『ようこそ我が美しきドマーニ国へ』――その1――
皆様始めまして。
二次小説
『光学の超高密度収縮粒子砲戦記』を書いていますコルサ号と申します。
そして今回初めて本格的に挑戦のオリジナルになりますこの物語は。
異世界ファンタジーの世界観に不具合極まりない物が次々に投入します。
強力なドラゴンやモンスターに戦艦クラスの高出力メガ粒子を打ち込むわ。 貫通力抜群のパルスレーザーやら500キロ弾頭級のミサイルを容赦無くたたき込むわ。 もう魔王もへったくれもありません(汗)
それ等を不快に思う方はご遠慮下さい(汗)
別に気になさらない方は、宜しくお願いしますねっ!
そんな訳でっ!
シルビア「『剣と魔法と光線銃って!?』始まり始まりっ!」
光明な粒子がまるで運河の如く流れる空間。その人為的に構築された半物資の流れに乗るように数百隻からなる一団が航行する。
一個艦隊にして数百。総勢六十万を越す大艦隊がある目的地に向かい。巨大な川を突き進む中。後方に位置する一個艦隊。
その戦艦と思しき旗艦を護衛する形で航行する巡洋艦内から、この物語はゆっくりと始まる――
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「――はぁ。俺はこんな場所まで飛ばされちまって、一体なにやっているんだか」
薄暗い空間に時折何処からともなく響いて来る機械音に混じり、一人のしがない青年のため息混じりの声だけが響く。
数ヶ月前までの民間コロニー勤務からの転属先にもなる正規軍での仕事に未だ慣れていないのだろうか。
鉄格子の手すりによっかかりながら下方を見つめる。ここの場所が一番落ち着くのか――少しだけ安堵の表情にもなる彼が見る目線の先には、幾つもの航空機らしき機体が格納されている。
それ等をオレンジ色の繋ぎ姿の整備班メンバー達が所狭しと動き回る様が見渡せるのである。
「おいっ!赤城康介っ、又おまえはそこで一体何をしているのだ?」
「いぃっ!?ヤバッ」
既に彼がここに来るのはもうお見通しなのか。
ある意味常連にもなる彼に対し「又々サボりかぁ」と当たり前のように呆れ顔を向ける整備メンバーの一人に見つかってしまったようなのだが。
「ま、コイツがお気になんは分かるけどさぁ〜、この先の宙域に亜光速OUTするまでの役2〜3時間、おまえ等パイロットは睡眠を取るのが仕事だろ?」
「あははっ、ま…そうなんだけどさぁ〜ラスラさん――」
思わず下方からむすっと膨れながらスレンダーな腰元に両手をあてがいながら見上げる彼女、ラスラ・インフラントの名前を思わず口ずさみ慌てて口内に飲み込む。
しかし、それも既に遅いようで康介が怯む間もなくタンッ、と堅い格納甲板を一蹴りする。 ここ艦内格納スペースは当然通常の重力ブロックとは違い彼女のか細い身体を宙に浮かすには十分なのである。
そして康介の目線までフワリと背中まで伸ばした黒髪を流しながらあっという間に昇って来る。
「……げっ!ラス」
「おいっ、こ〜う〜す〜け〜…一体何時からこのシャルンホルスト内整備班長の僕の名を名乗って良いと言った?」
カツンと重力制御ブーツの香ばしい音を立て、見事に着地した彼女。
今現在慌てて後退りをする康介に整備用のリペットガンを物騒にもトンッと突き付けなにやら小声でごにょりと言いたげな素振りを見せる。
しかし如何せん幾つもの騒音や機械音混じりの格納庫内。そのような小声で言われた所で聞き取れる筈が無いのだ。
「――なぁ。ラスラ、別に俺とあんた、幼なじみだろ?だから名前で呼ぶくらい」
「まったく、おまえはこの僕に恥をかかせ嫌がらせに来たのか? ここじゃ僕とおまえは」
困り果てた素振りの表情を浮かべるラスラの顔を見つめる。そして「あー…。」と何かしらを思い出したような素振りで今自分が着ているパイロット用の制服の首元にあるバッチを見る康介。
軍人としての規律。そんでもって決められた規則。 当然パイロットともなれば階級も上がり、次官クラスとまでは行かないがそれなりの待遇なのである。
いくら彼女が整備班長とはいえ所属名だけならまだしも迂闊に名前を呼ぶのも規則違反みたいなのであるのだが…。
「あのなぁ〜、そう言うあんたは逆になんなんだよ。 さっき無意識に俺のフルネーム叫ばなかったか?」
「――あっ そ、それは」
「ははっ、それにこの広い艦内で唯一気さくなく話せるのあんたくらいだけだし」
「それに――」
いつのまにかラスラは共に鉄格子によっかかりながら康介の横顔を見つめる。 パイロット用の制服姿には不具合な何の特徴の無い顔立ち、同じく何の特徴も無い黒髪を揺らす。
しかしその表情は何処か少年のように煌めいて見える。
その青年の目線の先に映る航空機。
ここ数十年前に我がダライバル宇宙軍に正式採用された特殊戦闘攻撃機、DA-105B スピットファイアⅢ
全長役15メートルの小型機に分類するこの戦闘攻撃機は、あらゆる地形や空域に対応する為に開発された特殊な機体なのである。
その機体の特徴である"あらゆる地形に対象する為"に飛行形態から瞬時に人型のバトルモードへの可変を可能にした対惑星制圧型に特化した機体。
未知の星での調査。もしくは調査にて人類の能力を遥かに凌駕するであろう未知の巨大生物との遭遇。又場合によっては排除での格闘戦やその他もろもろの目的に開発された名目もさることながら。
今までの正式での戦争目的とは違うのも手伝い。その機体性能に憧れを抱きパイロットに志願をし、ようやく念願の部隊に入隊を果たした彼。赤城康介。
ラスラは自分と幼なじみでもある彼の横顔を眺めながら、ハイスクール時代共に過ごしたコロニーでの出来事を思い出していた。
「ねぇ、康介――あの時の事まだ覚えてる?」
「――いやね?あの時っつてもな。 うぅ〜ん…たしかよく二人で寄ったモックとかか? あそこのポテトすげぇ堅かったのは良く覚えてるぞ。 あのポテト絶対材質にチタンやセラミックを――」
「ちがぁうっ! そんなんじゃ無くて――んもぅ〜…別にいいよっ!」
ラスラは背中まで伸びた黒髪を片手で無造作にたくしあげながら不機嫌な表情を見せる。
「もっと昔っ!、まだ僕があのコロニーに来た当時。おまえが僕を初めて庇ってくれた時の事。
あの時があるから僕はここまで――」
お互いの幼少の頃初めて出会った事をゆっくりとした口調で話し初めるラスラ。 彼女は本来あのコロニーに移民して来た種族でもあり。 長い黒髪の間から除く康介とは違う形状の耳を気にしてるのか、無意識に黒髪をたくしあげ隠そうとする仕草をする。
今現在康介が居るダライバル宇宙軍は、元々幾多の星々を束ねる星間国家であり、その中でも遥かに多い種族が康介を含む人類なのである。
その康介と外見は同じように見えるラスラは人類とは別種族に分類する、いわばダライバルに逃れて来た難民の一人なのである。 人類とは違う種族との格差は歴然とし、この惑星間国家では当然の如く差別の対象にもなる。
「ま…。募る話しは後にして、あんたと俺は兄弟になってんだから。 あんま私情を言い触らすなよな。」
「――わかっているよ。 あっ!そうそう今日の作戦が終わったらさぁ〜…。おまえの為に僕がとっておきのサラダ又作りに来ても」
「――は?い、いいよ別に俺は艦内食堂で。」
「なぁ〜にが艦内食堂よ。どぅせ又レトルトなカップ麺なんでしょ? そんなんだから栄養士さんに捕まっちゃうんだぞ!」
お互いに種族が違う。それプラス一様上官と整備士の様々な事情はあれどラスラは、康介の常日頃からの健康管理のなさに以前から心配を促す。バランスの良い物める彼女の意見に口をつぐみ、それを又々面倒臭がる彼なのだが。
『――総員に継ぐ、全艦亜光速アウトの準備を急げ!――繰り返す。』
「――んあっ!?」
「ほらぁっ!結局一睡もしないで作戦になっちゃったじゃない。 ま、何時もの事だけどね。
そんじゃ僕は機体の最終チェックに映るから。」
「――えっ?、つかさっきまで」
「まったくもぅ〜…。 グズなんだから。おまえはパイロットなんだから早くミーティングに行くっ! 」
「ああ…了解しましたよ。ラス――」
「ほらそこっ! 名前で呼ばない! んじゃ作戦後でねっ」
突如としてけたたましく鳴りだす艦内放送が、お互いの会話を止める。
そして二人はお互いのそれぞれの持ち場に赴くのである。
この幼なじみと主人公はいい感じのカップルになりそうですね。でもいつかは……いや(汗)
そして今回は、SF物らしく主人公をのせた艦は味方艦隊と共に、敵艦隊との乱戦に突入していきます。
というか異世界介入はいつからだよ!っつー突っ込みは後にしまして、
次回もお楽しみにっ!