1-2彼について。
ピンポーン!
彼がベルを鳴らした。
直ぐに注文を取りに店員のお姉さんが現れる。
「なに飲む?」
「え!?」
メニューを開いて聞いてくる。すぐに見易いようにメニューを此方の向きに直してくれる彼。
「えーっと!?」
「じゃあこのザクロサワー」
「ザクロサワー!」何故か復唱される。
「何よ!!」
「自分は生で、あと、豆腐サラダと、ハートのタレとつくねのポン酢乗せと、ホッケとサーモンとアボガドのカルパッチョ」
「後何かある?」
「いえ」店員のお姉さんに笑顔を向ける私。
「以上です」
店員のお姉さんはちょっと笑いながらその場を後にした。
暫く沈黙が続く。携帯をいじり始める彼。
口火を切る私。
「ビンゴゲームは!?」
「するの!?しないの!?」
「あーごめん」
「するするー」
「何かドリンク賭けるんじゃなかったっけ!?」
「それが何か?」
「「何か?」じゃないでしょう!?」
「何かいきなり注文するし。」
「それが何か?」
「もういい!!」
「……」
「だってさ、居酒屋きたら、まずドリンク頼まないと可笑しいでしょ!」
「そりゃそうだけど」
「ビンゴゲームはどうするの?」
「え!やるよ。」
「勝って好きなの選ぼうと思ってたのに」
「まーそれもそうだな。じゃあ2杯目からってことで。」
「…わかった。」
「あ!そうだ!!1個空いたら一口飲めるってどうよ。今喉カラカラだけど。」
「嫌!!」
「じゃあOKね!」
「なんでだよ!!!」
そんなこんなでスマホのボタンが押された。