2-5彼について。
店を後にして、とぼとぼ歩く二人。
「大丈夫?」
「何が?」
「お腹減ってたんだろ?」
「そうだけど、大丈夫。」
「でもパフェしか食べてない。」
「あー、あれか、もしかしてあれですか?」
「何よ!」
「いや、いいんだ!変な想像して悪かった」
「絶対許さない!!」
「何でさ!?変な想像が悪い想像とは限らない」
「いいえ。悪いに決まっています。」
「悪いと思うならご勝手に。」
「いいもん!!勝手にするもん。」
彼は私を不機嫌にする天才だ。彼の何気無い一言によく傷つくことがあった。彼は思ったことをポンポン言うタイプだった。
「で、何を想像したの?」
「何だよ!勝手にするんだろ!」
「どうせ私の体型のことを言っているんでしょ!」
「そう思うならそう思っておけばいい。」
「何よ!!またそう言ってちゃんと言ってくれないだ!!」
「何だよ!ちゃんと言ったらどうなる?どっちにしたって怒るんだろ!!」
「違う!貴方が私を怒らせるの!!」
「そんなつもりは一切ない。」
「でもそうなの!!」
「もうちょっと相手に気づかいをした方がいいんじゃない?」
「気づかいねー。それってそんなに大事?」
「とっても大事なことだよ!」
「へー、よくそんなに断定できるな!」
「じゃあ、何か具体的なエピソードをどうぞ!!」
「え!?何でよ!?」
「そんなの直ぐに思い付かない!」
「でも大事なんだろ!何かそう思うことがあったってことだろ!」
「今はちょっと無理なので、今度にしてもらえますか?」
「えー、まーしゃーない!」
「で、今どこ向かってるの?」
「え!?そっちがどっか向かってたんじゃないの?」
「え!?完全に適当だった。何も考えてないぞ!」
「今何時だ!?」
「えーっと。」
スマホで時間を見る私。
「どれどれ?」
彼が覗き込んでくる。
「10時半かー。」
「もうそんな時間か。」
「仕方ない。そろそろ帰ろう!」
「わかった。」
いつもの電車に向かう二人がいた。