『ようこそ我が美しきドマーニ国へ』――その3――
大変お待たせしました。
更に続くプロローグ編になります今回は。
空間を越えて今回初登場になりますこの物語のメインヒロインシルビアと。 主人公康介との今現在を描いて行きます。
そんな訳で。
『剣と魔法と光線銃って!?』
始まり始まりっ!
人と人の運命の糸を手繰り寄せるのは必然的な目に見えない法則が働き掛けるからなのであろうか。
この同じ時を刻む二人の人物。導き合うように二つの道しるべが重なり合う。運命のいたずらにも似たような、これからお互い出会う事になる未来を未だ知らないのである――。
△▼
サラサラと揺れる程よく伸びた草花が遥か彼方まで続く…。 その草原にポツリと一人の人物が佇む。
気持ち良く吹き抜ける微風に淡い色彩のマントが流れるようになびき、未だ幼さが残る綺麗な顔立ちの少女は小さな口を開き唄う。
「――風の使いメルゥーラよ――」…その声が微風に乗り…。 そしてその彼方に見える幾つもの連なる山脈に溶け込むかの如く…。
「――我が示す導き手となりて――…」 少女は詩を刻みながら切っ掛けになる綴りを繋げて行く。
元々存在するこの星を構築する力。その力に語りかけ、 そしてそっとその膨大過ぎる力のほんの一部分だけを貰い。魔術を発動させる。
騒めく草原の彼方から一瞬だけ突風が吹き抜け少女の身体を射ぬいた瞬間少女は何かしらを覚ったように優しく微笑む。
そして――「ありがとう――」と。最後の言葉を綴り。何かしらの儀式魔術は終了した。
突き抜ける青空に溶け込むかのような青く染まる程よく伸びた銀髪が何処からともなく流れる風にフワリと泳がす…。 背後からガチャンと賑やかに近づく音源に気付き、 風に流される衣装を気にしながらゆっくりと振り向く。
「――ダン。」
「シルビアっ。 まったくおまえは目を離すと直ぐ何処か行ってしまうんだから」
ズシリと重そうな装備に背中に引っ掛け式の長い槍が目立つ兵士が肩を激しく上下させながら知り合いである彼女を心配げに見つめるのであるが。
先程まで走って彼女の後を追いかけて来たのか、額に大量の汗を滲ませ怒らせた肩を思い切り凄まし。 肺にある空気を一気に吐き出し安堵する。
「ったくシルビアは。ほんとに一人で又先走って。 この地はドマーニの領土だから安全だと思うけどさぁ〜。東のダーダリアス帝国からの魔物使いが何処に潜んでいるか。」
「そう言うあんたこそシルビアを追って先走るから。下手して魔物にでも囲まれちまったらどうすんだよ。それに今から俺達が向かう西の街スコンも本当に安全かどうか。」
肩を上下しながら未だ息が荒いダンと呼ばれる青年。その青年に遅れて駆け寄るモダンな衣服に身を包む青年と。
お互いに何かしらの目的で行動しているのか。
旅先で知り合ったこの数人のメンバーは一人の魔術師の少女と共に同じ目的地である西の街スコンに向かう。
「ところでシルビア。さっきは何をしていたんだ?」
「はい。 風に乗り今現在我々が居る場所と。そこからスコンまでの距離と一関係を聞いておりました。」
「――そうか」
ダンは何げに懐から取り出した丸められた一枚の紙切れを取り出し目の前に広げ確認をする。
「なあシルビア。今俺達が居るのは多分ここ…。 この地点だと思う。」
先程丸めた地図を両手で広げ覗きながら彼女に詳しい位置関係を聞き込み。
シルビアはその広げられた地図を特徴のある独特の色彩の銀髪を器用にたくしあげ覗き込みながらゆっくりとした口調で説明し始めるのである。
▼△
遥か無限にも感じる漆黒の空間――その空間全体をまばゆく高出力ガス雲の塊が約10000度の高熱と強烈な光で周りを取り囲む星々を照らす。
その高密度に収縮されたガス雲――いわば太陽型と言われる星の中心付近では自然界での半永久的に核融合現象が起こっているからなのである。
オリオン座のシリウス星系から約数百光年の先にある太陽型惑星を取り囲むα星系――その第六惑星をバックに全長約160メートル級の艦影が浮かぶ。
その艦影の両舷の銀色に輝く装甲越しにダライバル惑星間国家連合のシンボルになる。 天使と剣でのマーキングが漆黒の闇から現れる。
ダライバル宇宙軍第660艦隊所属のフリゲート艦数隻が艦尾付近の三角に並ぶ巨大なスラスターから半核融合独自の青白い光りを輝かせながらゆっくりと航行するのである。
そのフリゲートに護衛されつつ第六惑星の衛生軌道上に全長約数百キロメートルにもなるコロニーが浮かびその宇宙港ブロックに先程前に入港したばかりの惑星間航行型巡洋艦2隻が曳航されている。
その左舷甲板から数機づつ編隊を組ながら一瞬で通過する機影が漆黒の空間にノズルから迸る青白い光りを走らせる。
「なぁっ! アイツ奴…。 味方艦艇の側面通過は違反行為だっつの。ったく今回の任務は母艦の護衛をかねての周辺空域の偵察だからいい物を。」
『おいおい何をぼやいてるんだ?赤城。 こちとら後ろがつっかえてるんだ、そうもたもたしてっから彼女が出来ないチェリーボーイっつーんだよ。』
「ってコラッ! 篠崎っ、 だぁ〜れぇ〜がチェリーだよ! それはあんただろうが」
索敵飛行中のコクピット内中央に位置するコンソール越しには。康介の悪友でもあるちょいとむさい青年の顔が目一杯映り込む。
先程前に自分達が搭乗する機体を丁度スレスレをガッと青白い光跡を残し左右七時と四時方から軽やかにバレル機動で通過する。
先行発艦をしたソードフィシュに搭乗するパイロットからの『トロトロ飛行してんじゃねぇ!』やら『飛行航路を塞ぐな!』やら味方機に文句を垂れ流されるのは見え見えだ。その機体のスラスター光目掛け逆上し、スロットルを倒そうと表情をする康介。
「んなろぅ!俺達テストパイロットを舐めてんじゃねえっての、速度勝負なら俺様のスピットファイアだって”伊達ねぇって事を」
ゴッと気持ちの良いツインターボジェットから来るスキール音を奏で、まるで流星のように視界に映る星々が流れ。ありあまる機体性能を生かし前方を通過した味方機のスラスターノズルにピタリと着く。
『おいてめぇ!…Da104と速度勝負に挑んで来るとはな、新入り。なら俺を振り切れたら一人前と認めてやろうか?サボり康介』
「けっ!の、望むと?」
『ゴルァ!バカパイロット共は索敵圏内からの命令は聞こえなかったのか!!勝手な行動は当然軍旗違反として!』
「「のわぁっ!?」」
その康介を在らぬ方向の勝負事に持ち込むパイロット共々突如回線に黒縁メガネを光らせながらヒステリー顔が飛び込む形で両成敗となる。
無駄な挑発やらで熱くなりがちな康介。当然オペレーター及び彼の責任者にもなるカナンにどやされ凹む様子にやれやれと冷や汗をかく篠崎浩司。
『はぁ、だから言ったろ?あんま好き放題すっから”ロリ”に気付かれるんだって、つーかならいっそのことロリと』
「んなヒステリックロリメガネになんでこの俺が。それになぁ篠崎。あのロリには白馬の王子様がさ」
『コラ!』
「「ろっ!?り?」」
その意味有りげな会話を始めようとする矢先に突然割って入る回線に二人は慌てるように沈黙するのだが。
『まったく! アンタ等パイロットは…バカばっかなんだから。 言っときますけどアンタ等の回線。全部オペレーターにだだ漏れなんですからねっ!』
「うっげぇ…。"ロリータ""少尉っ(汗)さりげなく盗み聞きかよ。」
『んだなまったく。 そんなあなたをおいらは――?』
『はいそこまでっ! 篠崎総長ともあろうお方が何を鼻の下伸ばしたアホ面下げて言ってるんかな?』
『それにっ!赤城君? さっきはよくも聞き捨てならない一事を言ってくれたわよねぇ〜…。
』
「――うっげぇ…。」
『げじゃないっ!いい?私はぁ〜!こう見えてもあなたの上官っ。カナン・"ルラリータ"だよっ!――任務が終了したら至急ブリッジまで来るようにっ! たぁ〜っぷりとその人を舐めくさった言いぐさをこのカナン様直々に――って!?恵美っ!?ちょ……』
「ううわ(汗)…。」
康介にかなり痛い一言を告げられ大きな眼鏡を光らせつつまるで林檎のように顔を赤らめ説教の準備を始めるカナン。
そのプンスカ顔を膨らます彼女になにやら横やりが入った所で突如通信が切れる。
『おまえ…。 又々あのカナンちゃん"誘惑"しちまって。 良くわかんねぇぇその思わせ振り天然に俺もあやかりたいぜ。』
「おい。なにそれ(汗)…というかその天然っつーのいちいち言われてもな」
そんな康介の困り果てた様子にますますご機嫌になる悪友である浩司なのだが。
「えへん!だったら説明しよう。」と鼻を鳴らし始めた矢先。 突如通信に割り込むような型で再び現れたカナンによって会話はストップ。
「――あ…。あのぉ〜」
『コホン! とっ…とりあえずあなた方はスピットファイア少隊は索敵中のホーカー小隊の邪魔はしない! 今現在先程警戒に当たった偵察部隊に任せ。速やかに持ち場に戻って勝手な飛行禁止空域に侵入しない事。わかった?
』
「――へっ?」
『へじゃないっ! んとにもぅ〜…。だから持ち場に戻れっつーの!分かった?』
なにやらあわただしくなるブリッジ内の様子と突然の中止命令に渋々と肩を落とす康介達なのであった。
△▼
一方シャルンホルストブリッジ内では。 ダライバル上層部からの特別な極秘任務により艦長筆頭に沈黙を促すのである。
上層部から我が艦に届いた極秘電文とは…。
この空域から数光年先にある星系で次々に商船や。数々の船舶が突然消息を断ち、 その宙域に潜んでいると推定されるテロリスト。及び海賊を撃滅する為。姉妹艦が修理完了と同時に調査に向かうとの事なのである。
そして…。 その海賊討伐の任務につくシャルンホルストも又同じく消息を断つ事態に陥る事も誰も知るよしが無いのである。
更に無理矢理だが
次回へ続く。
さてさて
未だお互い別星系での主人公とヒロイン。
一体何時になればこの二人は運命的な出会いをするのやら。
次回。
いよいよこの物語の新たな展開が明らかに…。
というか二人の世界が繋がるのは後少しだと思うのですがね。
てな訳でっ。
次回もお楽しみにっ!




