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ウィリアム…
もう5年が過ぎたのね。
あなたを忘れた日はないわ。
リアムが居なくなって、あなたを忘れようと毎日予定を埋めて、仕事、仕事の日々。
いつの間にか、わたしだけ取り残されたみたい。急に冷たくなったかっと、思ったら・・・
消息不明って突然。
いつも突然いなくなるあなたに慣れてたはずなのに、あの日は違った。
女の感。本能?
何かが違くて、辺り一面真っ暗闇。
残された微量の血痕。
殴られたの?
刺された?
撃たれた?
それか・・・打った?
打つほど追いつめられてたの?
わたしは、ふと外を見る。
窓に映る自分は疲れたオバサンみたい…ううん・・・おばさんだね。
わたしは月が嫌いよ。
こんな月夜は、嫌い。
だって、あなたがいなくなるのはいつもこんな月夜ばかり。
『月を見てごらん。月にはウサギがすんでいるのかな。』
そう、無邪気に話すあなたは放ってはおけない存在になった。
あなたは今もどこかで歌っているの?
甘い声で優しく。
とろけるような声は、わたしの躰を操った。
『あなたの歌声を聴いた女はイチコロよ。』
いつも、冗談のように言って…笑いあった。
あなたの周りは沢山のFANでいっぱいで…
わたしが近づけるのは…
ベッドの中だけだったかもしれない。
ベッドの中で一曲だけ…
いつも唄ってくれた…
わたしが大好きなリアムの曲…
『リリーのために唄うよ…』
そう言って、キスしながら唄うあの曲が…
今も、耳から離れない…