第一話
ひとまず一話だけ投稿します。
「どうして俺には彼女が一人も出来ないんだぁぁぁー!!!」
それは突然の出来事だった。
その日の授業もほとんど終わってこの一時間が終われば家や寮に帰れる、誰もがそう思っている矢先の出来事だった。
突然俺の一つ後ろの席の篠家大輔が騒ぎ始めた。
俺とこいつは中学の時からの腐れ縁というやつで、いつも馬鹿をやってる相手だった。
「座らんか馬鹿もんがぁぁぁー!!」
担任の明智総子が即座に怒声を浴びせると同時に手に持っていたチョークを投げつけた
いつもながら見事な技だと感心していたのもつかの間で、首もとに光に当たって反射するナイフの様な物を向けられていた。
「うぉっ!?」
(この学校でこんなことをする人は数人ぐらいだが、その中でもナイフを使うのはあの人だけだ!)
座っていた椅子を即座に蹴り、そのナイフの様な物を向けた張本人に直撃を狙い、距離をとる。
「………」
襲撃者は何一つ語らず、ナイフを一閃させるだけで椅子を吹き飛ばした。
クラス内からは彼女の登場に口笛を吹き、歓喜を上げていた。
(お前らは一体どっちの味方だ、少しはクラスメイトを助けようとは思わないのか!?)
そうは思ったが、無駄だと割りきりしっかりと襲撃者を見据える。
「………」
予想は出来ていたが、いざ対面すると恐怖が湧いてくる、何せ相手は隣のクラスの2年4組『佐上遊』(さがみゆう)、名前とは裏腹にふざけた事が大っ嫌いで風紀委員に勤めている校内では『沈黙の暗殺者』(サイレントアサシン)と呼ばれるほどの手練れなのだ。
入学当初から彼女の勘違いで襲われ、あの殺傷能力ないが、触れれば痺れるナイフ『クロジア』を一度回避した後二度目の一振りで痺れさせられたのをよく覚えている、その時から俺は多少は出来る危険人物として目を付けられていたので、俺が馬鹿をやる度に自然と俺の前に立ち塞がる事が多くなった。
見た目こそは小柄で黒のポニーテールで可愛らしいのだが、校内の風紀を乱そうとした者には容赦がなく、『クロジア』を使い、相手に姿を見られる前に接近し、クロジアの力で痺れさせて事件を解決する、沈黙の暗殺者の由来もここから来ている。
因みに俺と今までの戦績は22戦17勝5敗となっている、そんな俺だが実力は低く雑魚敵もいいところ、簡単に説明すればマ○オに出てくるノコ○コと同じぐらいの非力さだ、では何故俺がこんなにも勝ち越しているかと言うとちゃんとした理由があるが、今はとりあえず授業中+無罪なので説得してみる。
「ちょっと待ってくれ、俺は授業妨害なんてしてないぞ、大輔が勝手に叫び始めただけだ、なぁ皆」
そう言って皆を見渡してみるが、張本人の大輔はチョークによって撃ち抜かれご臨終、他の皆は我関せずと言わんばかりに黒板に書いてあることをノートに書き込んでいる。
「………」
(不味い、彼女から負のオーラが出ている、これでは俺の命が!)
選択肢
1逃げる
2戦う
3教師に助けを求める
まぁ、選ぶとすれば無難な3と言いたいところだが、俺には分かる、明智先生は間違いなくキレてる、見ろあの手をプルプルと震わせチョークと言う名の弾丸をリロードしまくってるじゃないか、今にも発射しそう―っ!?
「うぉぉぉぉっ!」
指から弾く様に発射されたチョークは佐上の頭を貫き、本日二人目の犠牲者となった、一方俺はと言うと、発射される瞬間に転がりながら椅子まで直行して、席に戻して座った。
「ふぅ、では授業に戻るぞ教科書のP15を竹下、お前が読め」
「うっす、えーと日本の経済は――」
その後も授業は淡々と続いていた、俺の両サイドに額から煙を上げる二人を残したまま。
続きは二日後ぐらいに投稿します。