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1話 勇者、聖剣を手にする。

トゥルーネン王国、王都のはずれ。ちょっとした広場になっているその場所の中央に、俺は居て。そして、そんな俺を取り囲むように、十数名の王宮騎士たちと、山ほどの人の群れ。

大勢の人の、どよめきが聞こえる。ざわざわと騒ぎ立て、あることないこと口にする。


ーーーああ、かしましい。


呆然と立っているのに、何一つ理解してはいないのに、自分の中でひどく冷静な部分がそう呟く。


「お、おい、どうするんだよ、それ。」


隣にいる友人が、困ったように言った。

それ。ああ、この剣のことか。さびて、使い物にならなそうな、ぼろい剣。昔はさぞ綺麗だっただろう、聖剣って呼ばれてる剣。

まて、聖剣?せいけん、だって?


「うわああああっ、な、なんで!?」


選ばれた人間にしか、使うことのできない剣。何で俺なんかが!


「……特に意味はないな。単なる気まぐれだ。」


「え?嘘だろ、しゃべった?」


しかも気まぐれか。迷惑な。


「お前は面倒が少なそうだしな。」


仮にも聖剣じゃないのか。んな適当で平気なのか?


「まあ、問題ないだろう。これまでもそうしてきたからな。」


だから使い手を選ぶ、なんて言われてるのか。

……あれ、俺考えてたこと口に出してたか?


「いや、お前の思考を読んだだけだ。俺の体に触れている者の思考なら読むことができる。」


な、考えてることは全部筒抜けってことか!おい、今すぐやめろ!!


「かまわん。お前の性格は大体わかったからな。」


ふう。よかった、さすがに自分の考えてることが誰かに伝わるのなんていやだからな。

……しまった!!こいつのことが衝撃的過ぎてまわりをみていなかった!!

やっべえ、ここめちゃくちゃ人多いのに!


「お前の思考は面白いな。読んでいて楽しい。」


な、こいつまだやってたのか!!やめるっつってたのに!!つか笑うな!!


「俺は気まぐれなんだよ。ああそうだ、よろしくな、勇者様?」


「なっ………」


馬鹿にしたような口調で言う。

そうだ。すっかり忘れていたが、これはもともと勇者を探すために、聖剣を使えるか試しているのだ。

俺も一応、王都に住む男として、これに参加させられた。

正直、仕事できないわこんなことになるわで、迷惑極まりないのだが。

……そういや、魔王が復活して攻めてきたんだっけ。まあどうでもいいことだが。


「お前、名は?ちなみに魔王は元からいたぞ、単に攻めてきただけだ。」


偉そうな言い方だな。お前も名乗れよ。あと、魔王については噂で聞いた程度なんだよ、突っ込まないでくれ!


「アーノルド・エルシヴァ。はぁ、なんでこんなことに……。」


「お前、だいぶ名前負けしてるな。俺はジーン。ジーン・タウゼントだ。」


余計なお世話だ。つか、意外と普通の名前だな。平凡と言うかなんと言うか。


「わりと失礼な奴だな。俺以外の奴はそれっぽい名前だぞ?ヴァルジールとか。」


それっぽいって……。つかこいつの他にも聖剣があるのかよ……。いや、居る、か?一応、人格あるっぽいし。あと失礼なのはお前だ。


「あー。どうしよう?」


とりあえず隣に居る友人に話しかけてみる。


「え、あ……。えと、ゆ、勇者様、わ、私などに話しかけられるなど……。」


「おい、何を言ってんだ、お前俺の友達だっつってたろ。なんなの?」


何、もうお前なんかとは友達じゃないって?やめて、俺は繊細なんだ、傷つくよ……。


「わ、私のような下賎の者が勇者様のご友人であるなどと、お(たわむ)れを……。」


あ、よかった、愛想つかされたわけじゃないんだ。


「何、偉い人は下々の者と友達になっちゃだめなの?じゃ、王様はぼっちなの?」


「いや、なんでそうなるんだ、社交辞令だよ、本気にすんな!」


うん、正気に戻ったようだ。あとあいかわらず、ほれぼれするほどいいつっこみだな。

さすが俺の友達だ。


「なんで漫才やってんだお前らは……。おいアーノルド、俺の本来の使い手はお前じゃない。覚えとけよ?ま、本来の、俺にふさわしい使い手はいまだに見つかってないんだけどな。」


「違うなら巻き込むなよ、迷惑だろ……。」


ふさわしい使い手って……歴代の勇者はどうした。使い手じゃないのか。


「アーノルド、諦めろ。お前は基本面倒ごとに巻き込まれやすいんだ。そういう体質なんだよ。」


「イアンお前、(なぐさ)めてんの、けなしてんの、どっちなの!?」


俺の友人は思いっきり茶々入れてきた。イアン、イアン・スティールよ。お前はそれでいいの!?


「慰め2割、けなし5割、面白がってんの3割。」


「最後のたちわりぃな!!」


俺は面白がられてたのか!!まったく、姉といい、こいつといい、なぜ人をからかうのが好きなのか。ああ、ジーンもだな。何で俺の周りにばかり……。


「勇者様!!!どうぞこちらへ。陛下がお会いになられると仰せです。」


いつのまにか近くに来ていた王宮騎士が言った。……なんか、ふるえてない?緊張してるのかな?

あっそうだ、忘れてた。謁見があるんだね。そして魔王を倒しにいくんだね!ふざけんなー!!!!



読んで下さってありがとうございます。

まだまだ未熟ですが、頑張ります!

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