第八話
大輔達との集合場所まで来た俺は周囲に風紀委員が居ないのを確認してから屋上に駆け込む。
ドアは真新しい校舎とは裏腹に鈍い音をたてて開き、満天の青空が広がる。
「おーい祐介、さっさと来いよ」
「は、早く食べたいんだなぁ」
食に飢えた馬鹿共をこれ以上待たせるのは面倒なので急いで向かう。
「待たせたな」
袋に詰めてあるDXサンドを2人に渡し、俺も昼食にしようとしたときに乱入者が現れた。
屋上のドアが勢いよく開き、そこから見たことのない二人組の女性が現れた。
『なぁ、お前らあんな二人組見たことあるか?』
『い、いや見たことないんだな』
『俺もだ』
屋上は立ち入り禁止で普段から鍵もかかってる事をほとんどの生徒は知っている筈だ。
しかし何より気になるのは二人の格好だ。
一人目の奴は女性でもかなりの身長の高さ(おそらく亜紀ぐらい)日本人ではないだろう綺麗な青色の髪と眼を持つ何故か私服の女性。
二人目は最初の女性より多少小柄だが、ほっそりとした足にぱっちりとした瞳で栗色の髪をしたメイド服の女性。
どちらも美人だということは変わりないのだが、それだけに不自然だ。
「あら、先客みたいねカノンちゃん」
「お望みならば排除しますが?」
カノンと呼ばれたメイドのほうが恐ろしい発言をするのを青髪の女性が手で制しながらこちらに笑顔のまま近づいてくる。
「貴殿方もこちらでお食事ですか?」
「ええっと、そうですね自分等も景色が良いので食べようかなと思って」
俺等を代表して大輔が答えるが、明らかに鼻の下を伸ばして答えているので、おそらく大輔はどちらかに一目惚れをしたのだろう、でなければ大輔がまともに敬語を使うわけがない。
「お、お嬢様このような連中に関わる必要なぞありません」
「逢ってすぐの人間にこれかよ…」
俺のツッコミには答えず、彼女の主であろう女性と話し合っている。
ところどころ聞こえてくる言葉を繋げて要約すると、メイドは俺たちを怪しんでる→青髪の女性は何故かは知らないが一緒に昼食をしたいらしい→メイドは必死に止めようしている→以上。
「それにしても俺たち完璧に眼中に無しだな」
「ああ、あの髪の長い人名前は何て言うんだろう」
「お腹減ったんだなぁ」
(駄目だこいつら、早くなんとかしないと)
これ以上時間を使うとせっかく手に入れたDXサンドを食べれなくなるので、立ち去るか、それとも可能性は低くとも美少女と食事をするか。
(さて、どうしたもんかね)
1、まぁ、少しぐらい待ってもいいか
2、それより飯だどこかに行こう
明日続きを投稿予定です。