2-3彼について。
「お腹ペコペコ?」
「まあ」
「私はさっき食べてしまったんだ。悪いね。」
「だから、何か軽くでいいですか?」
「お腹減った。」
「いや、まー、時間も時間だし、軽くね。」
「ね。」
何故か了承させられる。結局こうなるんだ!でもこれでもいい。確かに時間は21時半を回っているし、こんな時間から沢山食べる気はない。
しかし、何か釈である。こっちの選択権の問題だ!
たまには行きたい所を指定してみようかと思った。
「あー、何か行きたいところある?」
「軽く一杯しつつ、安いところ。」
はっきり言って何も知らない。この町でアルバイトをして一年になるが、家はここから電車で30分くらいかかる。アルバイトの後に遊ぶようなちょっと悪乗りできる友達もいなかった。完全に彼頼りなのだ。
「知らない。」
「じゃあ、あそこでいいかなー?」
「嫌。」
「え!?何で!?」
「まだ何処とも言ってないが。。。」
「嘘です。」
「任せます。」
「お、おう!」
そう言って彼について行く。
入ったのは定食が食べられるカフェだった。
今やカフェは至るところにある。100メートル歩けば一つは見えるのではないか?ってくらい一杯のカフェがある。そんな中、カフェにも多様化が進んでいて、その店は、食事が出来るという、そして、その食事はかなり女性を意識したもので、野菜が中心で、ちょっとの肉、魚を軽めの味付けしかしない、流行りのオーガニックチックの店だった。
「一杯飲むんじゃなかったの?」
「いやね。一度行ってみたかったんだよね。」
「何か、雰囲気がいいでしょ!」
「私は2回目だよ。」
「なんだって!!!」
「何故入る前に言わない!?」
「だってここで良かったもん。」
「ね。」
「「ね。」じゃない!」
「なんでだ!!」
メニューを此方の向きに合わせてくれる。
「何にするの?」
「おすすめは?」
「好きなの選ぶといいよ。」
「なんか冷たいじゃないか!?」
「経験者の助言が欲しいんだけど。」
「一回しか来てない。忘れた!」
「なんだって!!」
「そんな嘘は通じないぞ!!」
「嘘じゃないし。」
「はいはい。分かりました。」
右手上げる彼。
店員のお姉さんが直ぐにきた。