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大切なものを失った伯爵が奴隷のダークエルフ少女を買ったら、いつの間にか最強の領地になっていた……  作者: 積と和〝
第1章 出会い

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魔物討伐戦

このところのサラの火魔法は想像以上に強力で、庭の訓練場の標的を一瞬で焼き払う。

炎はまるで生き物のように踊り、揺らめきながら空気を震わせる。

その威力は、公爵家での戦いの火力を遥かに上回っていた。


一方サンの風魔法は精密で、空中に浮かぶリンゴを紙のように切り裂くほどの制御力を誇った。

風の流れが柔らかくも鋭く、森の木々の間をひらりひらりと駆け抜ける。


アルフレッドは息をのむ。

ノード家の古文書に記された「ダークエルフは古代魔法の血を引く」という記録を思い出し、頷かずにはいられなかった。

「サラもサンも、もともと力を持っていたのだろう……」



朝霧が立ち込める森の中。

湿った土の匂い、光を透かす木々の間から射す朝日、鳥のさえずり。

三人は馬車から降り立ち、息を整える。


「頼もしいな。二人とも、今日は自分の力を信じろ」アルフレッドが柔らかく微笑むと、サラは背筋を伸ばし、剣を握った。


「伯爵様、これも領地のための戦いですね……」

「姉さん……僕、頑張る!もちろん、絶対に怪我しないように」サンの声には緊張と決意が混ざっていた。



森の奥深く、うずくまる影。

低く唸る狼型の魔物が現れた。

「まずは私が行く!」サラが先陣を切る。

手のひらに炎の魔力が灯り、炎が光の粒となって舞う。

炎はまるで小さな太陽のように輝き、森の霧を赤く染めた。


火球が魔物に当たると、毛皮を焦がす音とともに、熱気が森の空気を揺らす。

「わ、姉さん……すごい……!」サンは驚きと尊敬で瞳を輝かせる。


魔物は怒り狂い、牙を剥き出しにして襲いかかる。

サンは剣を振るい、風を操りながら攻撃と防御を同時にこなす。

剣先に沿った風が渦を描き、魔物の動きを切り裂く。


アルフレッドは弟の成長を見逃さず、剣で援護。

森の木々の間で、炎と風が舞う幻想的な光景が広がる。

サラの連射する火球に、サンの風が渦巻き、炎は渦を巻きながら魔物を追い詰める。

光と影の渦が戦場を覆い、葉や小枝が空中で舞った。



戦闘の最中、サラは一瞬アルフレッドを見上げる。

その真剣な瞳に、可愛いだけではない、守るべき勇敢な少女の強さが宿っていた。


狼型の魔物を討伐した後、遠くに石の塊のような巨大な人型が現れる。

「ゴーレムか」アルフレッドの声に緊張が走る。


「伯爵様、ゴーレムに火は効きますか?」サラが少し考え込む。

「いや、岩の塊のようなものだ。あまり効かないだろう」


サラは小さく頷き、手のひらに魔力を集中させる。

「……では、手加減なしでよいということですね」


「ん?」アルフレッドが声を上げるより早く、サラの手から炎が弾けた。

「スパストファイア!」


炎はゴーレムを包み込み、まるで竜が息を吹きかけたかのように渦巻く。

熱気で森の空気が震え、枝葉が赤く染まる。

「サン、風で森への延焼を防いでくれ!」


サンは集中して風を操る。

炎はゴーレムの周囲だけを押さえ込み、炎の渦は森に広がらずに回転する。

炎と風が絡み合う様は、まるで森の中に小さな竜巻が生まれたかのようだった。


やがてゴーレムは崩れ、黒い石炭のような岩の塊だけが残る。

森は静寂を取り戻した。火災の恐れはなかった。

サラの炎の制御力とサンの精密な風が互いに支え合った結果だった。

アルフレッドは心の中で小さく頷き、二人の成長を改めて認めた。



任務を終え、三人は馬車で帰路につく。

森の奥で見た炎と風の舞い、光と影の渦がまだ体の中で震えていた。


サラは微笑み、サンの肩に手を置く。

「サン、今日はよく頑張ったね」

「姉さんも……すごかった……!」


アルフレッドは二人の成長を静かに噛みしめる。


そのときサラは小声でつぶやく。

「伯爵様……私、役に立てたでしょうか」


アルフレッドは優しく答える。

「ああ、最後の魔法は少し焦ったがな、心配は不要だったようだ」


サラの勇敢さと可愛さ、そして二人の力が互いに輝いた瞬間が、アルフレッドの心に静かで暖かい光を灯した。

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