『ようこそ我が美しきドマーニ国へ』――その2――
未だに続くプロローグ編ですが
前回に続く今回も
とある作戦の為に主人公が乗る惑星間航行巡洋艦シャルンホルスト内でのブリッジ要員のメンバーと…。 以外な作戦の真実が明らかに?
そんな訳で
『剣と魔法と光線銃って!?』
始まり始まりっ!
『総員に告ぐ。 全艦亜光速アウトの後直ちに第一種警戒体制の準備をして下さい――繰り返す――総員に告ぐ――』
デッキ内に響き渡る警戒態勢での放送がけたたましく繰り返され鳴り響く中。 「ほらほらおまえも軍人なんだからしゃきっとするっ! そんじゃ後でねっ」
その一言を告げると同時にとんっ――とラスラは康介の身体を軽く突き飛ばす。
「っておい」
先程ラスラに押された力が働き無重力の虚空を同じ力量で飛ばされる。 それを腰に力を込め器用に半回転する。
慣性法則で流されるまま密閉式ハッチ付近に設置された手摺りを軽く握り、飛び越える形で更に半回転ひねり、視線の先で既に小さくなるラスラに告げようとするが。
「まったくあいつめ……」
彼が見下ろす遥か下方から目線に築き、可愛らしく笑顔を帰す彼女の姿を辞任しながら渋々苦笑する康介。
そんな中、とめどなく繰り返される艦内放送を皮切りに、総勢数十機の護衛機が次々にカタパルトブロックに押し出される様子が見える。
何時もの訓練での見慣れた景色とは全く違うピリピリと緊迫するような。今現在康介が居る格納庫内の空気がまるで180度一変する。
各自決められた持ち場に迅速に行動する様が、混じれもなくこの艦が、只の民間船とは全く違うのを彷彿させるが如く――弾薬類を満載する小型ランチ。更に対艦、及び多目的装備にもなる数十発にもなるマイクロミサイルポッドを機体下部に口を開くラックに押し込む様を視認。各々の機体のチェックをする整備士達。
「すげぇ――訓練用の模擬弾じゃねえな、まさかあの弾頭の形状からして初めての実弾装備かよ」
数ヶ月前での模擬訓練とはまるで違いをみせる装備品に思わず口元を潤ませ見入る中、ふと我に返る。下方での「各部火器管制チェック急げ!」やら、「どうした!Da104-ソードフィッシュ小隊からカタパルトデッキに上げるんじゃなかったのか」やら弾頭装備された銀色の機体がゆるりと機体エレベーターに乗せられる様は、彼にとって圧巻な光景なのではあるのだが。
「航空機マニアなら涙ものなけしきだけど…やべっ、とりあえず俺もテストパイロットだった。早く俺も作戦室にいかないと、どやされるだけじゃすまないな」
その一言を口内につぶやき、整備士達の姿を横目にミーティングルームに向かう為、目の前の密閉式ハッチの脇側に設置してある小型端末。
青い液晶が写る箇所に用意した自身のIDカードを翳す。
「って?…あれっ!?たしか重力ブロックからデッキ内に抜けた時はあったんだが。これがなきゃミーティング所かここからも出られねぇし」
端末にIDを読み込ます為の一番重要な身分カードを胸ポケットや懐を無造作に探し。その間も戦闘配置での艦内放送が鳴り響く。
当然ハッチが開かなければ仕方なしにID端末脇の液晶を通し、ミーティング室に直接自身の上官に連絡をつけるか、最悪な場合。この艦内から叩き出されるか。
「おい、貴様…既にミーティング所にて待機の筈だぞ?…まったく、この分じゃID端末を無くし、始末書か、私がデッキにいなかったら」
「す、すみませんっ?…って?」
「やはり貴様か!サボり康介」
「げェw」
▽
「我が艦隊の索敵部隊の状況は。」
「はいっ。ベラトリクス恒星ポイント付近にて先行アウトしたセフィーロ。及びエムデンからの報告によりますとα星付近の潜伏する敵艦影は無しと言う事です。」
「そうか。」
康介が乗艦する『惑星間航行巡洋艦シャルンホルスト』の司令塔にもなる艦橋内ではほんの数分前から緊張が走っていた。
シャルンホルストと共に曳航する姉妹艦プリンツ・オイゲンが突如断層と思しき亜空間システムの歪みを拾い、謎のデブリに接触。左舷艦首付近を中心に非弾。
忽ち艦内火災が発生し、 やむを得ず艦隊の戦列から外れるのであるが。
しかしプリンツ・オイゲンは姉妹艦とはいえ護衛する艦載機は一機も持ち合わせない。 いわば敵艦隊を駆逐する為に特化した砲撃重視の前期生産型の巡洋艦なのである。
当然、本体と共に曳航するシャルンホルストは消息を絶った宙域。M68地点をプリンツ・オイゲン特殊任務の為。
同じく先行してジャンプアウトしたフリゲート三隻と共に旗艦を中心とする艦隊の戦列から外れ。特別編成を余儀無くされる事となる。
「総員に継ぐ繰り返す――増員に…」
「もういいよ。 カナン。あんましつっこいとあんたの憧れの彼氏。 ガリッツ様に、逃げられちゃうぞ。」
「――んなっ! ガリッツ様とわわっ…。私そんなんじゃ」
「あっはは!さっすがカナンちゃん。抜かりは無いねぇぇ…、えっとぉぉ〜因みに艦内放送の電源……点いてるわよ」
「あああっ! ひっどぉぉーい恵美っ。この私をハメたわね!」
「あー麗しのガリッツ大尉様ぁぁ〜ん…てか?」
『私を呼んだか?…カナン軍曹。丁度良かった。確か、君の管轄下にあるあの新入りの民間出身の彼に新しいIDデータと所属部署を書き換えていただきたく連絡する筈であったが』
カナンは噂の彼をネタにして同僚の恵に弄られ中の中。突如液晶に移し出されるイケメン大尉に仰け反りながら降着する。
しかし、赤面と焦りでパクリと陸揚げされた魚の如くリアクションをする自体もかなり恥ずかしい筈ではあるが。
その彼の隣側からひょっこりと、もう既にお馴染みな困り果てた表情の康介の姿を黒縁メガネごしに辞任するも。
大体の事情は冊子が付いたのか。赤面から徐々にこめかみを卑屈かせて行く。
その様子にさりげなくやれやれとため息混じりで『あ、後は任せた』と、そそくさにミーティングへ向かう為その場を退場するガリッツを横目に口元脇をヒクリとさせては、このような惨状を創り上げた張本人こと康介に「ふふ?」と自慢の黒縁をキラリと光らせながら容赦無く当たる矛先を向けるのは明白なのだが。
『げ…ェ』
「じゃないでしょ? 」と、液晶ごしに更にオーバーリアクションをする彼の舐め腐る態度からして彼女とは、ここシャルンホルストに乗艦した時から数々の因縁じみたエピソードがあるようなのだが…
「ったく…。 コラァァッ!そこのオペレーター共っ!今は作戦中だぞっ。私語は極力慎みたまえっ!」
「「……うぅ……はぁい…。」」
とまぁ…所狭しと幾つものコンソールに表示される情報にあわわと慌てる素振りで目を泳がし始める黒髪ロングにアクセントの花飾りを付ける少女。 箱守恵美
その隣側の席に腰を下ろし。 先程の惨事がそうとう痛いのか(汗)…大きな栗色の瞳を細めうだれながら端末を眺め。 耳元まである茶髪を揺らし、「後でおぼえてろよサボリ康…」 と幼げな顔には不具合なドS顔をにごませているオペレーターらしき少女。カナン・ルラリータ
そして先程の惨事を招いただらしない彼女達に、 未だ煮え切らない表情で『――規律が足らん!…ま、テストパイロットの新人さんを抱えてるから仕方なしなんですけどね』と、先程前にカナンから再登録依頼での彼の情報を整理し、端末を器用に叩く彼女事。シャルンホルストでの全クルーの責任者でもあり、副艦長を勤める腰まで伸びた金髪を揺らす次官ルカ・ニ・センブルク。
それ等を遥か上方から見渡せられる後方のキャプテンシートに腰を下ろしながら使いふるした帽子を片手で深々と被りなおす肌黒なおとなしげな艦長。
というか何げにこの艦のブリッジ要員が艦長以外全員少女なのは以前の艦隊振り分けの再。 この艦長自らちょいと細工したとの噂もちらほらとあるのだが。
「うむ。 まぁ〜とりあえずルカも落ち着きたまえ。 軍人として規律を守るのも大事だが、 時にはその規律が邪魔をして逆にいざというときに迅速な行動の妨げになる事も――」
「あのっ! お言葉ですが艦長――民間コロニー勤務での新兵入隊時にもそうですが、クルーに対して私的にその甘やかしがあるから日頃から我が艦の規律がダメになるんですよ」
「それにっ」
「――何だね?何かしら司令からの情報か?」
「ブリッジ内での"喫煙"は極力やめてくれません?」
そんな一言を告げつついつの間にか艦長の目の前にヅカヅカと詰め寄りスレンダーな腰に片手をあてがう。
すかさず口元にある煙草を取り上げ「ふん!」と鼻を鳴らすルカ。
そのルカに対し、渋々と吸い損なった煙草を残念そうに見つめる艦長なのである。
というかこのテンプレ的パターンは何処かの番組でも――という突っ込みは置いといて(汗)
そんな矢先。艦隊の旗艦にもなる戦艦ヴァイエルンからの司令がこの艦橋内に届く。
ルカは踵を返し、カツカツと少女高めなヒールを軽やかに響かせ持ち場に戻る。
そして司令からの情報を再び端末を操作し、整理するのである。
「旗艦にもなる戦艦ヴァイエルン級を中心に戦艦。 軽空母。及びシャルンホルストを除く巡洋艦30万。 そしてそれ等を護衛するフリゲート40万隻にもなる一個艦隊は。このまま作戦を続行せよです」
「うむ。――まぁ我々が抜けた所であまり大差は無しという事かね。」
「はい、 そんな所でしょうね、この作戦はカシオペアの暗証空域に亜光速で通過後。 総勢64万6千隻にもなる本体。 本作戦の要にもなるオリオン座付近でのβ星系の奪還作戦は敵味方合わせ、大規模な混戦になるもようでしょうか。」
その司令からの命令文を眺めながらルカは戦慄する。
「そっ――そんな、たかが一星系制圧の為。 敵勢力は――構星破壊兵器の投入ですって!?」
本体を含む味方艦隊、 そして敵艦隊は今日までお互いの小競り合いに終止符を打つ打開策として星間国家禁止条約を無視。
味方共々巻き込み最終兵器を使用しをα星系の利権を手に入れ後々有利に事を運ぶつもりなのだろう…。
当然我がダライバル連合も敵国家に対し禁止法を無視し、大量殺戮兵器を展開させるのは明白だ、
ルカは、そのような現場を全く知らない一部の愚かな幹部達の戦争ゲームで捨て駒のように散ってゆく兵士や部下達。そして自らが所属する巨大組織の理不尽さに何処にもぶつける事の出来ない苛立ちを胸に命令書にもなる端末の液晶をじっと見つめていた――
いやいや
多分この少しづつの展開的パターンでゆっくりと話を進めて行きますね(笑)
とりあえず
このプロローグ編が終了と同時に本来の異世界物に切り替わる予定です(笑)
そんな訳でっ
次回もお楽しみにっ!