『静寂に咲くあの花のように』――その4――
既に二ヶ月ぶりになり。大変お待たせしました。
前回の続きになります今回は、とある魔晶の森で以外な出会いを果たす謎の青年。
その青年の故郷になるノーザンクロスと呼ばれる街。その近くの山脈に、遂にあの薬草の手掛かりを得る康介達だが?
果たしてっ!
そんな訳でっ。
『剣と魔法と光線銃って!?』
始まり始まりっ。
心地よい暖かな微風にサラサラと鮮やかな色彩の花々が揺れる。
深緑の木々が騒めく様子に誘われるが如く。小さな踊り場からキシリ――と木製の手摺りに身を静め、キラキラと木々の間から除く零れ日を眺める。
(何時からだろうか――こんな綺麗な日差しの下和な景色を拝めるのは)
刻の流れを忘れるような不思議な感覚に陥る一人の青年は、かつて忘れかけていた過去を思い出しては物思いに拭ける。
(そうか…オレはあの時――まさかここは、遂に来ちまったのか?)
「もし…残念ながらあなたの望む世界には旅立つのはまだ早いとのメルゥーラのお告げだから…無理です」
「っ!?女の声っ」
「その様子だともう大丈夫みたいですね――風のお告げに従いあなたの胸内の闇を撮み上げました」
騒めく木々の木陰に溶け込みながら腰元まで伸ばした淡い銀髪がサラリと揺れる。
菫色した独自の民族衣装を待とう幼げな顔立ちの少女はにこやかに微笑む。
青年は幼少の頃に古い絵本等で垣間見た魔法を扱う妖精が目の当たりに佇む錯覚に、陥る。
「――そうですか、あなた方は噂に聞き覚えのあるメルゥーラの信仰者? 奇跡を起こす者とお聞き?」
青年は、最後の一言を口内に飲み込む。先程までゆっくりと流れていた景色が突如一変し、暴れる木々から黒々としたナニかが頭上から飛来する。
地の底から這い上がるような地響きが一気に突き上げるような爆音に変わる。 耳を引き裂く独自のターボジェット音を轟かせながら銀色に輝く巨大な鳥が視界一杯に映る。
「おい!まさかこんな場所にあいつが? 危ないからあっちに行くな!」
「大丈夫。康介が戻って来ただけだから」
突如頭上から舞い降りるナニかに身構えながら青年は、少女を庇おうとする。 しかし、彼の思考とは裏腹に少女は目一杯の笑顔で庇おうとする彼の腕を払いのけ、巨大な鳥に向かい駆け寄っていた。
▲▽
「今の地点から役60キロ先に湖畔を確認した。スプレッド山脈の略北側にあるポイント。持って来たデータと素体をリンクさせ照合。間違いない」
古びた山小屋の裏側に中間形態のまま着陸した機体の装甲越しに、下方から眺める青年を横目に康介は、目の前に屈みながら覗き込むシルビアに見せるように懐から取り出した一枚の薄く小さなカードを広げる。
機体のメインコンピューターとリンクさせている小さな端末を、片手に持ちながら指を滑らせ彼女に分かりやすいように説明をする。
二人の目的である。この地にあるとされる伝説。
今の季節だけ早朝に花を咲かせると伝えられるある殊の薬草を調べる為に偵察に赴く。
そして、康介がこの付近の近くに特定の場所を探している間。
シルビアが今現在機体を珍しそうに眺めているジェイと名乗る青年を治療の術を終えたのと略同時に帰還したのだ。
シルビアは、偵察から帰還した康介の説明を受けながらなっとくしたのか、小さく尖った下顎に片手を添えながら頷く。
最悪の結果を頭の隅に置きながら口を開く。
「わかった、明日の朝まで…もし間に合わなかったら」
「余裕で間に合うさ。それにシルビア。言っちゃなんだけどさぁ〜。俺のスピットファイアは本来は星間飛行も可能な機体なんだぜ。あの薬草を回収し、一気にマッハ4でひとっ飛びすりゃ〜数分で元居たスコーンに到着さ」
「あのっ――まさかあなた方は?宇宙人?」
「「うっ?宇宙っ!?」」
突如二人の会話に部外者でもある彼。ジェイと名乗る青年は、ある種の疑問を抱きながら当り前のような質問を投げ掛ける。
呆気に取られた表情を青年に向ける康介の表情を見ては「ぷっ…」っと笑いが込み上げるシルビア。
「ぷぷっ…確かに天空人であるあなたはそう呼ばれても」
「ったく。"それ"突っ込みを通り越しちと虚しい響きだぜ。ま、あんた等アムールの種族からしてみればダライバルである俺はそう見られるな」
康介は広げた端末の電源を切り、再びパイロットスーツの懐に折り畳みながらしまい込む。
先程から二人に不思議そうな眼差しを向けるジェイに視線を向けながら優しげな笑顔で口を開く。
「ああ。その元気そうな様子じゃシルビアの魔法とやらは成功したようだな。先程は本当にすまない事をした。俺は、赤城康介。文字通りあんた等と違い宇宙人? になるんか?」
自己紹介的な一言を投げ掛けながら康介は、パイロット用の手袋を外しながら片手を青年に向ける。
ジェイは、少し彼等に疑問を持ちながらも、好印象的な彼とシルビアを笑顔で受け入れ、差し出された康介の右手を掴んだ。
「とりあえずは目的になる箇所は特定出来た。後は、その前に……」
機体の操縦席から下方まで伸びるフックに片手と足を引っかけ康介はシルビアの手を掴み軽く彼女の身体を器用にベルトを固定させる。二人は、空いてる片手をそれぞれ部外者にもなるジェイの両手を掴む。
「ちと重量オーバーかな? ちゃんと動いてくれよっ」
自分の機体に言い聞かせるように搭乗用フックのモーターを稼働させる。
そのまま4メートル真上にあたるコクピット付近まで伸びるワイヤーからギチリ…。と、多少悲鳴は上げるも三人の固定された身体をグイグイと力強く引っ張り上げる。
「よし、まずはジェイくんかな? 少し揺れるが我慢してくれ」
今現在小さな山小屋の裏側に中間形態のまま待機してあるスピットファイアのターボジェット特有の金属的なサウンドが再び静寂を打ち消すように響渡る。
操縦席に腰を下ろす康介は後席に乗り込むシルビアの姿を辞任。予備のヘルメットを受け取りながらシルビアは、器用に後席の後側になるハッチを開きそこへ身を乗り出すジェイをエスコートさせる。
本来は生命維持用のボンベやその他の資材を入れる為に設けられたスペースだが、
「ふぅ……まったく、マジで定員オーバーだな。さて、テイクオフだ。お二方、確り捕まっていろよ!」
軽い振動の後、下方各所から姿勢制御用マイクロスラスターから鮮やかな蒼白い輝きを見せながら、ブイストールの要領で機体はゆっくりと上昇して行く。
密閉式のキャノピーが独自の開閉音を響かせ閉じる。ゆっくりとした軌道で左ロールしながらみるみる小さくなる山小屋を、身を乗り出しながら除く。
高度3000フィートまで上昇したのをコンソールごしに確認する康介。
右手に持つマニュピレーターを倒し、約60度の角度から逆バレル軌道を一瞬で描く。
瞬時に軽い火花を散らし、中間形態から飛行形態に可変させ操縦桿に持ちかえスロットルレバーを倒す。
「さてとっ…お二人さん。舌むなよっ」
その一言を後に機体後方から伸びるノズルから勢い良くバーニアを吹かす。
一気に重い加速Gが襲い、三人を乗せるスピットファイアは、あっという間に一大パノラマになる景色に溶け込んで行った。
▽▲
「おらっ!貴様。きさまだよっ。もしも〜し…聞こえなかったのか? あ"ぁん?」
「こんな場所にとんだ上玉が迷い込んだようだぜ。けへっ」
一面を殺伐とした砂漠に今正に飲み込まれようとするノーザンクロスと呼ばれる街。
康介達が立ち寄ったドマーニ国の隣国に当たるメリクリウス帝国に支配されたこの小さな街は、かつて農作物で生計を立てた豊かな街なのだが。
数年前からこの街にはびこる帝国側の輩が大きな顔を見せ、人々は家畜同然に扱われ、健全な身体を持つ者は、奴隷として売られる。
かつての賑わいも途絶え、只廃墟と化した無人の店が続く。
その街に程よく伸ばした赤髪を揺らす一人の少女を武装した集団がバラバラと取り囲む。
先程から必死に駆けて来たのか、両肩を激しく上下させながら息も荒く、おぼついた足取りでゆっくりと背後に乗り捨てられた廃車まで後退りする。
「へへっ、こいつでレジスタンスの最後の一匹か。あっけなかったな。このままサクッと行くには惜しい身体をしている…どうだ? 嬢ちゃん。俺達といい事してくれるなら」
「獣がっ! こんな所であたしはっ――くたばる訳にはいかないんだ。ジェイを、あたし達から居なくなったジェイに合うまでは」
コツンと後頭部に走る冷たい感触を感じながらこれ以上逃げ場が無い事に気付く少女。
赤い瞳を滑らせては、自身の背後にある廃車の車内に武器になる物を探す。
目の前に展開する輩は、滅多にお目にかかれない獲物に食い付くようにギロリと血走る眼光を光らせる。
「くっ! こんな場所で」
ギラギラと太陽光に反射する凶悪な得物に怯える事もなく最後まで逸し報いる覚悟で睨み付ける少女。
「もう飽きたぜ。こんな小娘一匹。サクッと殺っちまおうぜ」
少女を中心に左右に展開する輩の間を血に餓えた蛮族の頭らしき大男は、片手に持つ斧を軽々と持ち上げる。
「さあ。泣き叫べ。そして恐怖に怯え?」
最後の一言を告げる前に蒼白い閃光が走り、一瞬で振り上げた斧を跡形も無く蒸発する。
その数秒もしない内に今まで聞いた事も無い音源が大気を引き裂いた!
「んっ? ぐぁぁぁああっ! 腕がっ。俺様の腕が焼けるぅぅっ!」
突然その場を間抜けにも片手を押さえながら転がる大男。一体ナニがあったのか未だ把握しきれずに辺りを見回す輩の手に持つ得物も次々に蒸発。
複数の輩が一瞬でその場にのた打ち周り。転がりながらうめき声を漏らす。
「ふ……殺しはしねぇぇ。だが、もし抵抗するってんなら」
更に出力を上げての小型パルスレーザー並の威力のビームが朽ち果てた瓦礫をドロリと溶かし、小規模の炸裂音の後吹き飛ぶ。
「くそっ! この威力は、魔導師クラスの魔法かよっ」
「やべぇ。アンゲロイの軍人か? てめえぇ等。逃げんなよぅ」
一人。又一人。と自身の手下達が逃げ出す中。その他の輩を追うような形で尻餅をついている体制から一変し、元気よく駆けて行った。
「そんな…まさか!ジェイ」
離ればなれになる恋人との再開。
康介は、この場所の道先案内人であるジェイに軽く別れを促し、右手に持つシューティングスターを腰元のラックに安全装置を入れ、しまい込む。
「なぁ、シルビア。たしかこの街の近くの山脈地帯だったよな。明日の早朝まで過ごす宿でも探すか」
康介は、自身の隣側で平行して歩くシルビアに、早朝までのスケジュールの相談をする。
当然、二人はこのノーザンクロスで一夜を過ごすのだが……
何故か彼女の表情は!?
更に無理矢理だが。
次回へ続く――
今回の話を終わらせながら。なかなかストーリー的に先に進ませられず。もたついた展開になり。少し反省してやす(・・;)
何とか、次回話で一気にこの先に待つ、康介とシルビアでの小さな冒険でのクライマックスへどう繋げるかが次の課題なんすがねっ。
更に次回っ!二人は街外れにある宿を探し、そこで以外な事態に?
まぁ…あの康介の事だから大丈夫だと思うが?
てな訳で、かなりドハデなバトル的展開に期待しつつお楽しみにっ!




