待合室改造大作戦
待合室改造大作戦
開局から半年がたった。最初の四半期に某国に絡まれたせいで、次の四半期は収入が一気に下がった。
意図に気づいた人たちは支援してくれたものの、敬遠する人も多かったのだ。
ただ幸いにして、支援してくれた人の輪のお陰で3期目はまあ、なんとかなりそうだ。
って、ふっと気を抜いたためだろうか。番組収録の最中、足元のケーブルに躓いて派手にコケてしまった。
お尻がものすごく痛い。
急遽、社員に車に乗せてもらって総合病院へ。
いや、近所の小さい外科で良いと思ったのだが、社員曰く、
「あそこ、ヤブなんで。子供の頃、小指骨折してギブス巻いてもらったら、適当すぎたらしくって
別な病院でギブス巻き直してもらったぐらいなんですよ。で、その適当すぎた処置のせいで小指の骨が曲がってついてるんです。」
と、握りこぶしを作ってくれたのだが、小指が薬指の上に乗っかる形で握られていた。
・・・そりゃ怖い。
受付してもらって、待合室へ。
そこには50~60席ぐらいの椅子を全て埋め尽くした上で職員に出してもらったであろうパイプ椅子にも座れないぐらいの患者が居て、
皆んな暇そうにTVを見ていた。N○Kの園芸番組かなあれは。
そういやそうなんだよな。大体どこの病院でも、待合室にはTVがある。携帯やスマホの電源を切って、とある病院も多いので
見てくれる人は多いんだよな。見ている世代も、年寄りが多いがそれは半分ぐらいで、あとは子連れの奥さんが多い。
そこはTVの利点だよな。本人の意志に関係なく、一方的に音声と映像を垂れ流せる。他にやることなければそちらに意識が向くのは当然。
「おかあさん、○○れんじゃー見たい」「静かにして我慢なさい」「リモコン何処?チャンネル替える」「ダメだってば!」
ふと、思いついた。
これ、使えるなあ。総務省の人と相談してみようかしら?TV製作(番組制作じゃなく!)の会社とかとも交えて話できないかしらん?
あと、県立病院や市立病院とかも絡めて出来ないかしら?
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政府から景気対策を理由に、何でも手を付けていいってお墨付きをもらい、そこから一気にざざざっと。
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TV製作メーカーに頼んで、45インチ、4画面可能TVを試作してもらった。それを総合病院の天井から2枚ぶら下げる。
実はこのTVにはスピーカーがついていない。その脇にQRコードで「手持ちのスマホの回線を切った状態でTVのスピーカーに出来ます」と。
その下にさらに、「スマホのない方にはTV専用イヤホン貸出中。耳元のチャンネル回せばその番組の音声が聞こえます」
TVから、Bluetoothで音声データをスマホやイヤホンに飛ばしてもらっているのだ。
ちなみにこのイアホン、わざとレトロな手回しチャンネル切り替え器をつけてある。耳につけたまま、画面を見ながらでも回せるからだ。
待合室は静かになった。なにせこの県で流せる8局の全番組がTVに写っているのだ。
子供も「変身したあ」とか必殺技を叫んでるのが聞こえるが、他の番組を見ている人は自分の耳元のイアホンに集中していて気にしていない。
画面サイズも45インチを4分割しているとは言え、一つ一つのサイズは22.5インチ。
一昔前のTVサイズとあまり変わらないためか、意外と小さいとかの不満も出ない。
さて、実はTV自体もネットにつながっており、何人がどの番組を「聞いているか」のデータを収集している。
無差別にイアホン貸出しているので、年齢データとかの個人情報は無いが、同じ時間帯でどれが気を引いたかのデータの収集が出来るようになった。
あと、副産物ができたようだ。親の介護とか兄弟姉妹とか、同年齢や高齢で複数人数で来ている人が相手の見ている番組が気になるらしく、
そういう会話が増えているらしい。
中には、一人でイアホン2個借りて同時に聞いているとか。お前は聖徳太子か!




