2-2彼について。
(やっぱりちょっと先の本屋にいるわ)
またラインだ。
(わかった)
彼はどうやら先にいたらしい。まあこちらはバイトなので仕方ない。待って貰っているし、急いで行きたいところだが、メイクやら髪型やらが気になってなかなか思うようには行かない。
(ちょっと時間掛かるから、本屋でゆっくりしてもらってていい?)
(大丈夫だ!)
そんなこんなで、仕度をしてやっとの思いで本屋に向かう。
(本屋出た)
またラインだ。
彼は待つのが嫌いだ。いつもどっかに行ってしまう。どうして待ってくれないのだろう?目的地を失った私は歩幅を緩めた。
(どこ行けばいい?)
(さあ?)
((さあ?)って何?)
(さあ?)
(もう本屋着くよ)
(本屋を正面にみて右手にあるコンビニを曲がった先にゲームセンターがある。そこにいる。)
(わかった)
内心不安でしょうがない。いつもいつも彼は私の言うことを聞いてくれているのかくれていないのか分からない。こうして会いに来てくれるのだから、多分私に会いたくてそうしてくれているのだと思っているけど、本当のところどこか違う、何かあるんじゃないかと、そんな風に思ってしまう私がいる。
「ふー。」
大きく深呼吸して彼を探す。
直ぐに見つかった。私はこういうの得意な方だ。何となくどこにいるのか分かる気がする。
「おう!来たな。」
「おう。来てやった。」
「なんだ。今日は強気か!?」
「そんなんじゃないけど。。。」
「やる?」
コインをゲームを指差し聞いてくる。
「いい。」
「じゃあちょっと待って。今30枚もベットしてる。」
このゲームは真ん中に穴が空いてあり、全部で9つのボールがそれぞれの穴に一つづつ入る。その穴には番号が振ってあってその番号が自分の選んだボードにあったら、当たりになる。というゲームだった。
「なんかそのゲームこの前のビンゴと同じじゃない?」
「お!そういえばそうだな。」
「なかなか鋭い!!」
「で、どうなの?当たってるの?」
「全然だ。」
「またそんなんでお金使ってるの?貧乏の癖に。」
「おっしゃる通りですな!」
「もう!!」
隣に座る私。ちょっとずれる彼。
「どれだと思う?」
「知らないよ。」
「選んでよ!」
「じゃあこれ!!」
「それは駄目だ!!」
「なんでだ!!!」
「なんでもだ!」
「じゃあ自分で選べ!!!」
「いや!今日はついてない。君を待っていた!」
「もう知らないもん。」
「あーそうですか。じゃあこれにしよ!」
ボールば彼を嘲笑うかのように避けて行った。
「まあ、こんなもんだよな。」
「飯行くか!?」
頷く私。