ!!!」
姉ちゃんの顔はご満悦なのだが、俺にとってはこんな強制的なイベントはなんども体験しているのでもう慣れ過ぎて正直飽きた。こう何度も行ったことあるからワンパターン化されてるのだ。
俺はそれをただ無表情でただ、デートが終わるのを心待ちしていた。
そしてそう願い続けると、11時にはになんとか家につきそのデートの間で買った荷物を家まで運んだ。
「ただいま~~~~~我が弟、今日のデートは楽しかったなぁ!!!!」
「ああ・・・・」
「それにお前といたせいかいっぱい大量買いしてしまった。後はお姉ちゃんがやるから、先に風呂の湯を入れてくれ・・・」
ただでさえズボラで部屋がぐちゃぐちゃなのにこれ以上買ってどうするんだよと思いながらも姉ちゃんの言う通りにやることを済ませ、さっそうと風呂に入ることにした。風呂を終える頃にはもう日にちが変わる前の五分前になっていた。
もう、12時か・・・・普段なら起きていたけど明日から夏休みだから早めに寝るか・・・・
「待て待て、都お前今からどこに行くんだ?」
「どこって部屋にだけど・・・」
「何言ってんだ?まだデートは終わってないぞ!!!」
はい?
「いいから私の部屋に来い。お菓子もお前が好きなカルピスもあるから二人で楽しむぞ」
「おいちょっと!!!」
強制的に姉ちゃんの部屋に連れて行かれた。数日ぶりに入る姉ちゃんの部屋だが相変わらずベッドには脱ぎたての服やスナック菓子の袋やファッション誌で散乱して独特な匂いが経ちこんでいた。
その中で俺はベッド上の姉のブラジャーとかの下着が散らばってる所に座られ、その隣に姉ちゃんが俺の肩をくっつかせながらテレビをかけ、おぼんでのせたお菓子とジュースを膝の上に乗せそれを薦めた。
「ほれ、好きなのとれ」
「うん・・・・」
「なんだよ。さっきから、『うん・・・・・』とか『ああ・・・・』とかテンション低いぞ」
「そう言われてもな」
「突然なもんだから・・・・」
「もしかして、今日は何の日か忘れたのか?」
「え?今日ってなんかあったか?」
「え~~~~~~~~~~忘れたのか。うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん。ものすごくかなしいぞ~~~~~~~」
「俺の服をハンカチ代わりにするな。うぜぇぞ!!!てかウソ泣きするな」
なんとか姉をひっぺはがすことに成功し、見え透いたウソ泣きをやめると、ちょうどテレビ画面はCMを終え次に始まるドラマが始まった。
『深夜ドラマ うちの妹は突然スケバンに目覚めたんだけど・・・・・』
え・・・・・・これって姉ちゃんが出てるドラマじゃないか・・・・
「そうだぞ。ぐすん・・・・・前もって言ったのに忘れるなんて、どうしようもない奴だな。そこが大好きなんだけどな」
そう言えば今日涼浦がいつも以上に『Micuniさんが』なんやら騒がしかったけど、そうか・・・今日姉ちゃんが出てたドラマの放映日だったんだな。
すげぇどうでもいい日だったから忘れてしまった。
てか、いい加減にウソ泣きしながら服に鼻水つけるの止めろ・・・・
ちなみにこのラノベみたいなタイトルである『うちの妹は突然スケバンに目覚めたんだけど・・・・・』は先ほどスマホで調べたのだけどどうやら内容はざっくり言うと大人気漫画のク〇ーズの女版らしく、舞台は王蘭女子という、ヤンキーやギャルしかいない超問題女子高に新入生として入った、公方寧々が演じる主人公の兄思いのブラコンのヤンキー女子の時坂桜がその問題高の頂点を目指す話で、姉ちゃんがその女子高の現頂点の三年の鯨田つくねという役を演じており、設定だと、普段は仲間思いの頼れる姐御なのだが、一度キレると収集がつかない程の暴走し、力でどんな相手をも一撃でノックアウトするらしく、虎を素手で倒す程の化け物のようらしい・・・・・
ていうかなんだ?設定・・・・
いろいろ突っ込みが多すぎて収集がつかないぞ・・・
確かこれ・・・・出演キャストを見ると姉ちゃんや公方寧々以外だと若手のグラビアアイドルとかアイドルグループのメンバーが多いな。
よくこんなメンツでヤンキーものの番組を作ろうと考えたな。制作側にも問題あり過ぎだろ・・・
俺はその作品を姉と一緒に見るが・・・意外と面白いな。
顔だけのアイドルばっか出てるドラマは基本クソドラマな風習があるが、下手なサービスシーンとかはなくまるで少年漫画にありがちな友情、努力、勝利の三拍子揃ってる王道展開だな。主演の女の子もスタントマンは使っているが、相当のアクションだぞ。
『この、王蘭の番長を舐めんじゃねぇぞ!!!コラァァァァァァァァァァ!!!』
『ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ』
今姉ちゃんが、チンピラを複数を無双するシーンが映っているが、高校時代は数多のヤンキーを殲滅した体験があるから棒読みなしの迫真の演技で画面越しでも臨場感が伝わってくる。
その活躍を弟に見せた嬉しさもあってか一緒に見ている姉ちゃんも大はしゃぎだった。
「見ろよ。都!!!姉ちゃんのシーンものすごくカッコいいだろう?あれ、スタントなしでやっているぞ!!!」
「だと・・・・・思った・・・・」
演技とはいえ、姉ちゃんに叩き潰されるヤンキー役の人が可哀そうになってきたな。
てか、あの叫び声のシーンどう見ても演技じゃなくてガチの断末魔にしか聞こえないな。
『おい、どうしたかかって来いよ。それでも本職のヤクザかよ?』
『なめんな!!!食らえ!!!』
『フン!!!』
『な・・・・・なに・・・手刀で鉄パイプを折っただと・・・』
そりゃ姉ちゃんくらいだと、これぐらいは朝飯前だ。というか・・・・・今の姉ちゃんならガチで虎相手でも普通に倒しそうだな・・・・
そう思えてしまうからこの姉が怖い。
そして物語も佳境になり最後のシーンで主人公である時坂が姉ちゃん役の鯨田と屋上で決戦をするシーンに入り・・・・・・
『アンタが鯨田か・・・・そうかてめぇが王蘭のトップだな・・・・なら話は早い・・・・・・貰うぞ。てっぺん。お兄ちゃんの為に・・・・なんかいけそうな気がする・・・・』
『はっ取れるもんなら取ってみろ。そんな軽口で、頂点に経てると思うなぁぁぁぁ!!!!!』
一話完!!!!
二人がお互いに殴りかかろうとするところで終わり、次回の予告に入ったが・・・・・意外と次回が楽しみだな。
姉ちゃんもそうだが、主演の寧々もアニメ声優だけではなくこうしてドラマの役までも完全に演じてるとは思わなかったな・・・・・・
普通こういう普段の専門外な仕事をやると普通は演技がぎこちなくなったりオンドゥル語かましたりするのが普通なのに・・・・
アニメ声優だけではなくこういう俳優の仕事にも向いてると思ったな・・・・
そして予告も終わると急に姉ちゃんがいつものように抱き着いてくる。
「どうだ。我が弟!!!私の雄姿カッコよかっただろ。今ならお前に体をゆだねても文句言わないぞ・・・・・・・ほらキスしろ。ん~~~~~~~~」
「そんなの日常茶飯事積極的にやってるくせになにをゆだねろだ?いい加減に放せ。というか・・・・・そんな事をしても姉ちゃんと禁断な行為なんてしないからな!!!」
その迫りくるキスをしようとする顔を払いのけ俺は解放され、その拍子に姉の枕を投げ顔面に直撃し撃沈させた。
「いい加減にしろ!!!」
「ぐはっ・・・・・・さすがだ。相変わらずのコントロールだ」
「うるせぇ!!!用が済んだから俺はもう寝るぞ・・・・・・もし夜這いでもしたら本気で警察呼ぶぞ!!」
「ぐすん・・・・・・そんなに怒らなくていいのに・・・」
「ウソ泣きしても無駄だからな!!!!」
そう釘を強く差し部屋に戻るが、さすがにこのままだと後味が悪いな・・・・
「それと、初めてのドラマ撮影だけど、最初にしては、そこそこ良かったよ。これからもそのドラマ見るよ。ただし、今のように一緒には見ないからな・・・・」
「みやこ・・・・・・・・・・愛してるぞーーーーーーーーーーーー・・・・・・ぐはっ」
欲望丸出しで向かってくるのでとりあえず扉を閉めて、扉と激突させた。
姉のすさましい激突音が聞こえ、清々しい気持ちになったから~~~~~~さてと寝るか・・・・・・
明日からの夏休みどう過ごすか、楽しみになった来たぞ。




