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3-7彼について。
バスが来るまで15分程度。待合室でまつ2人。他には誰もいない。
「おーい!何飲む?」
「なんでもいい。」
「悪い!お茶しかない!!」
「…」
「ほい!」
紙コップに入ったお茶が2つ。
「暖まるねー。」
「…」
「聞いてる?」
「…そうだね。」
暫くお茶をすする2人。
「ごめんなさい。」
「?」
「悪かったって!ごめんなさい。」
「…」
「折角のお休みだったのに、墓参りじゃあ楽しくないよね。」
「そうじゃないよ」
「…折角おしゃれしてきて貰ったのに、誰にも見てもらえないね。こんなところじゃ。」
顔が熱くなる。
彼が何も言わなかったのも悪い。
でも、現時点で目一杯おしゃれしてる自分は
明らかに場違いだった。
それが、恥ずかしくて仕方なかった。
一人で舞い上がって、馬鹿みたいだ。
「そんな顔しないでよ」
下を向いている私の耳に
バスの到着を告げるエンジン音が届いた。