修羅場になりましたね・・・・・・・
玄関からねーちゃんが帰ってくる音がし、俺の部屋に向かって足音が近づいていた。今俺の部屋には、胸元があいている九頭竜がいるんだけど・・・・これ大丈夫か?
「あ?お前の姉貴か?なら挨拶した方がいいか?」
「止めとけ、うちの姉ちゃんはちょっと過保護だから、お前のガラの悪そうな容姿を見たら嚙みついてややこしくなる。ここは静かにしよう」
「ガラが悪いのは余計だ」
俺はこっそりと九頭竜に言い聞かせながらこの場をやり過ごす。姉ちゃんの行動によると一回部屋に戻って着替えてシャワー浴びてから夕飯作るから、その間に九頭竜を帰せば面倒な事にはならないはずだ・・・・・・
「都、入るぞ~~~~~」
「いや、待てよ。今友達と部屋にいるから入るなよ」
「友達?どうせ樹とかだろ?でも、それにしちゃ随分靴が汚かったな・・・・」
「んだと!!」
おい、なに反応してんだ。黙ってろ。
「なんだ。今女の声がしたぞ!!!!もしかしてお前女連れて帰ったのか?」
「違う違う。これ、昨日録画したアニメだから・・・・・」
「そうか・・・・・なら、わたしは今からシャワーを浴びてくるぞ。か~~~~~~汗がうっとうしいな」
ほっ、なんとか姉ちゃんはこの場を後にしようとしていう。なんとかごまかしたな・・・・
「・・・・・・・・なんて、弟よ。甘えさせろ~~~~~」
「は?」
なんで、いったん止めた後にいきなり開けるんだよ。そういう古いコントはいらないんだよ。
ああ・・・・・ついにうちの姉とヤンキーで仮の彼女である九頭竜の決して混ぜてはいけない二人が相まみえたよ・・・・
「・・・・・・・・え?」
「おう、大河の姉ちゃん。邪魔するぜ」
目の前にいる見るからにアウトレイジな女がここにいるという予想外な展開で姉ちゃんはしばらく固まっており、しばらくするとうまく整理できたか、声を荒げ、九頭竜を強く押し払った。
「おい、都なんだそいつは!!!見るからにガラが悪いチンピラじゃねーか。お前うちの可愛い弟に何してんだ」
「ああ!!!!てめぇいきなり人を突き飛ばしてんだ。いてーーじゃねぇか!!!ゴラァ」
「おい、止めろって」
俺の部屋は案の定、クローズ化しており、二人は、お互いをガンを飛ばし睨んでいた。九頭竜だけならいざ知らずうちの姉が加えたらマジで大事になるぞ。
「そもそも我が弟がこんな奴を家に連れてきてるのが間違っている。お前脅されてるのか?」
「脅してねぇよ!!!つうか、なにオレの胸倉を掴んでんだよ。放せよ。オレはこいつの彼女なんだよ。テメェこそ突っかかってきチンピラだろうが!!!」
「彼女だぁ。お前生意気にそこら中にピアスジャラジャラしたガキが随分と粋がってんじゃねぇか・・・・・」
「あ!!!!誰がガキだ!!!」
「ちょっと待ってちょっと待って。ストップストップ、喧嘩止めろよ説明するから。まずは九頭竜こっちにこい」
「おう、」
「おい、先に姉に説明するんじゃないのかよ!!!」
「後でな・・・・・」
俺は完全にキレている姉をよそに、部屋の隅に九頭竜とこっそりと話す。
「おい、九頭竜お前何余計な事をしてるんだ」
「あ?だってそいつがいきなりオレにケンカ売ってくるのが悪いんだろ?」
「確かにねーちゃんも悪いけど、ちょっとは落ち着けよ。相手が悪いから喧嘩売るのは止めとけ!!!」
「どういうことだ?」
「うちの姉は・・・・・・こうみても喧嘩がくそ強いんだ。知ってるか、『上谷ヶ丘の白虎』って・・・・」
「知らねぇな」
「ヤンキーでも知らないのか」
「うるせぇよ。だから誰だよ。教えろよ」
とりあえず俺はうちの姉について軽く説明する。
うちの姉、大河美国は、うちの学校でのOBではモデルとは別の側面で有名で、普段はどこにでもいる普通の女子高生だが、人一倍短期で喧嘩早く、舐められると相手が上級生だろうと他校の生徒だろうと突っかかって来て、数人のガラの悪い男をぶっ飛ばせるほど喧嘩が強いのだ。
なぜ名称に白虎と呼ばれたのは分からないが所説だと苗字の大可がタイガとかけているのと、姉は、白という色彩が好きか、普段喧嘩するときは、白上着(冬服の場合は黒服を脱いで、白い上着で戦うため)または白い夏服で戦うからのそう呼ばれたという噂だ。
まぁ最初期は喧嘩が多かったが、あの厳格な親父と喧嘩と度にうるさく説教するから、二年の途中から段々と落ち着きを取り戻し、いつしか姉の黒歴史は闇の中に消えていったが、まさかこんなところで再来するとわな・・・・・・
「そうか・・・・・・」
「間違っても、『おめぇ強いのか?オラワクワクすっぞ』みたいな脳筋発想で姉に喧嘩売るなよ」
「誰がそんなことするかよ。オレも喧嘩するときは、向こうから喧嘩を売ってきたときだけだよ」
良かった。九頭竜がサイヤ人思考じゃなくって・・・・・次は姉の説得だ。
「姉ちゃん・・・・」
「やっとわたしのとこに来たか。、お前なんでこんなやつと付き合ってんだよ?お前のタイプはわたしだろうが!!!」
そんなこと一言も言ってませんが!!!
「もしかして昨日のデコの怪我もこいつにやられたのか?この野郎うちの愛する弟をいじめやがって!!!なにが彼女だ!!」
厳密に言うと彼女というより、お互いの秘密を守る同士なのだが、それを説明したらあいつに殴られるからそのことは控えよう。
「あれは、昨日転んだってあれ程言ったろ?九頭竜はその、俺と同じエロゲマニアなんだよ。最初は怖かったけど話すたびに、エロゲのジャンルが合いすぎていつの間にか魅かれ合ったんだよ。だから俺達相性があうと思って自分から告白したんだよ」
勿論ほとんど嘘だが、これは姉に通用するか・・・・
「本当か?にわかに信じられないな・・・・・・」
「俺の持論ではエロゲ好きには、悪い奴がいないんだよ。だからさっきまで俺の十八番の『ドキシス』をやってたんだよな?九頭竜?」
俺はそう言いながら、九頭竜をちょいちょいと呼んだ。
「なんだ?大河?」
「お前、俺と同じ、さだかちゃんが好きなんだよな?」
「は?なにい・・・・・」
反論する前に俺は九頭竜に再び耳打ちをする。
「頼むから姉をなだめてくれよ。お前だって無駄な喧嘩はしたくないだろ?」コソコソ
「分かったよ・・・・・・言えばいいんだろ?」コソコソ
「おい、何やってんだお前、わたしの前で弟とイチャイチャするな」
「ああ、すまん。オレもこいつと同じさだかの事が好きだから馬があうと思ったから付き合うことにしたんだ」
「でも、お前女だろ。もしかしてレズなのか・・・・・・」
「あ?」
「(抑えて抑えて)」
俺は耳元で、言い聞かせると、さっきまで喧嘩腰だった九頭竜は落ち着きを取り戻す。
「いいや、実はオレよ生まれつき一人っ子だったんだよ。だから妹がずっと欲しいと心からそう思ってたんだよ。そんな時大河が、エロゲで妹ものの奴を進んでくれると・・・・・正直嬉しかったんだ。こいつとなら一緒に生きていけるって」
お前、昨日、妹がエロゲ声優やってると嘘を言った癖にと心のうち突っ込みながらも、あいつは自分の嘘をつくのが苦手な短所を抑えるため顔を隠し照れてる声でフォローしてるお陰でなんとか姉にそれを疑おうとしなずバレずにすんだようだ。
「はっ甘いな・・・・・・そんなことで弟を渡すと思うのか・・・・」
「お・・・・・・・思ってるよ」
「たくっ、余計な事をさせやがって、サッサと帰れ!!!」
「姉ちゃん!!!」
「都黙れ。わたしはこいつと話してんだ」
俺がなにか言おうとした瞬間姉ちゃんに止められまったく何も言えなかった。
「分かった。邪魔したな」
九頭竜はそう言うと渋々俺が用意した袋で借りるエロゲを入れた後俺の部屋を出ようとする。
その時姉が後ろから九頭竜に向かって声をかける。
「お前達と付き合うことは許さんが、趣味を話し合える友人として認めてやる。都送ってやれ」
「姉ちゃん・・・・」
俺は姉ちゃんに頭を下げるとすぐに、九頭竜を見送る。
「すまんな。余計なことに巻き込んで」
「こっちも勝手に押し入ったのが悪いんだ。それとこれありがとうな。家でじっくりとやるわ」
「はは・・・・・勉強や声優の仕事を怠らないようにな・・・・」
「あ?オレを誰だと思ってんだお前?オレはお前の推しだろ?ファンが信用しなくてどうするんだよ?」
「ああ・・・・・九頭竜・・・・・また学校でな」
九頭竜は、その後何も語らなかったが背後から腕を上げ返事し静かに帰っていた。